2025年10月25日土曜日

映画『フルメタル・ジャケット』

1987年 監督:スタンリー・キューブリック
製作国:アメリカ
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二部構成みたいな感じで、第一部の新兵訓練基地で結構腹いっぱい。
二部でがらっと舞台も空気感も変わる。
共通しているのは狂気と恐れで、1から10の数値で表すと
一部:6 to 10
二部:3 to 12
みたいな波がある。
二部なんかいよいよ戦地だからよりやばくなるはずなのに、一部ラストの衝撃から一転ナンシー・シナトラの『にくい貴方』だもんな。
それでもやはり戦地なので段々と混沌としてくる。

キューブリックは屋外より室内シーンが好きだな。
部屋の装飾、配色、無機質さ、奥行き、整然としているようでどこか崩れているっていう恐怖と狂気。
屋外だと空間が広がりすぎる。
だから新兵訓練基地のシーンの方がどちらかという面白いのだけど、後半も最後の方の緊張感はなかなか凄い。
今なら見わけも付かないCGで簡単なのだろうが、これ全部セットだよな。凄い金かけている。

ハートマン軍曹役のR・リー・アーメイはテクニカルアドバイザーとして参加していたが、その迫力を買われてそのまま役をゲットしたらしい。
「上出来だ 頭がマ〇コするまでしごいてやる ケツの穴でミルク飲むまでシゴき倒す! 貴様か腐れマラは?クソガキが!貴様だろ腐れマラは!」
よくまあ卑猥なのかなんなのか意味不明な言葉が流暢に出てくるもんだ。

マシュー・モディーンは名前だけ憶えていてなんで知ってるのかと思って調べたら『リアル・ブロンド』に出ていた人か。

ファミコンウォーズがでーるぞの元ネタと知らなかったので、あっ、てなった。懐かしい。

2025年10月18日土曜日

映画『楽園 流されて』

2005年 監督:亀井亨
製作国:日本
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緑がかった映像は中国の時代物映画のような雰囲気で、何か常識外のことが普通に起こりそうな雰囲気。
舞台は地方の小さな漁村。
局アナで父親は元県知事、選挙に立候補した多々野恵利香(街田しおん)はほぼ勝ちが確定している。
才色兼備で生まれにも恵まれた恵利香だが、性格が最強に悪かった。高慢ちきで、他人をすべて見下している感じを隠しもしない。
一方漁師見習いの青梅洋平(榊英雄)は、言われるまま流されるままに生きてきた人間で、のんびりしているというか馬鹿なのか。
そんな自分が嫌なのかなんなのか、心の奥では怒りの種がくすぶっていって、それは妻にだけ爆発する。
そんなクズ女性とクズ男性が出会い、ハートフルな人間ドラマでも展開するのかと思いきや全然違ったw

以下ネタバレ


性行為シーンは短く少な目だけどポルノ映画やストーリーの面白いAVみたいな感じ。
膝上スカートのスーツなんて風俗の子くらいしか着ないでしょ。色気むんむんの恵利香様。
苛酷な状況でも変わらずなじられて、イラつきながらもただ従う洋平が聖人に見える。
高慢ちきな女性を無力な状況に追い込んでプライドずたずたに凌辱する、ってAVにありそうだが、この映画は少し違って、恵利香様は少しも折れない。
クズとクズが無人島生活を経てなんか成長する、みたいなありきたりな展開もせず、二人ともクズのままなのが清々しい。
無人島からの生還という大ニュースになりそうなことでも関係なく、病院にもいかず、ぼろぼろの姿のままただ選挙の事を考える依然と変わらない高慢ちき恵利香様がかっこよくすらある。
洋平のほうは、もう戻れない理由があるのだが、最後いい感じの別れのシーンだったのに一気に台無しにして頭から血流す洋平が笑える。

