2008年6月22日日曜日

映画『潜水服は蝶の夢を見る』

2007年 監督:ジュリアン・シュナーベル
at ギンレイホール




気がついたら病院のベッドの上だった。
光を上手く収集できずにぼやけた視点で医師達をきょろきょろと見つめる。
この後30分くらいずっと一人称視点。

ELLEの編集長ジャン=ドミニク・ボビーは脳梗塞で倒れ、全身麻痺状態になってしまう。
唯一動くのは左目だけだった。
生きることに絶望するが周りの人たちの支えにより「自分の中に残された人間性にしがみつく」決心をする。

一人称視点というのは面白いのだけど、長いとそれはそれできつい。
だって当の主役がどういう姿をしているのかが全く見えないんだし。
と、自分の姿が見れないというのは実際のジャン=ドミニク・ボビーが陥っている状況と同じであるのだけど、一人称視点にしたからといって主人公の感情とシンクロできるわけではない。
映画の観客は傍観者でしかないのに視点が閉じ込められるとフラストレーションが溜まる。
その苛立ちを和らげてくれるのは、一人称視点という固定位置から部屋の中しか見れない息苦しさを過去の回想シーンやら抽象シーンやらを挟んで広がりを巧みに作っていく演出、ではなくて言語療法士アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)のあまりに整った顔立ちによる。
一人称なので人と話しているときは話し相手の顔しか映らない。
常にアンリエットの顔面ドアップが映る。
普通の人ならうざいところだけど、アンリエットなら大歓迎と言いたくなる顔立ち。
表情も魅力的でいい女優さん。

色使いのセンスも良くていいシーンも多かったのだけど、少し疲れた。

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