2018年 監督:トーマス・ステューバー
製作国:ドイツ
at ギンレイホール
予告編見て面白そうなやつって、たいてい本編がつまらないのだけど、これは期待通りに面白かった。
東西統一後のドイツで、クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は巨大スーパーマーケットの在庫係として働き始める。
無口で内気な青年クリスティアンが、上司のイケてる中年おやじブルーノ(ペーター・クルト)の指導の元、苦手なフォークリフトの操作に四苦八苦しながらも真面目に黙々と働き、いつもにこにこ笑顔の人妻マリオン(ザンドラ・ヒュラー)に恋し、っていう話。
音の使い方がすごくよくて、そしてこういう音にこだわる人ってあまり音楽を使わないのだけど、この監督は音楽もがんがん使う。
その音楽がまたいいんだな。
盛り場でのファミコン音楽みたいなピコピコ音とか。
そこでこの音楽かよっていうのもあって、単純に悲しい場面で楽しい音楽流すとかそういうチープな話じゃなくて、もっと刺激的に映像を変容させていくような音楽の使い方というか、説明が難しいし記憶も曖昧だけど、一言でいうならとにかくセンスがいい。
映画の多くを占める無機的な倉庫も様々な表情を見せて面白いけど、店の外のあまりの何もなさにはびっくりする。
予告編にもあるけど、トラックのヘッドライトがひたすら連なる夜の道のシーンはよかったな。
原作はクレメンス・マイヤーって人の短編小説で、脚本も担当していて、しかもマリオンの夫役で出演もしているらしい。(らしいというのはあまり覚えていないから)
クレメンス・マイヤーとトーマス・ステューバーは過去にも何回かタッグを組んでいるらしく、今後も名作をいっぱい撮って欲しいなぁと思う。
2019年10月20日日曜日
映画『誰もがそれを知っている』
2018年 監督:アスガー・ファルハディ
製作国:スペイン/フランス/イタリア
at ギンレイホール
時計塔の中って怖いよね。
あの歯車とか巻き込まれたら大惨事だし。
そういう緊張感の欠片もない若者たちや鳩にこっちが緊張する。
そして何より時計塔の中が出てくるのは名作と決まっている。
文字盤の割れた隙間も映える。
ラウラ(ペネロペ・クルス)は妹の結婚式に出席するために子供を連れて帰郷する。
家族や幼馴染のパコ(ハビエル・バルデム)と再会してまぶしいくらいの賑やかさに溢れる。
結婚式も幸せに幕を閉じようとした矢先、ラウラの娘イレーネが家の中から突然失踪する。
ほどなく誘拐犯から連絡がきて。。
ミステリーだけどあまり謎解きのヒントのようなものはなく、小出しにされる過去やら秘密やらの人間関係の変化が主軸になっている。
見終わってから知ったけど、監督はアスガー・ファルハディだった。
生意気ざかりで未来に希望しか見えていなかったイレーネの今後が心配だ。
製作国:スペイン/フランス/イタリア
at ギンレイホール
時計塔の中って怖いよね。
あの歯車とか巻き込まれたら大惨事だし。
そういう緊張感の欠片もない若者たちや鳩にこっちが緊張する。
そして何より時計塔の中が出てくるのは名作と決まっている。
文字盤の割れた隙間も映える。
ラウラ(ペネロペ・クルス)は妹の結婚式に出席するために子供を連れて帰郷する。
家族や幼馴染のパコ(ハビエル・バルデム)と再会してまぶしいくらいの賑やかさに溢れる。
結婚式も幸せに幕を閉じようとした矢先、ラウラの娘イレーネが家の中から突然失踪する。
ほどなく誘拐犯から連絡がきて。。
ミステリーだけどあまり謎解きのヒントのようなものはなく、小出しにされる過去やら秘密やらの人間関係の変化が主軸になっている。
見終わってから知ったけど、監督はアスガー・ファルハディだった。
生意気ざかりで未来に希望しか見えていなかったイレーネの今後が心配だ。
2019年10月6日日曜日
映画『グリーンブック』
2018年 監督:ピーター・ファレリー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしているトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は粗野で無教養だが、その腕っぷしやはったりで周りからの信頼が厚い。愛する妻と子持ち。
