2014年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
製作国:ベルギー/フランス/イタリア
at ギンレイホール
工場労働者のサンドラ(マリオン・コティヤール)は夫と共働きで二人の子供を育てている。
サンドラはうつ病で休職中だったが、完治したので復帰しようとした矢先、会社から解雇されてしまう。
サンドラを解雇しないと社員にボーナスが支給できないという。
解雇を撤回するには次の月曜の社員による投票で同僚16人のうち過半数がボーナスをあきらめサンドラの復職に投票する必要がある。
今解雇されてしまうと生活が成り立たなくなってしまうサンドラは週末に同僚一人一人を訪ねて説得を試みる。
いきなり解雇通知するのもひどいが、解雇かボーナスを諦めるか社員に選ばせるのもひどい。
解雇されたくないからボーナスを諦めてくれ、って同僚とどこまで親密なのか知らないが、親密の度合いに関係なくきつい説得だよね。
ましてやうつ病の病み上がりの人にやらせることじゃない。
実際サンドラは何度も心が折れかけている。
それでも夫の支えや、中にはうれしいことを言ってくれる同僚もいたりして、なんとか進んでいく。
何度も足を滑らせながら渡っていく危うい綱渡りを見ているようだ。
一人一人の説得がそれぞれワンカットになっているみたいで、かつドキュメンタリー風の映像が生々しい緊張感を湛えている。
結構好きだと思ったらこの監督さん『息子のまなざし』とか『少年と自転車』の人だな。覚えておこう。
2015年11月29日日曜日
映画『パレードへようこそ』
2014年 監督:マシュー・ウォーチャス
製作国:イギリス
at ギンレイホール
1984年サッチャー政権下で発表された20箇所の炭鉱閉鎖。
抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとしていた。
ロンドンの同性愛者仲間達は自分たちと同じように政府に弾圧されている炭鉱夫達を支援しようと“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。
まだ同性愛者に厳しい時代、集められた基金を全国炭坑労働組合に送ろうとするが何度電話してもやんわり逃げられてしまう。
ならば直接炭鉱に電話しよう、とウェールズの炭坑町に電話したところあっさり受け入れられて、そこから町の人々との交流が始まる。
実話がもとになっているらしい。
厳しさ辛さを乗り越えるバイタリティにあふれた人たちってすごいよね。
おばちゃん嫌いの僕でもこの映画のおばちゃんパワーにはほっこりしてしまう。
検索してみるとなかなか評価が高い模様。
まあ普通に面白かった。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
1984年サッチャー政権下で発表された20箇所の炭鉱閉鎖。
抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとしていた。
ロンドンの同性愛者仲間達は自分たちと同じように政府に弾圧されている炭鉱夫達を支援しようと“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。
まだ同性愛者に厳しい時代、集められた基金を全国炭坑労働組合に送ろうとするが何度電話してもやんわり逃げられてしまう。
ならば直接炭鉱に電話しよう、とウェールズの炭坑町に電話したところあっさり受け入れられて、そこから町の人々との交流が始まる。
実話がもとになっているらしい。
厳しさ辛さを乗り越えるバイタリティにあふれた人たちってすごいよね。
おばちゃん嫌いの僕でもこの映画のおばちゃんパワーにはほっこりしてしまう。
検索してみるとなかなか評価が高い模様。
まあ普通に面白かった。
2015年11月15日日曜日
映画『セッション』
2014年 監督:デイミアン・チャゼル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
予告編見て思い出した。
「ラスト9分19秒 映画史が塗り替えられる」
