2007年 監督:アミン・マタルカ
製作国:ヨルダン
BS2 録画
空港で清掃員として働く老人のアブ・ラーイド(ナディム・サワラ)は妻を亡くし、一人で静かに暮らしている。
ある日空港のゴミ箱で機長の帽子を拾ったアブ・ラーイドは、地元の子どもたちに機長だと誤解されてしまう。
最初こそ否定していたアブ・ラーイドだが、やがて子どもたちに旅の話を聞かせるようになる。
まあ、いきなりばれそうになるんだけど。
そもそもアブ・ラーイド自身、機長が嘘だとばれることに特に注意を払っていないし。
嘘だとばれれば子どもたちは傷つきはする。
だが重要なのはうちに閉じこもりがちだったアブ・ラーイドが子どもたちと接することで外に目を向けるようになったこと。
そして子どもたちは一時でも旅の話に胸をときめかせて楽しい時間を過ごしたこと。
嘘をつかなかったら何も変わらなかった。
傷つくとかはきっと瑣末な話。
嘘は夢や優しさだから。
2千冊の蔵書があるという嘘もばれれば単なる笑い話という寛容さがある。
子どもたちと交流を持ったアブ・ラーイドは、次第に子どもたちの苦しい生活に関心を寄せていく。
この映画の主題は機長と嘘をついていたことよりもこの子どもたちとの関わりにある。
親に強制されて学校を休んでお菓子の街頭販売をする少年や、家庭内暴力に苦しむ少年。
お菓子の少年には、買い取って学校に行かせてやる優しさを見せるアブ・ラーイドだが、その善意は少年を窮地に追い詰める。
家庭内暴力の家はアブ・ラーイドの隣人で、最初に頃はうるせーなくらいの無関心ぶりだったのに、少年と知り合うことでなんとか救おうと動き出す。
そして少年はもとより、おそらく暴力を振るう父親をも救おうとしたのだろう。その結果は。。
アブ・ラーイドの家の屋上の景色がすごい。
丘の上にあって首都アンマンを一望できる素晴らしい景色。
屋上に柵のようなものがないから恐怖も伴うけど視界良好。
約40年ぶりのヨルダン製長編劇映画であり、海外で公開された作品としては50年振りらしい。
監督のアミン・マタルカは13歳でアメリカに移住し、アメリカで映画制作を学んだらしい。
女性機長役のラナ・スルターンは、最初の登場シーンではなんだこのけばい感じの姉ちゃんはと思ったけど、役柄はなんかすごいいい子だった。
ラナ・スルターンは朝のテレビ番組の司会者として絶大な人気を誇る人で今回演技に初挑戦らしい。テレビ司会者かぁ。なんか納得。
2016年12月25日日曜日
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