榊英雄はその後性加害で逮捕、ってリアルでもクズだったw

2025年10月12日日曜日

映画『罪と悪』

2023年 監督:齊藤勇起
製作国:日本
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サッカー少年達のきらきらした中学生時代。
一転ダークな展開に落ちてからタイトルバック、そして舞台は20年後へ。
タイトルバックまで20分以上たっぷり使ったプロローグで、もう腹いっぱいなくらい詰まっている。タイトルバックの時点で続きが気になるのは久しぶりだ。

いやー面白かった。
程よい緊張感とミステリーと友情と。
ただ、最後あれって感じで終わるのだけは肩透かしだった。ネタバレなので後で話す。

主演高良健吾と大東駿介。
高良健吾は刈り上げがかっこいい。ガタイがいいわけでもないのに圧倒的なカリスマオーラで役に合っている。
大東駿介はだいぶおっさんになったな。三白眼がより強くなってないか。
もう一人の幼馴染の朔役は石田卓也。夜のピクニックの人か。
他、やくざの幹部に村上淳。おお、これまたおっさんになったなぁ。背縮んだ?
やくざの親分に佐藤浩市。痩せた。。
警察の上司に椎名桔平。太った。。

以下ネタバレ


結局やくざとの一件で筋通す形でどうケリつけたのか?
そもそも金を盗んだことなのか村田を殺害したことなのか。。
その辺の展開の前になんか「えっ」と思うような展開になってそのまま終わるからもやもやが凄い。

朔犯人説もあれは事実なのか?
朔が最後まで認めず「偶然と想像で成り立つお話だな」と言っているのは正にその通りで、本当ただの想像じゃん。証拠もないし。
事実ならさすがに認めるだろ。
勘違いによる殺人に始まり勘違いによる殺人で終わる、だったら後味悪いよな。
少し見返してみると、試合の日のシーンで春が朔の自転車が違うことを指摘したときに、朔が「お前のせいだよ」と言った声のトーンがシリアスで怖かったのだが、もし想像通りのことが起きていたならこのトーンの謎にも納得がいく。
「目の下のくますごいけどどうしたの?」っていうのもそういうことか。
あと、直哉が窓から晃に手を振っていると、朔が気づいた瞬間にさっと引っ込んだのも朔を恐れてのことだったのかも。
脚本としては朔が犯人だったってことなんだろうな。
おんさんの所に誘導したのは朔だし、最初に攻撃したのもとどめを刺したのも朔。直哉が犯人なら正樹の財布をわざわざ忍ばせる意味もなく不自然。ってことから想像したのかな。

朔は小林少年をどうやって見つけたんだろう。やくざですら見つけられなかったのに。
小林少年が春が現在抱えている問題の中心っていうのもどこで情報仕入れたのか。
小林少年なのは、彼を殺せばやくざが殺したと思って春とやくざの対立が激しくなることを狙ったのか。
いや、違うか、直哉を犯人に仕立てたわけだから。
えっ、じゃあ小林少年である必要が全く無くないか。。
よくわからんところ。

2025年10月11日土曜日

映画『さまよう獣』

2012年 監督:内田伸輝
製作国:日本
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田舎のバスの車内でばあさんが見知らぬ若い女性に、これ食べ、みたいにおにぎりとおしんこをあげる。
餌付けされた女性はバスを降りて家に帰るばあさんの後ろを少し離れて付いていくのだった。
この若い女性キヨミ(山崎真実)はなんだかんだでばあさん(森康子)の家に居候させてもらうことになる。
若い女性なんかいない村で、キヨミの登場によって村の若者衆は色めき立つのだった。

見終わって5分で何見たか忘れそうになった。
コメディなのかサスペンスなのかエンタメなのかバイオレンスなのか、恋愛物なのか官能物なのか。
そのどれにでもなりそうでどれにもならない中途半端な状態で気づいたら終わっていた。
全体的には都会で傷ついた若者が田舎に来てなんか救われる、みたいなよくある流れなのかな。
ただ、それも分かりづらい。結局キヨミの過去はいまいちわからんし、一体田舎の人たちのこの浅い関係性の何に救われたというのか。

