2022年4月23日土曜日

映画『パーフェクト・ケア』

2020年 監督:J・ブレイクソン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




マフィアのボスとか暗殺者とか金塊強奪犯とかさ、悪人が主人公の映画はよくあるけど、この映画の主人公は本物のど畜生なのね。
しかも法は侵していないという。
普通は主人公に成敗されてすっきりする悪人側の人間。
新しい。。

全く感情移入できない主人公なんだけど、人物の構図的には圧倒的で理不尽な力に抗うヒーローみたいになる。
どっちもどっちでどっちも応援したいようなしたくないような。
新しい。。
で、そんな微妙な感情のままで混乱させられながらも意外とそれなりに面白いっていう。
展開が読めないからかな。
ラストは置きに行った感はあるが。

主演ロザムンド・パイク。
相棒役にエイサ・ゴンサレス。
エイサ・ゴンサレス!なにこの人。とんでもなく可愛らしくてとんでもなく美人でとんでもなく魅力的なんだけど。
『ベイビー・ドライバー』に出ているのか。その時はほとんど印象なかったな。

あとピーター・ディンクレイジ。
いい役者さんだよね。この人の次回作『シラノ』では主演らしい。

映画『皮膚を売った男』

2020年 監督:カウテール・ベン・ハニア
製作国:ジア / フランス / ベルギー / スウェーデン / ドイツ / カタール / サウジアラビア
at ギンレイホール




レバノンで苦しい生活を送るシリア難民のサム(ヤヤ・マヘイニ)。
離れ離れになった故郷にいた恋人は結婚してしまったが、未だに連絡は取り合っていてお互いの想いも変わらないのだが、会えない!
そんな時世界的芸術家からある提案をされて、サムは自由(不自由)を手に入れる。

芸術を扱っているからか映像も凝っている。
それでいてストーリーはエンターテインメント。
なかなか面白かった。

真っ白で無機質な空間の中、鏡を使った緻密なカメラワークが展開される冒頭がまず面白いんだけど、この冒頭が実は結構重要なシーンで後でまた生きてくるのね。
ストーリー構成も凝ったもんだ。

唯一音響が無駄にでかいのは不快だったかな。

ヴィム・デルボアの実際のアート作品から着想を得ているらしい。
つまり実際にいるのね。皮膚を売った男が。
ヴィム・デルボアは保険屋の役で出演している。

共演にモニカ・ベルッチ

2022年4月9日土曜日

映画『由宇子の天秤』

2020年 監督:春本雄二郎
製作国:日本
at ギンレイホール




見る前、152分とか本当勘弁してほしいわ。正気かよ。
見た後、なにこの傑作。。

ドキュメンタリー・ディレクターの木下由宇子(瀧内公美)は3年前の女子高生自殺事件の真相に迫るドキュメンタリーを撮影中だった。
いじめで自殺だけど教師に乱暴されたという話になってその教師は自分は無実の遺書を残して自殺した事件。
いじめを隠蔽かつ邪魔な教師を冤罪で排斥しようとした学校側の対応や煽るマスコミに憤るドキュメンタリー。
遺族や加害者側家族とのコンタクトから取材・撮影、検閲する局、といろいろ神経使いそうな作業を黙々とこなす。
で、由宇子の父親は学習塾を経営していて、由宇子も先生として手伝いなんかしている。
そんなとき父親が。。

あ、前半部分だけどなんか書きすぎたか。

父親役の光石研は年の離れた夫役かとしばらく思っていたわ。

塾行ったことないから知らんけど、生徒を下の名前で呼んでいるのがなんかキモかった。普通そうなんか?
あまり普通じゃないなら、それからあの事件、ってマスコミが飛びつくぜ。
マスコミに煽られた世間の目で加害者家族の人生が詰むのは由宇子自身がさんざん接してきた事実。
孤軍奮闘ってやつだよな。心労でハゲそうだ。
由宇子のバイタリティに感服する。

物語は最後の方でいろいろ二転三転してラストの方は展開がいろいろ衝撃よね。
面白かった。

予告編にもある「どっち側なんだよ」「側って何?」は本編の流れで見るとぞくっとした。

映画『空白』

2021年 監督:吉田恵輔
製作国:日本
at ギンレイホール




序盤にくる事故場面がかなりど直球に描かれていて衝撃だった。
序盤なんて普通だいたい油断しているじゃん。
身体的グロさでがつんとやられて、しかもこの後は恐らく精神的グロさのオンパレードなはずなので、これはきついかも、って思ったけど、終始引き込まれてなかなか面白かった。

逃げた万引き犯女子中学生(伊東蒼)を追っていたスーパー店長青柳直人(松坂桃李)。
逃亡劇の結末は悲しい事故。
娘をなくした無骨な漁師の添田充(古田新太)は娘が万引きしたなんて信じられず、真実を突き止めるためにモンスター化していく。

青柳に好意を寄せる草加部麻子(寺島しのぶ)が絶品なのね。
役柄的には一番グロくて、一番癒やし。
独身偽善家おばさんを結構誇張表現した役柄だとは思うけど、一番リアルな役柄に見えた。
寺島しのぶって正直好きな女優じゃなかったけど、見た作品がなぜか美人役が多かったからかな。一気に好きになったわ。

古田新太はこんな怖かったっけ。
いかついトラック運転手をひるませるほどの迫力がすごい。

教師(趣里)が作業の効率とかスケジュールとかをくどくど遠回しに説教しながら説明しているのはなんかいらっとして面白かったな。
こういう教師すごくいそう。
言い過ぎたことを後に反省したこの教師に対して、社会に出てから困るのは彼らなんだから今教えてやるべき、みたいな超絶上から目線のセリフを吐く別の教師とかもいるし。

片岡礼子が演じた役は出来すぎていてなんか逆に怖かった。
添田の態度・対応にも少なからず原因があったはずだよな。
とりあえず車なんて絶対運転しないわって思った。