って、ああ、またラストでしょうもないどんでん返しがあるようなインパクトのみの映画かぁ、みたいに思っていたんだった。
本編見ているときは予告編のことなんてすっかり覚えていなくて、で、問題のラスト。
いや、絶対ただでは済まないでしょう、っていう強烈な不安から来る緊張感で心臓ばくばくしながら突入したラスト9分19秒、映画史がどうこうはよく知らないが、一言で言うならとにかく圧巻だった。
とかいうチープな言葉しか出てこないけど、筆舌を尽くせばネタばれになるからさぁ。。
最近エンドロールが流れるころには見た映画を忘れているくらいのドライさだったけど、久しぶりに余韻がしばらく消えないくらい興奮した。
しかし見事だわ。ドラマ的にも演出的にも恐ろしく感動的に昇華されたラスト。ラストのワンカットが静かな余韻を残す名作ならいっぱいあるけど、こんなに長い時間かけて暴力的に飲み込んでくるラストは初めてだ。
ストーリーの概要はまあ予告編のとおり。
名門音楽大学の中にあってさらに最高峰にあるテレンス・フレッチャー教授(J・K・シモンズ)のバンドに加入することが叶ったドラマーのアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)。
揚々と参加した練習では鬼のしごきが待っていた。
予告編にまんまあるけど、椅子は飛ぶ、ひっぱたかれる、罵詈雑言を浴びせられる。
ニーマンと雑談を交わして得たニーマンが父子家庭だという情報も駆使して父親の悪口まで言う。
アニメおたくなら「俺のことはなんと言ってもかまわない。だけど親父の悪口は許さん!」とよくあるセリフを吐いて怒り出しそうなところ。
トロンボーンパートのしごきなんか凄かった。
音程がずれている奴がいるといって一人の気弱そうな青年に思いっきり顔を近づけて大声で罵詈雑言を浴びせかける。
音程がずれていることを分かっていたのか?分からないのか?分からないなら問題外だ!出て行け、みたいな。
その後のオチがまじかよってくらいひどい。
厳しくすることに美学を持っている人ってたまにいるよね。
大体が切れやすくて情緒不安定なだけなんだけど、自分が悪者になることで相手が伸びればそれでいい、みたいな後付け論理で正当化する人。
フレッチャー教授もどちらかというとその部類。
ラストの方ではせこい小物臭まで漂わせ始める。
でもそこまで落としておいてからのあれ、だからこそのラストだよな。
ちなみに俺はほめられて伸びるタイプ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
予告編見て思い出した。
「ラスト9分19秒 映画史が塗り替えられる」
って、ああ、またラストでしょうもないどんでん返しがあるようなインパクトのみの映画かぁ、みたいに思っていたんだった。
本編見ているときは予告編のことなんてすっかり覚えていなくて、で、問題のラスト。
いや、絶対ただでは済まないでしょう、っていう強烈な不安から来る緊張感で心臓ばくばくしながら突入したラスト9分19秒、映画史がどうこうはよく知らないが、一言で言うならとにかく圧巻だった。
とかいうチープな言葉しか出てこないけど、筆舌を尽くせばネタばれになるからさぁ。。
最近エンドロールが流れるころには見た映画を忘れているくらいのドライさだったけど、久しぶりに余韻がしばらく消えないくらい興奮した。
しかし見事だわ。ドラマ的にも演出的にも恐ろしく感動的に昇華されたラスト。ラストのワンカットが静かな余韻を残す名作ならいっぱいあるけど、こんなに長い時間かけて暴力的に飲み込んでくるラストは初めてだ。
ストーリーの概要はまあ予告編のとおり。
名門音楽大学の中にあってさらに最高峰にあるテレンス・フレッチャー教授(J・K・シモンズ)のバンドに加入することが叶ったドラマーのアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)。
揚々と参加した練習では鬼のしごきが待っていた。
予告編にまんまあるけど、椅子は飛ぶ、ひっぱたかれる、罵詈雑言を浴びせられる。
ニーマンと雑談を交わして得たニーマンが父子家庭だという情報も駆使して父親の悪口まで言う。
アニメおたくなら「俺のことはなんと言ってもかまわない。だけど親父の悪口は許さん!」とよくあるセリフを吐いて怒り出しそうなところ。
