2008年6月7日土曜日

映画『やわらかい手』

2007年 監督:サム・ガルバルスキ
at ギンレイホール




やわらかい手とは。手コキに最適な手のこと。
ロンドン。
ごく普通の孫までいる主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)が風俗店で働くようになり、手コキの女王としてその名(源氏名イリーナ・パーム)を轟かす。
コメディーかと思いきや本筋は結構シリアス。
内容が内容だけにコメディチックで笑えるところもあるけど。

マギーには難病の幼い孫がいる。
治療費のために家まで売り払ったマギーだが、孫の治療費はかさむばかりで、しかもオーストラリアで手術を受けなければ命が危ないという状況にまで陥る。
マギーにも息子夫婦にも、もうお金の余裕が無い。
絶望の中働き口を探して街をさまようが初老に近くて働いた経験もないおばさんを雇うところなんかありはしない。
途方にくれた時にふと目に留まったのは接客係募集の張り紙。
怪しい地下に降りていくとそこは風俗店だった。
オーナーのミキ(ミキ・マノイロヴィッチ)はマギーのすべすべしたやわらかい手にほれ込むが、普通の主婦のマギーは風俗店で働くなど想像することもできずに一度は断るのだが。

無機質な壁に丸い穴が開いていて、その穴からにょきっと男性の象徴が現れる。
傍から見ればこんな滑稽で無防備な姿はないけれど、壁で遮断された男女が唯一穴を通して性器でつながるっていう、言葉にするとエロティックなシチュエーション。
壁を挟んでいるから相手が誰だか当然分からない。
まさかおばさんだとは思ってないだろう。
というかおばさんだろうが野郎だろうが実はどうでもいい。
壁で見えないんだから。
どんな女性が触っているんだろうと興味にかられて穴から覗くやつなんて一切出てこない。
壁があって穴があるからそこに入れる。その時一人一人には至福の女性が降りてくる、のだろう。

嫁と姑といったら姑の方が強いイメージがあるが、ここでは嫁の方が強い。
姑マギーはなぜか嫁に疎まれている。
マギーの方では単に孫のオリーが可愛くてしょうがないだけで嫁のそんな態度はなんとも思っていないようだけど。
この嫁のマギーに対する態度の冷たさが本当嫌な感じなのね。
一瞬ブロンドの美人に見えるか性格悪そうな顔に見えなくも無い顔なので、見れば見るほど嫌な顔に見えてくる。
役柄って怖いねぇ。

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