一方カーネギーホールに住むドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は天才ピアニストで、本当はクラシックをやりたいが、黒人ということで一般受けのいいポップな曲をやらされている。
このドクター・シャーリーのお抱え運転手としてトニーが採用され、黒人差別が色濃い南部の演奏旅行に出かけるロードムービー。
トニーは周りに流されてか、どちらかというと黒人差別主義者だった。
このトニーがドクター・シャーリーの人柄に触れて変わっていく、みたいな単純な筋書きにはならず(最終的にはそうだけど)、ドクター・シャーリーの最初の印象がまた高圧的で嫌な感じの奴なのね。
この二人が仲良くなるなんて考えられないところからスタートし、旅を通じて黒人差別の実態やドクター・シャーリーの心の内に触れていくことで次第に、っていう話。
ギャングでもないのに暴力に躊躇ないトニーが、いい年してなにやってんのこいつと思いながらも無性にかっこいい。
筋骨隆々じゃなくてちょっとぽっちゃり気味の程よい筋肉感がリアルだし、ヴィゴ・モーテンセンのクールな目もかっこいい。
ピザを二つ折りにしてかぶりつきたくなってくる。ケンタッキーはなんか気持ち悪かったけど。
トニーの妻役リンダ・カーデリーニは40過ぎているのに天使かってくらいキュートだった。テレビを中心に活動していた人っぽい。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしているトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は粗野で無教養だが、その腕っぷしやはったりで周りからの信頼が厚い。愛する妻と子持ち。
一方カーネギーホールに住むドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は天才ピアニストで、本当はクラシックをやりたいが、黒人ということで一般受けのいいポップな曲をやらされている。
このドクター・シャーリーのお抱え運転手としてトニーが採用され、黒人差別が色濃い南部の演奏旅行に出かけるロードムービー。
トニーは周りに流されてか、どちらかというと黒人差別主義者だった。
このトニーがドクター・シャーリーの人柄に触れて変わっていく、みたいな単純な筋書きにはならず(最終的にはそうだけど)、ドクター・シャーリーの最初の印象がまた高圧的で嫌な感じの奴なのね。
この二人が仲良くなるなんて考えられないところからスタートし、旅を通じて黒人差別の実態やドクター・シャーリーの心の内に触れていくことで次第に、っていう話。
ギャングでもないのに暴力に躊躇ないトニーが、いい年してなにやってんのこいつと思いながらも無性にかっこいい。
筋骨隆々じゃなくてちょっとぽっちゃり気味の程よい筋肉感がリアルだし、ヴィゴ・モーテンセンのクールな目もかっこいい。
ピザを二つ折りにしてかぶりつきたくなってくる。ケンタッキーはなんか気持ち悪かったけど。
トニーの妻役リンダ・カーデリーニは40過ぎているのに天使かってくらいキュートだった。テレビを中心に活動していた人っぽい。
映画『ブラック・クランズマン』
2018年 監督:スパイク・リー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1970年代、コロラド州の警察署で初の黒人警官に採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、白人至上主義のKKKに電話をかけ、潜入捜査を試みる。
といっても黒人じゃ入れないので実際に潜入するのは同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が選ばれる。
電話担当のロン、潜入担当のフリップの二人による緊張と笑いと痛快の捜査が始まる。
最初のほうなかなか話が進まないので、黒人達が踊っているシーンとか眠気のピークで少し寝てしまった。
起きたあとは特に展開の矛盾も感じなかったので、きっとたいしたシーンじゃなかったのだろう。。
