2009年9月5日土曜日

映画『チェコの四季』

1947年 監督:イジー・トルンカ
BS2 録画


イジィ・トルンカ作品集 Vol.1 [DVD]

「謝肉祭」というパートから始まる。
冒頭の歌が少し中国風なので、なんか急激に中国映画が見たくなる。
楽しく外で歌い踊っている集団が段々ヒートアップしてきて、その時の荒れ狂うような怒涛のカット割りに思わず興奮してくるのだけど、突然馬車に乗った白いてるてる坊主のような生物が集団に迫ってきて集団を蹴散らして去っていく。
何が起きたのか、あの生物は何なのかさっぱり分からないが、一気に祭りの後の静寂の世界へ。
ぽけーっとしているとエンドクレジットが。
と思ったらエンドクレジットじゃなくてオープニングクレジットで、「春」というパートが始まる。

チェコの四季と銘打った作品だけど、トルンカの短編をつなぎ合わせた作品集なのだろうか。
と思ったらトルンカの長編第一作らしい。
謝肉祭の楽団もてるてる坊主みたいな奴もあとのパートでも出てくるし、一応つながりはあるみたい。
チェコの年中行事と四季の風物詩を描いた作品で、「謝肉祭」「春」「聖プロコップ伝説」「巡礼」「聖名祝日」「ベツレヘム」の6つのパートに分かれたオムニバス。
セリフは一切なくて歌と音楽のみ。

基本的にシリアスなんだけど、ギャグでやってるんじゃないかと思うくらい時折人形がコミカルになる。
ありえないくらい高速回転したり子供を振り回したあと投げ捨てたり。
「春」で蝶の仮面をした梟役の女性人形が、芸人が眼鏡をずらされたかのように仮面をずらした状態でしきりに怒っている姿は笑える。
右腕を激しく上下に振りながら怒る姿は可愛い。
しかもその後男女関係なく大乱闘が始まるのだけど、そこで場面が夕暮れに変わるとまだ乱闘は続いていたらしく、梟女性の髪がぐちゃぐちゃに乱れまくっている。
その姿はコミカルで残酷。
監督は監督の意思でやりたい放題に人形を動かせるのだけど、ユーモラスで愛らしい姿や時に冷たい残虐性などを見ているとトルンカがいかに人形達に愛情を注いでいるのかが分かる。

音楽に合わせたカット割や、盛り上がったあとの至極の静寂の美しさなど、なかなか楽しめる。
ただ、歌ばかりなので途中眠くなって寝てしまった。

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