2008年12月30日火曜日

映画『ハッピーフライト』

2008年 監督:矢口史靖
at キネカ大森


なんか映画でも見に行こうと思って久しぶりに大森へ。
駅前がコンビニになっていたりBOOK OFFが出来ていたりと大分変わっている。
でも西友はそのまま。

ハッピーフライト (田辺誠一、綾瀬はるか 出演) [DVD]

ANA全面協力の下撮影された航空業界の舞台裏。
機長とCAが繰り広げるコメディかと思っていたら、グランドスタッフやら整備士やら鳥を追っ払う人だとか、飛行機飛ばすのに関わるありとあらゆる人達が描かれる。
登場人物多いのに各人の魅力が簡潔に笑いとともに描かれていくから見やすい。
笑ってはらはらして拍手して、なかなか楽しかった。

機長昇進の最終訓練で乗り込んだ鈴木役(お約束の名前)に田辺誠一。
徹底的に頼りない感じに描かれるのだけど、機長昇進の試験を受けるくらいだからそれなりの技術は持っている。
最後の方は気づいたら頼りになるかっこいい男になっているという罠。

新人CAに綾瀬はるか。
いや、もう表情豊かでかわいいねぇ。
先輩CAに吹石一恵。

グランドスタッフに田畑智子。
子供の頃の可愛さはとっくの昔に消えうせたものの、やっぱりこの人が映画に出ているとなんか落ち着く。
いろんな意味で安心するというか。
ちなみに同じくグランドスタッフに平岩紙。

他、時任三郎や岸部一徳やベンガル、田中哲司、中村靖日などなど。
ゲスト出演含めるとまだまだたくさん。
寺島しのぶはとりあえず見なかったことに。

2008年12月29日月曜日

1、2、しゃん!

20代とか30代とかそんなくくりが一体なんの意味を持つというのか。
20代から30代になったところで毎日の生活が劇的に変化するわけではない。
20代ならできて30代にはできにくいことはあるかもしれないが全くできないわけじゃない。
とはいっても20代というきっかり10年分の積み重ねは過ぎ去れば二度と戻らない。
年を重ねれば経験は増えるがその分切り捨てられていくものもたくさんある。
20代にしか持てない感受性や経験もあるだろう。
そんな20代が今日で終わる。

20代のうちにやっておきたいこと。
30代になったら切り捨てられていくかもしれないもの。
それは髪の毛だ!
俺ははげる気がする。
だから髪の毛がまだあるうちに一度美容院にいってみようと思って行ってきた。

電話するときが一番緊張したな。
予約さえ取れば後は普通に行ってきた。

切ってくれたのはその美容院でたぶん一番下の若い男の人。
特に髪型の希望もなかったので床屋で言うような感じで希望を言ったらヘアカタログを見せられる。
でもなんだ、カタログの男は皆カラー入れてるから黒髪の場合のイメージが全然わかないしどれも俺に似合う気がしない。
ぱらぱらめくってうなっていると待ちきれなかったのか美容師がじゃあ切り始めますね、と強制終了。なにー。

切り終わると、さすが注文どおりで床屋で切るのとさして変わらない感じに。
でも最後にワックスつけると、おっ、なんだか今風に。
そうか、おしゃれな髪はカットの仕方もあるだろうけど8割はワックスによるものだったのか!
じゃあワックスなんて持ってないし毎日セットする気も無い俺はやっぱり床屋が一番ってことだな。


で、20代が終わる。
これ書いているの実は一ヵ月後なので、20代なんていう遠い過去の話はもどうでもいい。
30になる瞬間は確かゲームしていた。

2008年12月23日火曜日

映画『百万円と苦虫女』

2008年 監督:タナダユキ
at ギンレイホール


百万円と苦虫女 [DVD]