キヨミは何か暗い過去を背負っているらしく、とにかくどんよりしている。
ばあさんと無口なマサル(波岡一喜)と3人の食事シーンなんか会話はほぼ0。
見ているこっちが息苦しい。
ばあさんと仲良くなるわけでもなく、ずっとよそよそしいままなのに、ばあさんはなぜかキヨミを大事に思う。えっ?
得体が知れなさすぎだろう。
そんな暗いキヨミだが、トマト農家のタツヤ(渋川清彦)と話すときは人格が変わったかのように明るくエロくなる。
なにかサスペンス的な不気味さだけど、昔の水商売の癖で人によってキャラを使い分けているとかそんな理由らしい。つまらん理由だった。。

山崎真実はグラドル出身の女優らしい。脱ぎそうで脱がない。
婆さん役の森康子はその棒読み具合からどこかの素人かと思っていたらそこそこ長い経歴の人だった。
渋川清彦はなんか安心感がある。その特徴的な顔で異彩を放っているけどこんなに人気俳優になるとは思ってもいなかった。
シンジ役の山岸門人は凄い良かった。演劇畑の人っぽい。コメディ演技が面白く、バカリズムに少し雰囲気が似ている。キヨミに処女作を渡すまでの一連の面白やりとりがこの映画のクライマックかと思うくらい。
津田寛治はあの声質もそうだけど嫌な男がよく似合う。

ラストの展開はよくわからず、そんな雰囲気微塵もなかったのに一体何をきっかけに惹かれあってんのさ。
家の中と外のギャップはもう少し面白くなりそうだけどそこもなんだか盛り上がらず。

2025年10月5日日曜日

映画『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』

2009年 監督:福島拓哉
製作国:日本
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タイトル見て下ネタ系おバカコメディかなと思ったが、概要見るとウィルスパンデミックものらしい。
で、実際見てみるとただの恋愛映画だった。
「俺たちは、短い永遠の中で生きていくんだ」っていうところからのタイトルか。

たまに個人的にどうしようもなく肌に合わない映画っていうのがあって、これは正にそんな映画だった。
学生が作ったのかというような青臭さを滲ませつつ、なんか無駄に文学的で無駄に映像詩目指している、みたいな感じ。
監督のWiki見ると海外で評価されているみたいね。この映画もいろんな映画祭に出品されていた様子。

なかなか面白い展開にならないなぁと思いながらも我慢して見ていたら結局そのまま終わってしまった。
キャラクターにしろ演技にしろ容姿にしろ、魅力的な登場人物が一人もいない、ってところが致命的な気がする。
特に主人公のキャラクターはひどくないか。
昼間っから飲んだくれているアル中無職で、自分のことを「高等遊民」と呼ぶ。
何をするのも面倒で、世の中達観している風というか斜に構えているというか、つまり思春期か!と突っ込みたくなるようなおっさん。
ぼろぼろに見えるポンチョ(実際にはそういうデザインでぼろぼろではない)がお気に入りで、これがまたダサい。
この主人公のどこに感情移入できるのか。。

突然倒れ、2,3日後に目覚めると血縁以外で一番大事な人の記憶を失うという謎の奇病が東京で発生する。
大事な人っていうのは大体恋人とか。
ミオ(呂美)は元彼テル(草野康太)の記憶を失った。
しかし再び出会った二人は再度恋人になるのだった。

恋人の記憶を失っても関係は継続できるのか?
なんかそういうテーマの映画腐るほどあった気がするが、この映画のテーマはそういうところに無い気がする。
じゃあ何かと言うとよく分からないのだが。
結局無気力思春期おっさんが、深くつながっていた女性との関係から恐れで一度逃げ出したものの、逃げるのをやめて人生を一歩踏み出し始めたっていう成長譚なのかな。おっさんの。
元彼っていうことは一度別れたわけで、そこがずっと引っかかっていたけどその要素はあまり関係なかったっぽい。
全般的に青臭いモノローグが無駄に文学的でわかりづらく、声も聞き取りにくいところが多々あるし、結局のところストーリーはよくわからん。
「なんで泣いてるの?」
「あなたを愛しているから」
ってシーンだけはよかった。セリフ書きだしてみるとこっぱずかしいw