at ギンレイホール

※これ書いているの2週間後なのでほとんど覚えでいない
しかも館内がめちゃくちゃ暑くて(太ももから滲んだ汗がシートをしとっとさせるくらい)いらいらした。
オープニングタイトルも無く始まるホテルの一室での大人の恋の情景。
落ち着いた色に落ち着いた役者。
男にジェイソン・シュワルツマン。女にナタリー・ポートマン。
ベリーショート(セシルカット)のナタリー・ポートマンが可愛い。
なんか予告編で見たのと全然違うじゃんと思いながらも見入っていると、場面は変わってビル・マーレイが出てくる。
走り始めた列車に飛び乗ろうと重そうな体に重そうな荷物を抱えたスーツ姿で懸命に走る。
ビル・マーレイの物語が始まるのかと思いきや、そのビル・マーレイを横から追い抜く男が現れる。スローで無駄に劇的に。
この男ピーター(エイドリアン・ブロディ)は見事に列車に飛び乗ることに成功し、ビル・マーレイは失敗して走るのをやめる。
なので物語はこの一瞬でビル・マーレイからエイドリアン・ブロディにあっという間にバトンタッチ。
もう、ここまでで何の映画見ているのかさっぱり分からない。
冒頭のホテルの雰囲気とビル・マーレイのコメディチックなくだりは天と地の差があるし。
列車の中でピーターは弟ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)と兄フランシス(オーウェン・ウィルソン)と再会し、3人はこのインドで「心の旅」を開始する。
弟ジャックは冒頭のホテルの男ね。
少し過去にさかのぼっているらしい。
ラストまで見ると冒頭のシーンとのリンクが分かる。
というか冒頭のホテルのシーンは『ホテル・シュヴァリエ』という題名の一つの短編とのこと。同時上映していたらしい。
『ホテル・シュヴァリエ』は真面目な大人の恋愛物。
一方『ダージリン急行』はわがままで自己中だけど人間くさい兄弟3人のロードムービー。
これからダージリン急行を見ようとしている所でホテル・シュヴァリエを見せられるせいか、ホテル・シュヴァリエには真面目な物語の中に微妙に胡散臭さが付きまとう。
もともと題材も落ち着いた雰囲気のキャラクタも全てが昔の映画っぽくて胡散臭い。
ジェイソン・シュワルツマンの長い髪と髭が胡散臭い。
胡散臭いくせに短編として真面目に良く出来ている。
監督名も知らずに単品で見たら普通に良質の短編として見るはず。
この良質の短編がダージリン急行と繋げて同時上映されると胡散臭さのスパイスが加わって化学反応を起こすから面白い。
本編のダージリン急行の方は自己中でやりたい放題だけど悩める3兄弟がインドの風土に溶け込むこともなく強烈な自我を維持し続けるが、インドの人との出会い(というかストーリー的にはインドじゃなくても全然よさそうだけど)や母親との再会など、旅を通して兄弟の絆を深めたり背負っていた無駄な荷物をそぎ落として心も体もすっきりしたり。
ウェス・アンダーソンが面白いのは全然違うものを平然と並べちゃうのね。並列化っていうのか。
船や列車を断面にしてカメラ移動で各部屋を次々に映し出していくのなんかまさにそう。
ダージリン急行においては列車の断面と思いきや列車じゃないところまで普通につなげたりして時間も空間も離れたものを一つの横並びにしちゃうし。
インドの衣装着ても少しも彼らは溶け込まずに全く別物の存在としてしれっと並び立つし。
生と死という重いものからどうでもいい軽いものまでが同じような調子で並べられるし。
毛色の違うホテル・シュヴァリエとダージリン急行を並べちゃったり。
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