蒼井優です。
『はちみつとクローバー』でなんか微妙と思っていたけど、やっぱり蒼井優は日本が誇る若手トップ女優だったと再確認。
一挙手一投足に注目です。
そんなに可愛いわけでもないのに時折びっくりするくらい透き通った表情をする。
透き通って何もないんじゃなくて美も醜も強さも弱さもいろんなものが詰まって行き着いた美なのね。
まさに事件。
そこにいるだけでも事件になる映画役者はそういない。
監督にとってはただ映すだけでそれなりに映画になるので楽といえば楽なのかもしれないけど、その事件を生かすも殺すもやっぱり監督次第。
そういう意味ではこの作品は蒼井優をイメージして書き上げられた脚本というだけあって、中心に据えられた蒼井優という存在の魅力をこれでもかと堪能できる。

で、ストーリーだけど、ひょんなことから「寝とけばよかった」ということで留置所に入れられた佐藤鈴子(蒼井優)が主人公。
シャバに出て家に戻り、家族は出所を祝って豪華料理をふるまってくれるのだがなんだかおかしい。
まず私立中学の受験を控えた弟の怒りが爆発して続いて父の不倫問題から両親がいがみ合い。
絶妙なハイテンポのカット割りカオスの締めは「百万円溜まったら出て行きます」。
海へ、山へ、そして地方都市へ、と百万円たまるごとに転々とする鈴子。

生意気な弟は実は学校で深刻ないじめにあっている。
だから本人にとって私立中学への進学は必須。
姉が留置所に入ったなんて受験の内申に響く。
姉を恨んで責めるがそれでもやっぱり姉を慕っているのね。
そこがかわいい。
姉弟が二人で手をつないで団地に帰るシーンなんて凄く温かい。
姉が家を出た後も弟はこの「強い」姉と手紙でやり取りし、勇気をもらってついにいじめっこに挑みかかるんだけど・・・泣ける。

蒼井優の恋人役に森山未來。
この人はあと5年はいつものかっこつけ走りで食っていくんだろうな。
過去を話して逃げる鈴子の腕をつかむシーンやら、呆然と鉢に水をやっている所から一転走り出すシーンとか、自転車を乗り捨てて駆け出すシーンとか。

佐々木すみ江はここ20年近く全然見た目が変わっていない気がするのだけど気のせいかな。
なんともう80歳。

蒼井優、ってこんなに痩せてたっけ。
宮沢りえや今井美樹なみに細い。

映画『同窓会』

2008年 監督:サタケミキオ
at ギンレイホール


同窓会 デラックス版 [DVD]

勘違いは人生最高の悲劇であり喜劇である

っていう冒頭の字幕に、そうだよなぁ、勘違いで悲しいことになっても後になれば笑い話になったりするしなぁと感慨にふけっていると、くさいプロポーズドラマが始まる。
どう見てもコメディー的扱いで撮影されていながらも万一これが大真面目だったりしたらどうしよう、とあたふたしていると、架空の映画の撮影だった、というオチだったので安心。
それにしてもこんなくさいプロポーズドラマの映画は絶対ヒットしないでしょう。
そんな劇中映画のプロデューサー南克之(宅間孝行)が主人公。

と、それよりもオープニングで流れたキャストにちょろっと表示された「飯島ぼぼぼ」って名前が気になってしょうがない。
なんというネーミングセンス。
「ぼぼぼ」って3文字だからまだ許されるのかもしれないけど、2文字だったら駄目じゃん。
ちなみに升毅を「ますたけし」と読むと最近知った。それまでは2文字目を「かく」って読んでたからな。人前で升毅の話をする機会が今まで無くて本当に良かった。

南克之は小さな映画プロダクションの社長でそれなりに成功している。
高校時代からの憧れだった雪(永作博美)とも結婚できた。
順風万般なんだけど若い女と不倫している。
そして離婚。
どろどろ、じゃなくて雪は笑顔で判子を押した。

