2018年7月22日日曜日

映画『スリー・ビルボード』

2017年 監督:マーティン・マクドナー
製作国:イギリス/アメリカ
at ギンレイホール




7ヶ月前に娘をレイプの末に火をつけられて殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、一向に犯人が逮捕されないことに業を煮やして、道路脇の3枚の広告板に警察批判の広告を貼り出す。
名指しで批判された署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)は心を痛めるが、彼は末期がんで余命いくばくもなかった。
このアメリカミズーリ州の田舎町の警察署ではある程度まともなのは署長のウィロビーのみで、あとはかなりのクズ警官ばかりだった。
特にやばいのがマザコン風のディクソン(サム・ロックウェル)で、横暴とかそういうレベルじゃないよねこれ。
この3者、特に後半はディクソンの物語。

ミルドレッドが被害者の母親というか加害者?と思うくらい過激。
暴力に彩られた街で、復讐やら家族愛やら敬愛する人物からの天啓やら、住人達の様々な思いが交錯してヒートアップしたり浄化したりしなかったり。
Wiki見ると監督は北野映画のファンらしいね。(学生への鉄拳制裁あたりを見たときになんとなく北野映画を思い出した)

映画『15時17分、パリ行き』

2018年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




2015年、アムステルダム発パリ行きの高速列車内でテロ事件が発生する。
犯人はイスラム過激派の男一人。
この列車に居合わせたアメリカ人の幼馴染3人がテロリストに立ち向かう。

立ち向かうといってもテロ自体はほんの数分の出来事なので、映画は3人の幼少時代の出会いとか軍で経験したこととか3人の欧州旅行の様子とかが中心となる。
列車内の現在と過去が交互に描かれ、音で現在と過去が切り替わったりするのはスタイリッシュ。

あのちびっこ達が面影まったくなくガチムチのむさい大人になるのに違和感があるけどそこはまあいい。
それよりこの3人ってどちらかという犯罪者役よりの顔立ちじゃないか。
あ、まじか、実際の当事者たちが演じていたらしい。失礼しました。

2018年7月8日日曜日

映画『ベロニカとの記憶』

2017年 監督:リテーシュ・バトラ
製作国:イギリス
at ギンレイホール




狭い店で中古カメラ店を経営しながら年金生活を送るトニー(ジム・ブロードベント)。
ある日一通の手紙が届く。学生時代の初恋の女性ベロニカの母親が亡くなり、一冊の日記がトニーに遺贈された、というもの。
ベロニカとは何十年もあっておらず、しかもその母親(一度しか会っていない)からの遺贈とは何なのか?
ほろ苦い青春の思い出に浸りながらトニーはこの奇妙な出来事に関心を寄せていく。

前半はかったるくてうとうとしてしまったが、なかなか面白かった。
主人公のトニーはあからさまでなく微妙に嫌な奴として描かれ、そのちくちくとした仕込みが後半の真相につながる。

シャーロット・ランプリングはあの三白眼が最近少し苦手になってきていて、どんな映画でもその存在感と表現力で魅了してくれる存在だけにちょっと悩ましいところ。
この映画でも複雑な過去の鎖を背負った女性を静謐な演技で見せてくれるけど、若き日のベロニカ(フレイア・メイヴァー)と1mmも似ていないところが痛い。
年取って三白眼にはならない。
この役は薄幸そうな美少女が薄幸に年老いたような風貌の女優さんの方がよかったな。ぱっと女優名が出てこないけど。

映画『あなたの旅立ち、綴ります』

2017年 監督:マーク・ペリントン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




キャリアウーマンで広告業界で名を馳せたハリエット(シャーリー・マクレーン)はその財で優雅に暮らしていた。
死期が近づくにつれ、ふとしたことから自分の訃報記事がどう書かれるか気になりだす。
なんでも自分でコントロールしないと気がすまない彼女は、地元新聞社に乗り込み訃報記事の執筆依頼をする。
担当として選ばれたのは若き女性社員のアン(アマンダ・セイフライド)。
アンはさっそく取材を開始するが、ハリエットの評判はさんざんなものだった。
で、いい訃報記事を書くための条件を満たすためにハリエットは行動を開始し、なんだかんだで二人は仲良くなってアンの悩みもなんか解消してよかったねという話。

アンのハリエットに対する態度、足を机に乗せたり「なんか偉そうでむかつく」と言ってしまうような負けん気というかプライドの高さには驚く。
いや、欧米人の自己主張の激しさやプライドの高さは一般的だろうけど、それにしても小さな会社のぺーぺー平社員がなんの対抗心を燃やしているのかと。
そりゃあ失敗するのも怖くなるわ。

ちょっと寝不足気味だったので大分うとうとしてしまった。

シャーリー・マクレーンは若い頃が輝いていただけに塗りたくった化粧がなんか複雑。
アマンダ・セイフライドってなんか苦手なんだよね。
美人っぽくもあるしクリーチャーっぽくもある。
でも最後の方でハリエットを見つめる立ち姿は優しさに溢れてはっとするほど恐ろしく美しかった。
そういう思いがけず映える姿を見せるところが面白くもあり苦手でもある。

老女と若い女性が海(湖)に入るって、ジェシカ・タンディとブリジット・フォンダが出演する『カミーラ/あなたといた夏』を思い出す。
そのシーンだけ見るとカミーラの方が強烈だったためにこちらはとってつけたようなお遊びに見える。。