2021年7月3日土曜日

映画『すばらしき世界』

2020年 監督:西川美和
製作国:
at ギンレイホール




人生の大半を刑務所で過ごし、今回は13年ぶりに出所した元やくざで殺人犯の三上正夫(役所広司)。
根は優しいのだが激昂しやすく、一度切れたら相手をぶちのめして動かなくなるまで止まらない。
そんな三上と三上を支える弁護士夫婦とか若手テレビマンとかスーパーの店主だとかの物語。
実在の人物がモデルらしく、原作は佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』。

周りの人がいい人たちすぎて泣けてくる。
元殺人犯でしかもしょっちゅうキレている人なんか怖くて近寄りたくない。
けど三上がまた人懐っこいいい笑顔するんだわ。ほっとけないというか。
狂気の凄みと優しさを同居させる役所広司の真骨頂。

庄司夫婦(梶芽衣子、橋爪功)がなにか名セリフ言っていたんだけど、思い出せない。
なにか人生の生き難さ、大人は我慢してとか逃げていいとか一人で全部背負えないとかそんな話。
三上にとっては半分納得して半分納得できない話。
ラストシーンのエピソードはちょっと主張がストレート過ぎるけどいい話いいシーンだった。

白竜の足のCGはよくできているような違和感あるような。

以下ネタばれ

あの職員ぶっとばしたいわ~。
彼なりの正義かもしれないが基本なにか根性がひん曲がっている。
その後のおばあちゃんに駆け寄る姿が仕事とはいえ、ギャップに戸惑うんだよな。
介護の現場はあまりに過酷だというし正常じゃいられないのかも。
それにしても前科者とか雇うっていう情報知っておきながら三上が前科者かもって思わないところがアホすぎてかわいい。
あと、いじめられる側に非というかマイナス点が少しでもあって、かつ皆がいじめていると、友達だったはずなのに急にどうでもよくなってしまう、みたいな日和見集団心理に何か心理学的な名前あるのかな。
いじめ、想像、真相、そして「似てますよね?」の緊張から緩和、そして「三上さんも持って帰る?」の笑顔から三上の涙、そしてラストって流れは感情の起伏が激しくてなかなかすごい。

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