2021年9月25日土曜日

映画『くれなずめ』

2021年 監督:松居大悟
製作国:日本
at ギンレイホール




脚本ぶっ飛んでいる系のコメディドラマ。
コメディだけど生死を扱った話でもある。
心臓辺りからぶっ飛びすぎて置いてけぼり感や飽きがやってくるけど全体的には面白かった。

前田敦子のキレ芸いいな。
主演は成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹。
この6人組がいじめられっ子いじめっ子陰キャ陽キャ文化系体育会系、みたいな混じりそうのないキャラクターで構成されたグループで不思議。
めっちゃ仲いいし。
皆でバカやってくそ盛り上がっているところで城田優登場によって一気にシュンと現実に戻る姿とか生々しくて面白い。
若葉竜也が演じた明石なんか、見るからに不良で城田優側のはずなのにいじめられ側だというところが違和感、というか笑いどころなのかも。
30過ぎの役者達が高校生頑張っている姿とかもそうか。

映画『キネマの神様』

2021年 監督:山田洋次
製作国:日本
at ギンレイホール




このシーンは志村けんが演じていたらこんな感じかな、みたいに想像してしまう。
志村けんを連想させるようなものが意図的に入っているし、沢田研二自体結構意識して演技しているふうでもある。
そういう想像で楽しめる人とそうでない人に分かれそう。
私はなんか集中できなかった。

小林稔侍とか10数年ぶりに見た気がする。
テラシンって野田洋次郎だったんだな。というか朝ドラ『エール』の木枯もそうだったのか!気づかなかった。
永野芽郁かわいい。
友情出演みたいなちょい役含めで名のしれた役者が大量に出ていてちょっと食傷気味。

脚本ほとんど年齢不詳孫(前田旺志郎)作だよな。

2021年9月11日土曜日

映画『アンモナイトの目覚め』

2020年 監督:フランシス・リー
製作国:イギリス / オーストラリア / アメリカ
at ギンレイホール




イギリスの海辺の町ライムで母と暮らすメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)は、観光客用の化石を売って細々と生計を立てている。
そんなメアリーは実はすごい人で、わずか13歳で発見した化石(イクチオサウルス)は大英博物館に展示されているほど。
ある日化石コレクターが鬱気味の妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)を連れてメアリーのもとに訪れる。
でなんだかんだでメアリーはシャーロットの面倒を見ることになる。

いやぁ、なんか凄かった。
土臭さと高貴さ、ごつさと華奢さ、栄光と現実、田舎と都会、鳥かごと自由、ツンとデレ。。
映像は抑制されて静謐なんだけど、何かが驚異的なバランスで収められているような感じ。
で、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンがすごくいい。
視線の動き一つで演技しているよな。
演技合戦とかいっちゃうと胡散臭いしそれだけの映画みたいになっちゃうから嫌だけど、この二人がこの映画の面白さを確実に底上げしているのは確か。

『燃ゆる女の肖像』とかさ、最近レズビアンものの名作が多いよな。

フランシス・リー監督は元俳優で40代過ぎて監督に転身してこれが長編二作目らしい。
すごい人が出てきたもんだ、というかもう有名なのか。

あとメアリー・アニング自体は実在の人物らしい。

映画『この世界に残されて』

2019年 監督:バルナバーシュ・トート
製作国:ハンガリー
at ギンレイホール




1948年のハンガリー。
一人で暮らすユダヤ人医師アルド(カーロイ・ハイデュク)は患者としてやってきた少女クララ(アビゲール・スーケ)と知り合う。
クララもまたユダヤ人で今は大叔母の家に住んでいる。
ホロコーストを生き延びた二人の絆の物語。

父娘のような恋人のようなそしてそのどれでもない関係だが、ホロコーストの傷跡と本当の家族の思い出がなにかもっと深いところで二人を結びつける。
この二人の関係がどう変わっていくか。
男女である、一方はいい大人である、一方は成長過程の少女である、そしてスタンリーソ連がハンガリーで権力を得ていく時代背景がある。

