2021年7月31日土曜日

映画『夏時間』

2019年 監督:ユン・ダンビ
製作国:韓国
at ギンレイホール




予告編で、車中の後部座席で船漕いで倒れそうな弟を隣の姉が自分の肩にそっと寄りかからせる、っていうシーン見てから絶対おもしろいだろうと思って結構楽しみにしていた。
本編は、つまらなくはないけど、途中眠気に襲われて少し寝てしまった。

夏休み、祖父の家、っていう空気感が瑞々しい。
そこに大人になりかけの少女の視点から見た、、恋人、なにやら事情のある大人達、無邪気で脳天気な弟、去っていった母親、生と死、っていうもろもろの感情が乗せられる。
いいことはいいんだけど、、なんかこういうの見るなら是枝ホームドラマのほうが数倍面白いんだよなぁ。

弟役の子はあまり演技経験ない子に自由にさせているんだなと思っていたのに、パク・スンジュン君っていって天才子役と評される子らしい。
まじかー、こまっしゃくれた子役の演技が大っ嫌いなのに普通に見てしまったぁ。

号泣シーンは初め面白い泣き方に戸惑うけど段々引き込まれていく。
なかなかの名シーン。
なぜそこまで号泣するかは不明。だが全てが溢れ出して止まらないんだろうな。なんとなく分かる。

映画『ヒトラーに盗られたうさぎ』

2019年 監督:カロリーヌ・リンク
製作国:ドイツ
at ギンレイホール




絵本作家ジュディス・カーの自伝。
子供にとっては結構過酷な環境ではあるが、ドイツに残っていたユダヤ人より100倍幸せなんよね。

主演のリーヴァ・クリマロフスキがまあ達者だわ。
子役嫌いの私でも自然に見ることができた。
なんかしばらく学業に専念するらしいが将来が楽しみ。

映画自体は第一部完みたいな感じ。
まあ面白かった。

1923年生まれで生きていたら100歳近いしもうだいぶ前になくなっているんだろうなと思ったら2019年までご存命だったらしい。
この作品の完成前だったとのこと。

2021年7月17日土曜日

映画『世界で一番しあわせな食堂』

2019年 監督:ミカ・カウリスマキ
製作国:フィンランド / イギリス / 中国
at ギンレイホール




フィンランド北部の田舎町に中国人親子がやってくる。
彼は「フォントロン」を探しているらしい。
入った食堂で客に聞きまくるが誰も「フォントロン」を知らなくて途方にくれる。

「フォントロン」の謎が物語のキーになる雰囲気なのに中盤であっさり判明する。
判明後は中だるみしている気もしたけど、のんびりしていて全般的には面白かった。
4輪バイクは農作業用かと思ったらそうでもないのか。かっこいい。

釣り針のシーンは文化の違いに戸惑うか、もしくはシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)に幻滅するシーンなのかと思ったが逆に3人の絆のシーンみたいだった。
これぞ文化の違い?
怪我させたのお前だろうが、と何回突っ込んだことか。
人災も天災みたいな感覚が世界一幸せな国である秘訣なのかも。


ミカ・カウリスマキは何本見たんだっけと思ったらまさかの1本。
ヴィルプラ役のヴェサ=マッティ・ロイリが出ているね。
この人公式ページによると「フィンランドで最も有名な俳優・歌手・パフォーマー」らしい。

映画『MISS ミス・フランスになりたい!』

2020年 監督:ルーベン・アウヴェス
製作国:フランス
at ギンレイホール




予告編にもあるけど「完璧と普通の違いが分かる?」「数ミリよ」は名言だな。
子供の頃にミス・フランスに憧れていた少年が、大人になるまでに色々あって暗くなっていたところで昔の夢を思い出して再び夢を追い始める話。

ストーリーはいまいちよくわかなかったけど、ミスコンの舞台裏とかはまあ面白かった。
あと、主演のアレクサンドル・ヴェテールの美脚がすごい。
彼の美脚に勝てる女性は世界に100人もいないんじゃないかと思うくらい。
顔立ちもなんか不思議で、ごつごつして男っぽく見えもするし、小顔でエキゾチックな美人に見えたりもする。
めちゃくちゃ美人という程でもないが。

シェアハウスの同居人たちが個性的なのはいかにもって感じ。

以下ネタバレ


細かい設定とかストーリーがよくわからんのね。

アレックスが男だとわかったらさんざん無視していたのに手のひらクルーで急に仲間づらするのって何なの?
トランスジェンダーには寛容でいないといけない、いじめるなんてとんでもないみたいな空気感に流されているのを揶揄しているのだろうか。