トロンボーンパートのしごきなんか凄かった。
音程がずれている奴がいるといって一人の気弱そうな青年に思いっきり顔を近づけて大声で罵詈雑言を浴びせかける。
音程がずれていることを分かっていたのか?分からないのか?分からないなら問題外だ!出て行け、みたいな。
その後のオチがまじかよってくらいひどい。
厳しくすることに美学を持っている人ってたまにいるよね。
大体が切れやすくて情緒不安定なだけなんだけど、自分が悪者になることで相手が伸びればそれでいい、みたいな後付け論理で正当化する人。
フレッチャー教授もどちらかというとその部類。
ラストの方ではせこい小物臭まで漂わせ始める。
でもそこまで落としておいてからのあれ、だからこそのラストだよな。
ちなみに俺はほめられて伸びるタイプ。
映画『君が生きた証』
2014年 監督:ウィリアム・H・メイシー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
息子をなくしてエリートサラリーマンの道を捨ててほぼ浮浪者のようなヨット暮らしを続けるサム(ビリー・クラダップ)。
息子に関わるものは一つも見たくなかったが、息子が残した歌に惹かれ始める。
で、自分で歌いだす。
そしたら若者がむらがってくる。
ウィリアム・H・メイシーの初監督作。
音楽ものって大体うるさく感じることが多いけど、いい声、いい演奏でなかなか聞きごたえがある。
ビリー・クラダップとアントン・イェルチンが吹き替えなしで演奏しているらしい。
バーに出演する脇役の人たちも個性的でいったいどこから見つけてきたのだろう。
音楽ものって書いたけど、結構重めの人間ドラマでもある。
このドラマの中で「音楽」は重要な位置を占めていて、かつ音楽での感情表現が肝なシーンもちらほらある。
特にラストはいいよねぇ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
息子をなくしてエリートサラリーマンの道を捨ててほぼ浮浪者のようなヨット暮らしを続けるサム(ビリー・クラダップ)。
息子に関わるものは一つも見たくなかったが、息子が残した歌に惹かれ始める。
で、自分で歌いだす。
そしたら若者がむらがってくる。
ウィリアム・H・メイシーの初監督作。
音楽ものって大体うるさく感じることが多いけど、いい声、いい演奏でなかなか聞きごたえがある。
ビリー・クラダップとアントン・イェルチンが吹き替えなしで演奏しているらしい。
バーに出演する脇役の人たちも個性的でいったいどこから見つけてきたのだろう。
音楽ものって書いたけど、結構重めの人間ドラマでもある。
このドラマの中で「音楽」は重要な位置を占めていて、かつ音楽での感情表現が肝なシーンもちらほらある。
特にラストはいいよねぇ。
2015年11月1日日曜日
映画『イマジン』
2010年 監督:アンジェイ・ヤキモフスキ
製作国:ポーランド/ポルトガル/フランス/イギリス
at ギンレイホール
リスボンの視覚障害者のための診療所にやってきた盲目のイアン(エドワード・ホッグ)。
彼は反響定位という方法で杖なしで外を歩くことができる。
イアンはこの反響定位を教えるインストラクターだった。
10代の子供たちに指導するイアン。
そしてイアンの隣に部屋に住む引きこもりがちな女性エヴァ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、イアンの授業とイアンに次第に惹かれ始めていく。
自然光で撮っているらしい。
舞台はポルトガルだが、映像の雰囲気はイラン映画や中央アジア系の映画に似ている。
盲目かつエコーロケーションなので、音に非常に敏感になる。
自然光のざらざらした質感の映像と、心地よい音、盲目のそこはかとなく漂う不安感、そしてそれらを妨げない多くを語らないストーリー。
大好きだわ。かなり面白かった。
面白かったんだけど、ただ、同じ題材をイランの監督が撮ったらもっと面白かったんじゃないかと考えてしまった。
もっとシンプルに、もっとざらついて、もっと詩的になりそうで。
そういえばモフセン・マフマルバフ『サイレンス』とかマジッド・マジディ『太陽は、ぼくの瞳』等、イラン映画の盲目ものは結構あるな。