少女役のアビゲール・スーケがすごくいい。
きりっとした目が力強くて可愛くて切ない。
16歳にしては色っぽいと思ったら、1998年生まれらしいね。

以下ネタバレ

結構説明が省かれているから解釈が怪しいのだけど、
アルドとクララは男女としての感情をお互い持っていたという認識でいいんだよな。
アルドが再婚を決めたのは党員に目をつけられないようにするための偽装。
失恋したクララは恋人ができるとともにアルドに対する感情が父親に対するような愛情に戻っていった。
スターリン死去のくだりは、結婚する必要なかったとか、クララがアメリカに行ってしまうとか、時代に翻弄され続ける悔しさとか、なんかいろいろあるのだろう。

2021年9月1日水曜日

映画『旅立つ息子へ』

2020年 監督:ニル・ベルグマン
製作国:イスラエル / イタリア
at ギンレイホール




アハロン(シャイ・アヴィヴィ)は田舎町で自閉症の息子ウリ(ノアム・インベル)と二人で暮らしている。
幸せな暮らしだが妻(別居中?)タマラはウリを施設に入れようとしている。
厄介払いとかではなくて(そもそも一緒に住んでいない)、ウリの将来を思ってのこと。
アハロンはウリを施設に入れるのに反対だが、彼には定収入が無い。(昔は結構有名なグラフィックデザイナーだったらしいが今は息子のために全てを捨てて田舎に越してきたらしい)
そこがネックになり渋々ウリを施設に連れていくことになる。
ってところからロードムービーの始まり。

親は子に子は親にどっぷり依存している関係だが、いつまでもそういう関係を続けることはできない。親が先にいなくなるし。
自閉症を扱いながらも親離れ子離れの物語でもある。

ウリがいくつくらいかよくわからなくて、20代っぽいけど30代っぽくもある。
役者は1998年生まれらしいので恐らく役どころも20代前半かな。

映画『サンドラの小さな家』

2020年 監督:フィリダ・ロイド
製作国:アイルランド / イギリス
at ギンレイホール




予告編見る限りタイトルも似ているダルデンヌ兄弟の『サンドラの週末』っぽい雰囲気ではある。
実際は週末よりもう少しエンターテインメント寄りでそれほど似ていなかった。
どっちも原題にサンドラって入ってないんだな。

幼い子どもとノリノリでダンスなんかしちゃって何を見せられてんだ的なとりあえず幸せそうな家族だね、ってところから夫が登場して一変、ブラック・ウィドウ!グシャァ!DV。
エンターテイメント的導入。
最悪のDV夫から幼い子ども二人を連れて逃げ出したサンドラ(クレア・ダン)は、ホテルで仮住まいしながら3人で住める家を探す。
しかし公営住宅はとんでもなく長い順番待ちで待っている間に破産しそう。
だから自分で家を建てることを決意する。すごい発想。

映画としては『サンドラの週末』の方が面白いけど、これはこれでエンターテインメントとしては普通に面白い。
エンターテインメントって言っている理由は演出がそうなっているっていうのと、生活困窮者の奮闘とか協力者の温かみとか社会制度の問題とか、描いているようで描いていない気がするんだよな。
バイト仲間やらろくに話したことのないママ友とか、協力者は簡単に集まるし、生活困窮者は主人公だけだし。
ボランティアの人たちいい人すぎるよね。
最初のおやっさんこそ無償で手伝うなんて絶対しない雰囲気で手強そうだったくせに、手伝うようになった理由はいまいちはっきりしない。多少繋がりのある人だったからとか、そこから事情を察知してDVに同情した?
DV問題だけは子供のPTSD含めて酷に描いている気もする。
けどいくら子供には暴力振るわないからっていっても、母親への暴力をそんなに気づかないもんか。
DV側の描写も父親を見て夫は妻に暴力をふるうもんだと覚えてしまったのね、ってそんな。。