2021年6月19日土曜日

映画『私は確信する』

2018年 監督:アントワーヌ・ランボー
製作国:フランス / ベルギー
at ギンレイホール




実際の事件らしいね。
裁判物。
妻の殺害容疑で逮捕された大学教授ジャック・ヴィギエ(ローラン・リュカ)は一審無罪。
検察控訴で二審が始まるところからスタート。
主役はヴィギエじゃなくて、ヴィギエの娘が家庭教師をしている子供の母親ノラ(マリナ・フォイス)。
ジャックの無罪を確信しているノラは有能弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に担当を依頼したり、膨大な通話記録を整理したりと八面六臂の活躍をする。
というか暴走していく。。

各人物の背景やら心境の変化の理由とか、通話記録って何だよ(何でそんなのあってかつ警察が検証してないんだよ)とか、細かいところはよくわからないのだが、まあ展開はスリリングで面白かったんじゃないかと思う。

昔ジェットリーの映画見てフランス警察の腐敗っぷりの描き方がやばすぎて国際問題になるんじゃないかと危惧したけど、その後様々な映画でことあるごとにフランス警察のクソさが描かれているのを見て、実際クソなんだろうといつの頃からか思うようになっていた。
だから知ってた。

映画『聖なる犯罪者』

2019年 監督:ヤン・コマサ
製作国:ポーランド / フランス
at ギンレイホール




熱い。面白い。

少年院から仮釈放で出てきたダニエル(バルトシュ・ビィエレニア)は田舎町の製材所へ就職する。
はずだったが、なんやかんやでその村の教会の司祭になる。
少年院の頃から司祭に憧れていたが犯罪歴があると司祭にはなれないので、もちろんなりすまし。
司祭の資格も無いから知識も乏しいけどそこはなんだかうまいこと切り抜けていく。
というか正統と型破りさがいい塩梅で、次第に村民の信頼も得るようになっていく。

360度どっから見ても悪人面で司祭なんて最も似合わないのに次第にしっくりくる不思議。
ダニエルはちょっとやんちゃが過ぎて少年院に入ったけど根っからの悪人というわけではなさそう(人殺しているが)。
そういう人物像がだんだん見えてくるのと、いつバレるかというスリルと、村で最近起きた痛ましい事故の真相(ミステリー)とか、いろんな要素が絡まってくる。
村にありがちな村八分的な嫌がらせやら村でくすぶる若者たちの鬱憤だとか、村八分された未亡人の怒りだとか、いつもへらへらした少年院仲間の悩みとか、事故の真相の一端を知って抱え込んでいるマルタ(エリーザ・リチェムブル)とか、基本的には負の感情が渦巻いているのね。
そこにさらに負の塊のようなダニエルが司祭として救いになっている図式が奇妙で面白い。
負だけど負過ぎず、逆にそれが熱い。

2021年6月5日土曜日

映画『チャンシルさんには福が多いね』

2019年 監督:キム・チョヒ
製作国:韓国
at ギンレイホール




なんというか昔懐かしい感じの映画。
オープニングタイトルのござっぽい布地にキャストが表示されるのが小津っぽいと思ったら主人公が大の小津ファン。
いや、懐かしいのはそこじゃなくて、レスリー・チャンが出てくるのね。
もちろん偽物で幽霊で似てすらいないけど。
ランニングシャツのこの下着っぽい姿は確かにレスリー・チャンは(というかあの時代の香港映画の出演者は)しょっちゅうこんな格好していた気がする。懐かしい。
こういうゆるいコメディドラマも香港ノワールの影に隠れて2000年前後くらいの香港映画でよくなかったっけ。
まあどっちにしろ恐らく小津を目指していたのだろうけど。

つまらなくはないけどさして面白くもなかった。

40前後の美人でもないおばさんを主人公に据えて、ゆるいコメディ撮ろうという気概、というか実際映画を作ってしまえるという香港映画界は懐が深いなぁ。

告白して走って逃げるところは可愛らしかった。

公式ページで公開されている
この辺のshort shortとかmusic video見て面白そうだと思ったら本編も見たほうがいい。
逆に苦手に思ったら見ないほうがいい。
私はmusic video少し見てなんか苦手だった。

監督のキム・チョヒはホン・サンスの映画のプロデューサーやっていた人らしい。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』

2019年 監督:ナワポン・タムロンラタナリット
製作国:タイ
at ギンレイホール




断捨離のススメみたいな話かと思いきや、意外と複雑で凝った人間ドラマで面白い。
あっという間にゴミ袋が量産されて捨てればおしまいってところまでいったときは、もうそのまま映画が終わるのかと思った。
ジーン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は捨てるのを一旦中止して人からの借り物はせめて返却しようと思い直す。
物を捨てるということはその物にまつわる記憶と決着をつけること。
それにしても借りてたものが多すぎないかww
しかも捨てようとしていたし。
コントラバスの持ち主にはなにやら恨まれているし、元恋人には自分勝手にひどい仕打ちしているしで、ジーンという人物像がだんだん見えてくるのが面白い。

元恋人エム(サニー・スワンメーターノン)とエムの今の彼女ミー(サリカー・サートシンスパー)とジーンの3者の関係が面白い。
もっといろいろどろどろしていいはずなのに。
その辺は最後のほうでああ、やっぱりって感じでなんか感心した。
なんだかんだでミーはいい子だなぁ。
エムの不気味に張り付いた微笑がずっと怖かったけどそれも最後まで見るとなかなか面白い。
エムはイケメンっぽいけどなんとなく違和感ある顔立ちしているから微笑が怖いのよ。
エムを演じたサニー・スワンメーターノンは公式ページに「1981年5月18日生まれ。タイとシンガポールとフランスのミックス」って書いてあるな。

ジーンの友達で坊主頭が只者じゃない雰囲気のピンク役のパッチャー・キットチャイジャルーンは写真家らしい。

主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の子だったんだな。