2006年8月12日土曜日

映画『関の彌太ッぺ』

1963年 監督:山下耕作
BS2 録画


関の彌太ッぺ

長谷川伸原作の人情もので山下耕作の監督による名作。
主演中村錦之助。
情に篤い渡世者、関の彌太郎は生き別れた妹を探して旅を続けている。
道中関わった男の死に際の頼みを受け入れ、彌太郎は11歳の少女をある旅籠に連れて行く。
この旅籠は少女の母親の実家なのだが、そのことは少女も彌太郎も知らない。
旅籠の人間、おじおばとばあちゃんもこの少女が何者か知らない。
彌太郎は少女を預かってくれと頼み込む。
素性の知れない渡世人がどこの誰の子とも知らぬ少女を預かれと言って来る。
旅籠の者はもちろん断る。
ここの両者の押し問答が絶妙です。
可愛い顔立ちじゃないが少女の愛くるしさというか馬鹿なんじゃないかと思う無邪気さも問答にアクセントを加える。
彌太郎の人柄と、少女から感覚的に感じる血のつながりに心を動かされ始めていた旅籠の者達だが、彌太郎はこのままでは埒があかないと思ったのか、向こう10年の預かり料として50両渡そうじゃないかと切り出す。
50両は彌太郎が妹のために稼いだ金だった。
ぽーんと渡して名も告げずに去っていくのであった。

そんな情に篤い彌太郎のエピソードの後にいよいよ妹探しです。
と思ったらあっという間に消息が判明。
盛り上がる前に突然知った消息だけど、女郎の長回しの語りが悲しみを誘う。
さて、彌太郎さんはもうやることがなくなってしまった。
ストーリーも進まなくなってしまった。
ということで10年後にひとっ飛びします。

彌太郎を「あにい」と呼ぶ箱田の森介(木村功)という男が楽しい。
登場時は非情なやつだったけど、彌太郎の50両をちゃんと預かっておくいいやつだったりして性格が不明。
彌太郎、森介、田毎の才兵衛(月形龍之介)の3人が酒を酌み交わすシーンでは強く個性的な渡世人が揃ったかっこよさがある。
3人で何か面白いことが始まりそうな予感も。
でも3人はここで別れ別れ。
そして善行を、と思ってやっていた才兵衛の人探しが不幸を呼び込み、森介は純粋だけどわがままぼっちゃんのひどくて悲しい男だと判明。

つまり面白かったってことです。

0 件のコメント:

コメントを投稿