TV 録画

ドッペルゲンガーが喋る、ドッペルゲンガーが他者から見える、触れられる、ドッペルゲンガーが死ぬ。
存在はしていたが実体としては存在していなかったものが今確実に存在して、そして実体は消えても存在としては確実に存在している。
黒沢清の映画はいつも存在と非存在の境が曖昧でいて存在に対する希求が切なくて強い。
早崎(役所広司)から派生したドッペルゲンガーは早崎の内なる欲望を行動に移す力があった。
社会の規範を外れながらも社会に生きる一人の男として存在するドッペルゲンガー。
憎んでも恐れてもドッペルゲンガーは早崎自身の姿だった。
見たくない自分の内なる部分を実体として見る。
と、ストーリーの軸としては自分をもっとよく見つめなさい、っていうような単純なお話。
でも「自分を見つめなおす」というテーマを大仰に語るなんてこっぱずかしい事はしない。
自分を見つめなおそうと思い立った人間をあっけなく(お笑いっぽく)死なすし。
展開としては100%シリアスにコメディが侵食していって、そしてブラックユーモア絡めたチープでポップなロードムービーへ。
思い出すと結構滅茶苦茶でふざけた展開をしているのだけど見ているときはすんなり見たなぁ。
早崎以外の登場人物も皆二面性を持っていてこいつドッペルゲンガー?と思うけどなんかもうどっちでもいい。
とにかく面白いしラストの手をばたばたさせているところなんか思わず泣きそうになる。
ロードムービーの場面なんてこのノリは凄い楽しい。
何なの?あのミラーボールは。ユースケが真剣に逃げてるし。
何なの?ダンカン殴った後のシーンは。役所がかっこいいアウトローみたいで「由佳行くぞ!」「うん」と答える永作博美はそんなかっこいいアウトローの可愛い彼女気取り。
あと、ユースケ・サンタマリアが演じた役ってふと永瀬正敏が演じている錯覚に。顔全然似てないのに。
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