ボクシングジムの人たちってアレックスを下に見てどちらかというといじめているような雰囲気があったけど、最後めっちゃ和気あいあいと応援していたよね。
普通に仲間だと思っていたならそれでいいけど、アレックスにレイプまがいのことして暴言吐いた同僚は普通に応援していちゃ駄目だよね。あの場にいたか記憶にないけど。

ラスト脱ぎだしたら普通カメラ止めるでしょ。
あとピンク乳首の綺麗な微乳にしか見えなかったのだけど、あれで男とすぐ分かる観客って一体なんなのか。

アレックスが結局性自認が女性なのかどうかよくわからない。クロスドレッサーでもなさそうだし。
でも幼馴染とその恋人の仲にショックを受けるような描写もあるからややこしい。
その辺は監督のインタビューみるとなんとなく意図がわかる。
型にはめた分類をしたがるのはよくないってことね。

2021年7月3日土曜日

映画『すばらしき世界』

2020年 監督:西川美和
製作国:
at ギンレイホール




人生の大半を刑務所で過ごし、今回は13年ぶりに出所した元やくざで殺人犯の三上正夫(役所広司)。
根は優しいのだが激昂しやすく、一度切れたら相手をぶちのめして動かなくなるまで止まらない。
そんな三上と三上を支える弁護士夫婦とか若手テレビマンとかスーパーの店主だとかの物語。
実在の人物がモデルらしく、原作は佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』。

周りの人がいい人たちすぎて泣けてくる。
元殺人犯でしかもしょっちゅうキレている人なんか怖くて近寄りたくない。
けど三上がまた人懐っこいいい笑顔するんだわ。ほっとけないというか。
狂気の凄みと優しさを同居させる役所広司の真骨頂。

庄司夫婦(梶芽衣子、橋爪功)がなにか名セリフ言っていたんだけど、思い出せない。
なにか人生の生き難さ、大人は我慢してとか逃げていいとか一人で全部背負えないとかそんな話。
三上にとっては半分納得して半分納得できない話。
ラストシーンのエピソードはちょっと主張がストレート過ぎるけどいい話いいシーンだった。

白竜の足のCGはよくできているような違和感あるような。

以下ネタばれ

あの職員ぶっとばしたいわ~。
彼なりの正義かもしれないが基本なにか根性がひん曲がっている。
その後のおばあちゃんに駆け寄る姿が仕事とはいえ、ギャップに戸惑うんだよな。
介護の現場はあまりに過酷だというし正常じゃいられないのかも。
それにしても前科者とか雇うっていう情報知っておきながら三上が前科者かもって思わないところがアホすぎてかわいい。
あと、いじめられる側に非というかマイナス点が少しでもあって、かつ皆がいじめていると、友達だったはずなのに急にどうでもよくなってしまう、みたいな日和見集団心理に何か心理学的な名前あるのかな。
いじめ、想像、真相、そして「似てますよね?」の緊張から緩和、そして「三上さんも持って帰る?」の笑顔から三上の涙、そしてラストって流れは感情の起伏が激しくてなかなかすごい。

映画『スパイの妻<劇場版>』

2020年 監督:黒沢清
製作国:日本
at ギンレイホール




この予告編さあ、なにこのチープなB級テレビドラマみたいな映画って思ったら黒沢清監督ってばーんって名前が出るからびっくりするよね。

本編見ると、冒頭の手前に樹の枝葉で奥に建物のショットがなんか安心感あったけど、以降は普通に予告編通りだった。
でも意外と面白かった。

セリフまわしはどんなに熱がこもっても常にどこか上滑りしているような変な感じ。
なにこれって思うけど、棒読みすぎず自然すぎない絶妙なバランスの上に成り立った演技に思えてきてだんだん癖になる。

余談:
そういえば黒沢清の映画ってだいたいこんな感じのセリフまわしだったっけ、というか黒沢映画って超久しぶりに見た気がする。
いや、久々というか『ニンゲン合格』とあとせいぜい1,2本くらしか見ていなかったかも。。
このブログ上では3本乗っているなぁ。覚えていない。。

東出君は黒沢清と相性よさそうだな。

演出は昔の日本映画見ているかのよう。
バストショットの切り返しは真正面向いているけど小津っぽいし、後はなんだ、何も出てこないがなんとなくの雰囲気で。

以下少しネタばれ

自分の危機的状況もよく理解していないし、フィルム見れば納得してもらえると信じ切った上でのどや顔「御覧ください」は名シーンだった。