2010年 監督:デレク・シアンフランス
at ギンレイホール
つまらない恋愛物かと思ってぼけーっと見ていたら、意外となかなか面白い映画だった。
恋愛物というと、二人が困難を乗り越えつつ最後に結ばれてハッピーエンドというパターンだけど、結婚した後にはその後何十年と続く結婚生活というドラマが待っていることを忘れちゃいけない。
恋愛映画の主人公達がハッピーエンドの後にもハッピーが死ぬまで続くのかというと、たぶん7割方離婚しているだろう。
『ジュリエットからの手紙』のあの二人なんか2年くらいで破局しているぜ。絶対。
結婚までにどれほどの困難があろうが、結婚した後に待っている困難の方が何倍も難しい。
なぜ難しいって、結婚前の困難は盲目に愛し合う二人を引き離す外的要因の困難だけど、結婚後の困難は当の二人の間で発生する問題だから。
人間と人間、他人と他人が一緒に生活を共にするわけだから、いくら惹かれあっていようが、そこには繊細な人間関係が常に横たわっている。
小さなすれ違いはやがて修復不能な大きな亀裂になることだってある。
自分の根源的な生活習慣の中に存在している人間関係はそれほど繊細で難しい。
そんな夫婦間のわずかなずれを丁寧に描写しながら、過去の二人の初々しい出会いの物語を何度も効果的に挟みつつ描いているのがこの映画。
結婚した途端性格が一変したとかいうわけでもなく、夫はちょっとやくざっぽくなっても決して妻に手を上げないし、妻は妻で変わらず真面目に夢を持って働いている。
明らかにどっちが悪いとも言えないまま、結婚する前と大きく変わらないはずの二人の関係が修復不能になっていく様は残酷とも言える。
主演は『ラースと、その彼女』『きみに読む物語 』のライアン・ゴズリングと、『ブロークバック・マウンテン』ミシェル・ウィリアムズ。
青みがかかった未来部屋の無機質な空間で緊張感と弛緩が波のようにうねる二人のやりとりは圧巻だった。
2011年9月3日土曜日
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