2011年9月3日土曜日

映画『キッズ・オールライト』

2010年 監督:リサ・チョロデンコ
at ギンレイホール


キッズ・オールライト  オリジナルバージョン [DVD]

つまらないコメディかと思ってぼけーっと見ていたら、意外となかなか面白い映画だった。
レズビアンのニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)には、18歳の娘ジョニ(ミア・ワシコウスカ)と15歳の息子レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)がいる。
精子バンクを利用して一人ずつ子供を生んだらしい。
ちょっと変わっているといえば変わっているが中身は普通の家族になっている。
各々が小さな不満を蓄積させているっていう普通の家族。
ジョニが18歳になったのを契機に、子供達が母親達に内緒で遺伝子上の父親に会いに行くところから家族の関係が動き出す。
父親ポール(マーク・ラファロ)は独身で人気レストランのオーナーをしていた。
自由気ままに生きているといった感じで、決して悪い奴ではない。
悪い奴じゃないんだけど。。。

コメディタッチなので、情事も笑って見ていたが、まさかそんなシリアスになるとは。
コメディに隠されていてもその裏では着実に暦とした家族ドラマが進行している。

それにしてもポールが哀れすぎるよなぁ。
この家族との間に発生する関係性も始まりは全て受身だったのに、翻弄された挙句にぼろ雑巾のように捨てられた哀れな犬のようだ。
自業自得とはいえ、コメディで楽しく展開していたじゃないか。
大きな罰を受けるのは他人のポール、いや、他人であって他人じゃないポール。ややこしい。

家族の関係性も血のつながりでみるとややこしい。
子供達にとって一方は産みの親だけど、もう一方は血のつながりは全く無い。
子供達は血のつながりのない方の親には、どこかよそよそしさがあるように見えたりもするし、親も自分が産んだ子の方をどちらかというとより可愛がっているようにも見える。
見えるってだけでストーリー上それが明確に表面化/問題化するわけじゃないから普通の家族設定でもいいようにも思えるけど、この関係性の微妙な複雑さが各事件が与える家族一人一人の心情にアクセントを加えている、のだろう。
というかせっかくなのでそう見よう。
養子だったら両親とも平等に血のつながりが無いし、子供の出来ない夫婦が人工授精で産んだ場合はどちらかが子供二人と全く血のつながりがなくなる。
一番近いのは男が女二人に子供を産ませた挙句捨てたか失踪したかでいなくなり、捨てられた女二人がそれぞれの子供達と一緒に家族を形成している、というありえなさそうなパターンかな。
そうなると父親は薄情な奴としてこの家族に恨まれるので、今度はポールという遠くて近い特殊な関係性が生々しくなってしまう。
ん~、書いていて思ったがどうでもよくなってきた。

レズビアンの人によると、バイセクシュアルなら別だが、レズビアン(それも何十年もの間)が男性と寝ることは有り得ないそうだ。
「レズビアンものはストレートの女性が演じているから醒める」というセリフでなんとなく納得してしまうゲイポルノを見ながらのセックスシーンも、有り得ない、と。

ジュリアン・ムーアの体の染みはどんどん広がっているのかな。

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