雪は克之が子供をほしがっているのに子供ができないことに負い目を感じて離婚にOKしていた。
一方克之は子供のこともあるがそれよりも雪が高校時代にずっと一緒に仲良く連れ添っていた中垣(窪田正孝)という男の存在を気にしていたのだった。
雪は今でも中垣のことを想っているらしい。

離婚後、雪は体調不良を訴え、病院で「あと三ヶ月」と告げられる。
雪の友人石川えり(鈴木砂羽)づてにその事を聞いた克之は今の自分が雪にしてやれること、中垣に会わせてやること、を実現するべく奔走する。

現代と高校時代が交互に描かれ、テンポもよくて楽しい。
途中で冒頭の「勘違いは~」のフレーズを思い出すと、ああきっとそういうことだろう、と誰もがラストのネタを予測できるのだけど、実はこれが脚本に巧みに組み込まれた罠なんだな。
目の前に分かりやすい謎を突きつけられるとその奥にあるもう一つの謎が隠される。

かなり秀逸な脚本。
泣けて笑えて幸せになって。
主演の宅間孝行は高知東生や寺脇康文系のがたい。
驚きなのは監督脚本のサタケミキオと宅間孝行は同一人物なのね。
映画見てるときはまさかこの人がこんな脚本書いているなんて夢にも思わないでしょ。

それにしても会社の危機に一人で奔走してくれたあのNo.2みたいな人はあの勘違いに納得したのかな。

2008年12月8日月曜日

新しい私になって

Yahooニュースで塚地骨折のニュースを見ていたら関連ニュースのリンクに熊木杏里の文字が。

12/9(火)に『誰も知らない泣ける歌』という番組で熊木杏里の「新しい私になって」が紹介されるようです。
Yahoo!ニュース

それにしても“誰も知らない”って・・・
と思いつつ<泣け歌 グッとシアター>とかいう新コーナーで映像とともに紹介されるらしいので、きっとこの新コーナーはある程度有名どころでも取り上げるコーナーなんだろうな、と。
誰も知らない歌に映像は付かない。

公式HPに書いてないので本人は出演しない、と思われる。

2008年12月7日日曜日

映画『あの日の指輪を待つきみへ』

2007年 監督:リチャード・アッテンボロー
at ギンレイホール


あの日の指輪を待つきみへ [DVD]

葬儀から始まる。
夫が死んだのに悲しんだ様子のないばあさんエセル・アン(シャーリー・マクレーン)。
と、ストーリーの概略書くのも面倒になってきたのでやめる。

純情ゆえに冷たく嫌な感じで小憎たらしいばあさんをシャーリー・マクレーンが演じる。
このばあさんの純情のせいで皆が不幸になる。
けど最後は一気に晴れがましくなってハッピーエンド。
でも長年連れ添って死んだ夫は微妙。
愛する人との間に生まれた子供を可愛がれたから幸せだったのかなぁ。

他にクリストファー・プラマー、ミーシャ・バートン、ピート・ポスルスウェイト、ネーヴ・キャンベルなども出演。

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これ2週間以上経ってから書いてる(投稿の日付はちゃっかり12/7にしているけど)ので詳細が全然思い出せない。

それよりなんの映画か忘れたけど予告編でムーンライダーズの「髭と口紅とバルコニー」が流れていたんだよね。
鈴木慶一の映画音楽はあまり好きじゃないのだけど全然違う人がこの曲を主題歌に使用したのならばもしかしたら映画も面白いかもとちょっと期待。

映画『ベガスの恋に勝つルール』

2008年 監督:トム・ヴォーン
at ギンレイホール


ベガスの恋に勝つルール (完全版) [DVD]