製作国:ポーランド/ポルトガル/フランス/イギリス
at ギンレイホール
リスボンの視覚障害者のための診療所にやってきた盲目のイアン(エドワード・ホッグ)。
彼は反響定位という方法で杖なしで外を歩くことができる。
イアンはこの反響定位を教えるインストラクターだった。
10代の子供たちに指導するイアン。
そしてイアンの隣に部屋に住む引きこもりがちな女性エヴァ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、イアンの授業とイアンに次第に惹かれ始めていく。
自然光で撮っているらしい。
舞台はポルトガルだが、映像の雰囲気はイラン映画や中央アジア系の映画に似ている。
盲目かつエコーロケーションなので、音に非常に敏感になる。
自然光のざらざらした質感の映像と、心地よい音、盲目のそこはかとなく漂う不安感、そしてそれらを妨げない多くを語らないストーリー。
大好きだわ。かなり面白かった。
面白かったんだけど、ただ、同じ題材をイランの監督が撮ったらもっと面白かったんじゃないかと考えてしまった。
もっとシンプルに、もっとざらついて、もっと詩的になりそうで。
そういえばモフセン・マフマルバフ『サイレンス』とかマジッド・マジディ『太陽は、ぼくの瞳』等、イラン映画の盲目ものは結構あるな。
映画『おみおくりの作法』
2013年 監督:ウベルト・パゾリーニ
製作国:イギリス/イタリア
at ギンレイホール
主演エディ・マーサン。
この人初めて見たけど一気にファンになった。
たたずまいだけで絵になる役者なんて世界中に数えるほどしかいないけど、エディ・マーサンは確実にその一人に入る。
顔もスタイルもかっこよくもなんともないのに、スクリーンに映える静かな存在感があって。
ロンドンの民生委員、ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した身寄りのない人たちの身辺整理から葬儀までを行う仕事をしている。
故人の人生を調査し、本当に縁故はないのか確認し、葬儀では故人に合ったベストなBGMをチョイスする等、常に敬意を払って一人一人丁寧に送り出していく。
しかしその几帳面さが仇になり、仕事が遅いという理由でリストラされることになる。
最後の仕事として、アパートの向かいに住んでいながら全く知らなかった老人ビリー・ストークを手がけることになったジョン・メイは、彼の人生を紐解く旅に出る。
ラストの方で、何この展開、と意味がわからず呆気に取られたけど、ラストシーンでは涙がぼろぼろ出てきた。
このラストシーンのためにはそういう展開もしょうがない。
原題は「STILL LIFE」。原題の方がこの映画の空気感に合っている。
製作国:イギリス/イタリア
at ギンレイホール
主演エディ・マーサン。
この人初めて見たけど一気にファンになった。
たたずまいだけで絵になる役者なんて世界中に数えるほどしかいないけど、エディ・マーサンは確実にその一人に入る。
顔もスタイルもかっこよくもなんともないのに、スクリーンに映える静かな存在感があって。
ロンドンの民生委員、ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した身寄りのない人たちの身辺整理から葬儀までを行う仕事をしている。
故人の人生を調査し、本当に縁故はないのか確認し、葬儀では故人に合ったベストなBGMをチョイスする等、常に敬意を払って一人一人丁寧に送り出していく。
しかしその几帳面さが仇になり、仕事が遅いという理由でリストラされることになる。
最後の仕事として、アパートの向かいに住んでいながら全く知らなかった老人ビリー・ストークを手がけることになったジョン・メイは、彼の人生を紐解く旅に出る。
ラストの方で、何この展開、と意味がわからず呆気に取られたけど、ラストシーンでは涙がぼろぼろ出てきた。
このラストシーンのためにはそういう展開もしょうがない。
原題は「STILL LIFE」。原題の方がこの映画の空気感に合っている。
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