ロンとフリップは声が明らかに違うし、フリップがそのまま電話担当にもなればいい気もするけど、そうするとロンの仕事がなくなっちゃうし、声の違いがばれるかもという緊張感を生むし、一応
ロンは口が達者(潜入するフリップの方が口が達者である必要があるけど)という設定みたいだから、これでいいのだろう。
というか実話に基づいているんだね。
KKKのメンバーは指導者のデビッド・デューク(トファー・グレイス)を含め、彼らをコケにするあまり、とんでもないアホとして描かれている。
実際レイシストなんて実際そうなのかもしれないし、最後に彼らが実行しようとしたことはひどいけれど、それでも彼ら(一部)の結末が可愛そうだなと思ってしまった。
KKKの対比としてか、ブラックパワーを叫ぶ黒人至上主義集団みたいなものも出てくる。こっちは味方。
以下少しネタバレ
最後の方で銃を構えたロンと彼女を正面から捉えて距離を保ちながら引いていくシーンは昔の黒人ギャング映画みたいでかっこいい。
と思ったらその後の映像、2017年に起きた白人至上主義者の反対デモに車が突っ込む映像が強烈で全てがふっとんだ。
本作がいろいろ茶化しながらコメディ風にシリアスを描いている分、生の泣き叫ぶ声の前では薄い紙切れのように吹き飛ばされる。
このラストに差し込まれる実際の映像にはネットで検索するといろいろ賛否両論が巻き起こっているみたいね。
レイシストが大統領であることとか、現代アメリカへの危機感を啓示するために、むしろ最後のこのドキュメント映像が主で、そのつなぎやおまけとして本編映像が作られたに違いないな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1970年代、コロラド州の警察署で初の黒人警官に採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、白人至上主義のKKKに電話をかけ、潜入捜査を試みる。
といっても黒人じゃ入れないので実際に潜入するのは同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が選ばれる。
電話担当のロン、潜入担当のフリップの二人による緊張と笑いと痛快の捜査が始まる。
最初のほうなかなか話が進まないので、黒人達が踊っているシーンとか眠気のピークで少し寝てしまった。
起きたあとは特に展開の矛盾も感じなかったので、きっとたいしたシーンじゃなかったのだろう。。
ロンとフリップは声が明らかに違うし、フリップがそのまま電話担当にもなればいい気もするけど、そうするとロンの仕事がなくなっちゃうし、声の違いがばれるかもという緊張感を生むし、一応
ロンは口が達者(潜入するフリップの方が口が達者である必要があるけど)という設定みたいだから、これでいいのだろう。
というか実話に基づいているんだね。
KKKのメンバーは指導者のデビッド・デューク(トファー・グレイス)を含め、彼らをコケにするあまり、とんでもないアホとして描かれている。
実際レイシストなんて実際そうなのかもしれないし、最後に彼らが実行しようとしたことはひどいけれど、それでも彼ら(一部)の結末が可愛そうだなと思ってしまった。
KKKの対比としてか、ブラックパワーを叫ぶ黒人至上主義集団みたいなものも出てくる。こっちは味方。
以下少しネタバレ
最後の方で銃を構えたロンと彼女を正面から捉えて距離を保ちながら引いていくシーンは昔の黒人ギャング映画みたいでかっこいい。
と思ったらその後の映像、2017年に起きた白人至上主義者の反対デモに車が突っ込む映像が強烈で全てがふっとんだ。
本作がいろいろ茶化しながらコメディ風にシリアスを描いている分、生の泣き叫ぶ声の前では薄い紙切れのように吹き飛ばされる。
このラストに差し込まれる実際の映像にはネットで検索するといろいろ賛否両論が巻き起こっているみたいね。
レイシストが大統領であることとか、現代アメリカへの危機感を啓示するために、むしろ最後のこのドキュメント映像が主で、そのつなぎやおまけとして本編映像が作られたに違いないな。
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