30後半になったキャメロン・ディアスが再び恋愛コメディに挑戦、っていう素敵とも暴挙ともとれる映画。

恋人に「重い」と言われて振られたジョイ(キャメロン・ディアス)と、親父の会社で親父から首を言い渡されたジャック(アシュトン・カッチャー)。
気晴らしに遊びに行ったベガスで二人は出会い、酒飲んで大暴れして一夜のうちに勢いで結婚。
酔いがさめて正気に戻ると「やっべー」ってことで相手の出方を伺いながら穏便に婚約破棄。
と同時にジョイの25セントでジャックが記念に動かしたスロットマシンでジャックポット。300万ドル。
大喜びするジャックに引っ付いてジョイも大喜び。
「賞金は半分半分よ。だってあたしは妻なんだから!」
大もめして裁判へ。
なんかよく分からないけど6ヶ月の結婚生活を言い渡される。

まあ、王道だよね。
ぎゃーぎゃー騒いでののしってお互い最低だと思っていたのにいつの間にか相手の違う一面を見て本当に惚れていってめでたしめでたし、と。

ストーリーからするとキャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーって最高に面白くなる組み合わせで、実際二人とも生き生きしていたのだけど、いかんせん年が・・・
顔が老けたのは当然として、3年位前の映画(イン・ハー・シューズ)で見たときは顔に比してスタイルは若々しかった気がするんだけどな。
あの健康的な小麦色の肌はいつの間にかただの浅黒い不健康な肌になってしまった。
全体的な細さは変わらず維持しているのだけど細かなラインが骨っぽくなった気もする。
年は怖い。

騒々しくて楽しいんだかなんだかよく分からないけど見終わってどっと疲れた。

そういえばジョイの友人役で出ていたレイク・ベルっていう女優さんの顔芸がうざい。
出演作見るとテレビドラマ出身の人っぽい。

2008年12月6日土曜日

熊木杏里ライブツアー2008〜ひとヒナタ〜 in 東京国際フォーラム

2008/12/3(水)、熊木杏里のライブに行ってきた。

1年位前からちょこちょこワンマンライブやりだしていたからいつか行きたいと思っていたのだけど、ついに行けた。
不測の事態に備えてばっちり仕事も休み、昼過ぎまで寝てたっぷり睡眠を取り、マガジンも読み、毎日聴いているアルバムも1日中聴かずに溜め、準備万端で有楽町へ。
会場内に喫煙所が無いと嫌なのでどこか煙草吸えるところ探して国際フォーラムの周りをうろうろ歩き回っていたのだけど、どこにもなくてしょうがないのでひと気の無い路地でこっそり路上喫煙。千代田区。
開場時間を10分程過ぎてから中へ。
席着く前にうろうろしていると喫煙所発見。後でまた来よう。
ロビーとかにいる人を眺めていると年配も結構多い。
うろうろするのに飽きたので席を見に行く。
チケット買ったのは半月前で結構遅かったためか席は3階2列目。
2列目は両端に人が座っていたので、まだ誰も座っていなかった1列目から2列目の自分の席に脱いだ上着を置いてからまたロビーへ。
煙草吸って戻って着席。
会場の造りを見渡すとクラシックとかのコンサートホールだな、ここ。
確かに熊木杏里のライブで観客がノリノリに飛び跳ねている姿など全く想像できないけど。
じっくり歌声が聴けそうでいい。
3階だから舞台は少し遠いが、隅から隅まで見渡せてなかなかいい席。


ちょっと前置き長く書きすぎた。

1.春隣

時間になっていよいよ開演。
照明が落ち、舞台に人が出てくる。
端のキーボードにスポットライトが当たり、女性らしき人物がおもむろに弾きだしたキーボードからピアノ音が鳴り出す。
「会えなーくーて」
とそのまま女性が歌いだす。
あ、熊木杏里だ。
しかも1曲目から『春隣』。
大音量で熊木杏里の声。
キーボードとギターのみのシンプルな構成での春隣は声が際立ち、息遣いまで聞こえてくる。
ちょっとでも音程はずせば目だってしょうがないような状況で完璧に歌いきる。
ばりばりの声量で圧倒させるようなタイプじゃないから気づきにくいけどかなり歌が上手い。

