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![重力ピエロ 特別版 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41cKx0o9-cL.jpg)
前回予告編を見たときに父親役は声の感じから西村雅彦だと勘違いして、珍しいなと思っていたのだけど、西村雅彦じゃなくて小日向文世だった。
伊坂幸太郎の大ベストセラー重力ピエロの映画化。
ベストセラーだけあってかさすがにストーリーは面白い。
原作は読んでいない。
映画化にあたり登場人物が削られたりしているらしいのだけど、まあよくまとまっている。
サスペンスかと思いきや家族愛、兄弟愛の映画。
「春が二階から落ちてきた」
春というのは季節の春じゃなくて、弟の名前が春(岡田将生)。
兄は泉水(加瀬亮)。
父は正志(小日向文世)。
加瀬亮はもう30をとっくに過ぎているはずだが、大学院生役。
岡田将生は高校を卒業したばかりという設定だし実年齢も加瀬亮とは大分離れているけど、それほど違和感は無い。
泉水は院で遺伝子の研究をしている。
春は大学には行かずに街中に書かれたグラフィックアートを消す仕事をしている。
イケメンで芸術的才能もあるし聡明で身体能力も高い弟春といつも比較される兄の泉水という関係。
兄は弟にコンプレックスを感じて嫌っているわけでもなくて、かといってべたべたに仲のいい兄弟でもない。
ただ、兄が取ろうとする思い切った行動を見ると二人の間の深い絆が見えてくる。
弟の方も可愛らしいくらい兄を頼りにしているし。
彼ら兄弟が住む街で連続放火事件が発生する。
春は放火現場とグラフィックアートの奇妙な関係に気づき、兄とともに放火犯を捕まえようとする。
しかし放火犯を追ううちにある真実が浮かび上がってきて・・・
加瀬亮はあんまり意識したことなかったけど、見事に雰囲気を持っていていい役者だったんだな。
岡田将生も『ホノカアボーイ』とは違ってクールでいて子供っぽい目が役に合っていてなかなかいい。
小日向文世はいいんだけどなんかちょっと違和感。
この人はもっと悪な感じがするんだけど、にこにこ顔で個性的でおおらかな役を演じているからかな。
ヅラはギャグなのかどうか終始悩んだけど。
吉高由里子は初めて見たけど綺麗な人。
加瀬亮と目を合わせずに膝を少し曲げた中腰状態でちょろちょろ逃げる姿は役柄と女優吉高由里子といろんな意味で恐ろしい。
サーカスのピエロってなんか泣けるんだよな。
存在が悲しさと優しさと勇気と感動に満ち溢れていて。
重力ピエロというタイトルだけあってサーカースのピエロが出てくるんだけど、
「楽しそうに生きていれば重力なんか消してしまえるんだよ」
のあとに怖がってびくびくしていたピエロが空中ブランコに成功する流れは涙出そうになる。