BS2 録画

再生したら『コレクションする女』という映画が入っていたが録画した記憶が全く無く、ああ、きっと他の作品録ったけど番組変更かなんかあったのだろうと思った。
止めようと思ったけどそのまま見ていると、オープニング浜辺でビキニの女が1人歩いている。
カメラはしっとりと脚や背中、鎖骨を映し出す。抜群の体のラインを持つ女。ただし恐ろしく貧乳だったりする。
この魅力的なビキニ女アイデ(エデ・ポリトフ?アイデ・ポリトフ?)を見るだけでも有意義そうだと思って最後まで見ようと思う。
暫くして、男女が恋愛論についてめんどーな会話をしているのを見て思い出した。
あ、これエリック・ロメールだ。確かに一月前くらいに録画したや。
主な登場人物は、仕事と休暇を兼ねて別荘にやってきたアドリアン(パトリック・ボーショー)と、その別荘に滞在している友人の画家ダニエル(ダニエル・ポムルール)、そして謎の尻軽ビキニ女アイデの三人。
アドリアンは恋人がロンドンに行ってしまったため、一人別荘にやってくる。彼はここで静かに"無"の時間を過ごしたいと望む。
しかしこの別荘には男をとっかえひっかえ連れ込む尻軽女のアイデがいる。
アドリアンにとって彼女は邪魔以外の何者でもない上、不道徳な女だと軽蔑しさえする・・・表面上は、っていう話。
アイデのエロさと笑顔に次第に心揺れるアドリアン。寝たい!しかしなんだか上手くいかない!
アドリアン、ダニエル、アイデの恋の駆け引き。
男どもは本能を知性でコーディングし、アイデは本能で、豊富な経験で、(いや、女の勘でと言おうか)男達と駆け引きする。
アドリアンが言う。「アイデ、僕は君の笑顔の意味をよく考える」「意味はないわ」「なるほどね」
アイデは正にピンポイントでこの瞬間って時にさいこーに愛くるしい笑顔を見せる。意味なんてない。本能だから。
男達は本心を隠したりぽろっとこぼしたり言っている事とやっていることが全然違かったりするから見ているこっちとしてはややこしい。
自分がアイデに興味あるくせに他人に勧めたり。
人間に上下関係なんてない、と言っておきながら、「しつけが悪くて」と完全にアイデの事を格下扱いしたり。
物語はアドリアンの視点で描かれるから見えづらいけど、もしかしたらアイデはただ肉体関係のない友人の男をアドリアンに期待していたのかもしれない。
アドリアンに救いを求めていたのかもしれない。
しかしナルシストアドリアンはアイデは自分に気があると思い込んでいるし、彼女の不可解な行動も全て駆け引きやゲームだと思っている。
映画はなんとなく道徳的に終わるが、三人とも悲しいやつらだし救いが無い。
知性を持つ人間という生物の悲しみ。
また、アイデの行動が本当に駆け引きなのであれば、三人の男女による恋愛駆け引きの映画であり、三者三様の生き方があるっていう映画なのかもしれない。
あんまり見終わった後でストーリーをあれこれ解釈すると見ていた時の感覚が捻じ曲げられていくからもうやめよう。
映像の雰囲気だけでもころっとイカレちゃいそうな面白い映画です。
ストーリーの解釈も含め、何度でも愛でながら見れる映画だと思う。
それにしてもエリック・ロメールは貧乳好きなのだろうか。
ぱっと思い浮かぶのは『海辺のポーリーヌ』や『夏物語』でのアマンダ・ラングレくらいしか思い浮かばないけど。