2.時の列車

ステージ中央に出てきて挨拶の後、次はスタンドで『時の列車』。
バンド構成はギター(エレキ+アコースティックを曲により持ち替え)、ベース、キーボード、ドラムらしい。

3.今は昔

MCで自分の歌のルーツ、フォークソングについて触れた後、懐かしい曲を続けて3曲。
1stAlbamはどこかひねくれた暗さに溢れたAlbamなんだけど、その1stAlbamから『今は昔』。
「今は昔」、って確かに「今は昔」な曲を今の熊木杏里が歌う。

4.天命

3rdAlbumから『天命』。
3rdAlbumの中でもたぶん一番ゆったりした曲で、熊木杏里っぽい曲。
大きく特徴のないメロディーラインだけどやっぱり熊木杏里独特のメロディー。

舞台のバック、中央部分にだけ夕焼けのような風景が映し出される。

5.景色

2ndAlbumから『景色』。
1階の方から手拍子がおきるのであせる。
反射的に僕も手をたたき出したのだけど3階の人たちはあまり手拍子していないらしくて、ほとんど手拍子の音が聞こえてこない。
やる人がまばらなのか全体的にも大きな音になっていなかったし。
ということで控えめにパチパチと。
左の席のスーツのメガネの兄ちゃんも右の席のカップルの男の人も手拍子打っていたけど控えめで。
というか手拍子打つことの方が気になって歌に集中できなかった。
リズム感が乏しいのか歌の方に気を取られるといつのまにか間違えて裏拍で叩きそうになってあれっと思って修正したりしていたので。

それにしてもこの曲で手拍子おきるとは思わなかった。
他に比べると確かにテンポは速いけど。
ノリのいい曲だったのだな、と今更気づく。

6.新しい私になって

懐かしい気分になった後、今度は少し懐かしい『新しい私になって』。

7.朝日の誓い

MCでドラマ旭山動物園物語の話(簡単な曲紹介)から『朝日の誓い』。

8.ひみつ

そしてまた弾き語りに戻り『ひみつ』。
ライブで聴きたかった曲の一つをピアノの弾き語りで聴ける幸せ。
弾き語りになると神がかり的に歌が上手くなるのは気のせいか。
高い音も綺麗な裏声でなんてことない感じに歌う。
転調のCメロに入ってから、あ、そういえばこっからさらに高い音になるな、と思うと、この気持ちの入った歌唱の勢いが高音に苦しんで崩れやしないかと一瞬心配になったけど、聴いてみればむしろ流れに乗ってさらに勢いを増した声で歌うのでそりゃあぞくぞくもする。
何度聴いても名曲だな。

9.歌を捧げて

MCがよく聞こえなかったのだけど小田和正が山本潤子に送った歌のカバーとのこと。
こちらも続けて弾き語りで。
なかなかいい曲。

10.七月の友だち

高校の時窓際大好き、弁当も一人。
高校に行くのも嫌になっていた頃に私に声をかけてくれた友達。
その子に救われた。
という曲紹介から今度はアコースティックギターの弾き語りで『七月の友だち』。
曲のエピソードは知っていたけどMC聞いてからこの曲を聴くと、つくづくこの友達は幸せ者だなと思う。
「そうあなたは私のあこがれ 夏の太陽のように」

後のMCで言うんだけど、この七月の友達は今度結婚するらしい。
4thAlbamのDVDに映っていたあの可愛い子は結婚か。
というかあれからちゃんと連絡取っていたんだね。

11.夏の気まぐれ

上に羽織っていたのを脱いで軽く衣装チェンジ。
ここから再びAlbam『ひとヒナタ』からの曲へ。

12.青春たちの声がする

再び手拍子。
左の席のスーツの兄ちゃんは足組んで体を斜めにしながら体の横辺りで無機的に音のしない手拍子を打っている。
いやいや打っているようでいながらも首はかくかくリズム取っているのでノッているようでもある。

13.モウイチド

ドラムがドラムを普通に叩いた。
というのも熊木杏里の声をメインに据えるために今までスネアをブラシでこすっているような音で柔らかくリズムが刻まれていたのだけど、『モウイチド』はポップな曲なのでリミッターが解除されて心地よくバシバシリズムが刻まれる。
曲調として『景色』とかでもスティックで叩いていそうだけど遠慮無しに叩いたのはこの曲だけだったんじゃないかな。
ドラムだけじゃなくてバンド全体が大音量で音を奏で始めて一気に世界が変わる。
観客の手拍子もバンドの音に合わせて大きくなる。
そうだ、なんで今まで手拍子しづらかったのかって熊木杏里の声を前面に押し出すためにバンドの音が小さかったからだ。
ということで僕も気兼ねなく手拍子を打つ。

でも暫くして手拍子をやめる。
バンドの音と手拍子の波に乗った熊木杏里の歌声があまりにもいい。
声の伸びが半端ない。
そしてリズムにノッてステージ中央を動き回っている熊木杏里にびびる。
Albam『殺風景』とか『無から出た錆』を聞いていた頃に熊木杏里がリズムにノッて動き回る姿なんて誰が想像できよう。
例えば直立不動の前川清が動き回って歌ったらびびるでしょう。それと同じ。

『モウイチド』がこんなに盛り上がる曲だったとは。
じっくり見てじっくり聞きたい気持ちと参加したい気持ちとの葛藤の中、2コーラス目から再び手拍子を打ち出す。

歌い終わった後のMCで「思わず泣きそうになった」という程熊木杏里のテンションも上がった一節。

14.こと

大いに盛り上がった後にキーボードのみで『こと』。
『ひとヒナタ』の中で一番好きな曲。
この曲のエピソードのMCの後に歌詞を聞きながら聴くと一層好きになる。
切なくて、温かくて、優しくて。
泣きそうになる。

15.誕生日

盲目の少女からのメールに感じるところあって作ったというMCの後に『誕生日』。
新しい熊木杏里が詰まった曲。

16.雨が空から離れたら

メンバー紹介してから最後の曲というような事を言うので青天の霹靂みたいになって「えっ、もう?」と思う。
『雨が空から離れたら』。
傷つけたくて 傷つける人なんて
どこにもいない 進むためなんだから

って2ndAlbumに入っている『説教と楓』で
君の言葉は鉄ぽう玉
花火にはなれない
人生を教えたんだと
自負されるのはゴメンだ
そっと ぼくは言葉を捨てる

と歌っていた人と同一人物とは思えない。


歌い終わって深々おじぎしてはけていく。
アンコールの拍手が巻き起こる。
再登場。

En1.やっぱり

改めて聞くとしっとりした名曲だな。

En2.my present

最後の最後はアルバムの最後の曲でもある『my present』。
『モウイチド』で観客のリミッターもいい具合に外れたので手拍子の音も大きい。


片膝ついて投げキッスかましてはけていく熊木杏里。
面白い人だなぁ。


あっという間に終わってしまう。
1時間50分くらいだったかな。
あと何時間でも聴いていたかった。

短いながらも結構満足。
バンドも皆上手く、基本的には熊木杏里の声を邪魔しないように優しく音が紡がれていく。
神経使うだろうな。
盛り上げるところは息のあったセッションで盛り上げて。
全てが熊木杏里の歌声に還元されていく感じ。
おかげで熊木杏里の声を大音量で充分堪能する。

個人的には昔の曲をやるなら『一等星』や『ノラ猫みたいに』や『窓絵』が聴きたかった。
なんで今までライブに行かなかったのだろうと後悔。
『一等星』は前のライブではやっていたみたいだし。
次のライブも絶対行こう。

ひとヒナタ(初回限定盤)(DVD付)私は私をあとにして風の中の行進無から出た錆殺風景