2007年11月11日日曜日

映画『輝ける女たち』

2006年 監督:ティエリー・クリファ
at ギンレイホール


輝ける女たち

ああ、人物関係がさっぱり分からない。
眠くなってちょっと寝てしまった。

キャバレー「青いオウム」のオーナーであるガブリエル(クロード・ブラッスール)が死去した。
ということで彼のファミリーが集まる。
息子のニッキー(ジェラール・ランヴァン)。クラブに出演するマジシャンでもある。
ニッキーの妻?元妻?愛人?にアリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)とシモーヌ(ミュウ=ミュウ)。
ニッキーの子供にマリアンヌ(ジェラルディン・ペラス)とニノ(ミヒャエル・コーエン)。
で、このファミリーの関係が複雑で、
・ニッキーはガブリエルの本当の息子でない。
・マリアンヌとニノの父親はニッキーらしいが母親は違うらしい。
・アリスは元妻でマリアンヌの母で、シモーヌはニッキーじゃない別の夫がいるけどニノの父親はニッキーで、だけどニッキーの元妻というわけではないらしい。
さらに、
・ガブリエルは女装によるパフォーマンスをしていたがオカマではないらしいが同性愛者かもしれない・・・
・ニッキーはしょぼくれたおっさんにしか見えないけど実は稀代のプレイボーイらしい。でも同性愛者でもあるかもしれない・・・
・ニノは揺るぎない同性愛者。
っていうようなことが超小出しにちょろっとしたセリフで明かされたりする。
人物関係が明かされるタイミングは始まりから最後までALLTIME。
寝ちゃったらわかんないじゃん。だから公式HP見て勉強した。

ストーリーだけど、ガブリエルが死去した、で、ニッキーは自分が遺産というかこのキャバレー青いオウムを相続するものだと思っていたらしいが、青いオウムはマリアンヌとニノの二人に相続される。
マリアンヌはばりばりのキャリアウーマンでニノは会計士。
そんな古いキャバレーもらっても経営している暇なんてないしそりゃあ売るでしょう。
ってことなんだけどなんだかんだ登場する人物の過去や関係が明かされて、さらにクラブに出演する歌手のレア(エマニュエル・ベアール)もからんできてニッキーといい関係になって、うにゃうにゃしているうちにファミリーはそれぞれ自分のアイデンティティを獲得したのかなんだかおおらかになって清清しく歩き始める。
ファミリーの再生までの道のりが過去や事実の小出しを重ねているうちになんか気づいたら、っていう緩やかなところが洒落ているものの、関係が複雑すぎてのりづらい。

シモーヌ役にミュウ=ミュウです。
以前に『燃えつきた納屋』1973を見たときに気になって名前を覚えていたミュウ=ミュウ。
年をとってもかわいらしい目元は変わらない。
なんかレアな女優だと思っていたけど出演作見ると結構メジャーな人だったのね。

2007年11月10日土曜日

映画『花とアリス』

2004年 監督:岩井俊二
BS2 録画


花とアリス 特別版花とアリス 通常版

岩井俊二は前に一作、なんだっけな、『PicNic』かなんか見て、やっばー、このオタク世界に全然ついていけない、っつって。
それから岩井俊二は一切見ていない、っつって。
のだけど『花とアリス』はそういえば蒼井優がバレエを踊っているとかいう情報を聞いたような気するな、っつって。
見てみる。
むーん。この映画で坂本真が語尾に「っつって」と必ずつけるのね。段々うざくなってくるのだけど、たまに使ってみると結構楽しいかも。

で、この映画、やっばー。蒼井優がよすぎる。
ちょっとした表情のかわいらしいこと。
鼻を両手の人差し指ではさんで鼻声で「ごめんなさい」と言っても蒼井優ならOK。
そして鈴木杏と蒼井優の掛け合いも奇跡的な絶妙さで面白いしな。

アリス(蒼井優)とハナ(鈴木杏)は親友で一緒の高校に進学する。
ハナは中学時代に駅のホームで見かけてあこがれていた先輩のいる落語研究会に入部。
先輩の下校を尾行しているところで先輩がシャッターに頭をぶつけて気絶。
なんだかんだでハナは先輩を記憶喪失扱いしてちゃっかり彼女の位置に収まる。
自分の名前も覚えているし最近の事も覚えているのに、彼女のことだけは忘れてしまったという記憶喪失。
んな馬鹿なと思ってもこの先輩はぼーっとした変なやつなので、騙されてもなんか納得。
コメディだよね。
嘘がばれそうになったため、ハナはさらに嘘を重ねて親友のアリスを元カノに仕立て上げる。
元カノの事まで忘れたのか!
先輩は過去の記憶を思い出そうとアリスとデートを重ねる。
まあ、三角関係。

ストーリーの主軸はこの三角関係なんだけど、話は結構大きく広がる。
まず主役二人の背景の描き方が上手い。
アリスは母子家庭で母親(相田翔子)は新しい彼氏とデートばかりしている。
家の中は臭くない程度に乱雑。家事をしていないらしい。
そんな家庭だがアリスは奔放で明るい。
本当の父親ともよく会う。というか父親が大好きらしい。
ハナの頼みに付き合って先輩に元カノのふりして接するが、アリスは先輩とのありもしない過去の記憶たどりデートを、父親との懐かしい過去の記憶たどりに常に置き換える。
これが最後の方でトランプのハートのエースとして油断すると泣きそうになるくらいのいい話になるんだな。
明るいアリスに対して、暗くはないがどこか狂気を秘めたハナ。
臆病なのか大胆なのかわからない。
憧れの先輩の彼女になる手腕はコメディの世界だったけど、ハナの嘘は夢野久作の『少女地獄 何でもない』の世界だった。
激しい嫉妬とまくしたてる嘘の狂気。
嘘を重ねて自分の首を絞めていき、「先輩が私のことを好きなったという事実は・・・ありません」という悲惨な言葉をはく羽目に陥る。
でもいいシーンだけどね。
ハナの背景はいまいち描かれないのだけど、ラストの方で思いがけない形でハナの過去とアリスとの関係が明かされる。
ああ、これで十分です。
そして過去と擬似過去の現在が交錯する中で未来の線も折り重ねてくる。
アリスはスカウトされて芸能事務所に入っていろんなオーディションに出るのね。
奔放なアリスも社会に出ればおとなしい女子高生。このギャップ。
社会には一癖も二癖もある連中が待ち受けてるし。ルー大芝とかアブちゃんとか。

つっこみどころはとりあえず置いておこう。トランプのカードが10年近くも浜辺に落ちているわけねーだろ、とか。

2007年10月28日日曜日

映画『フランシスコの2人の息子』

2005年 監督:ブレノ・シウヴェイラ
at ギンレイホール


フランシスコの2人の息子

これも南米映画で今度はブラジル。
実話に基づく、と冒頭で紹介される。
リリースしたアルバムの総売上が2200万枚を超えるらしいブラジルの国民的アーティスト、ゼゼ・ジ・カマルゴ&ルシアーノの実話。
ブラジルの田舎に7人の子供を持つ大家族がいた。
いかしたおやじは農作物の全てをはたいて長男と次男にアコーディオンとギターを与えた。
特に誰のレッスンを受けるでもなく、気づいたらそれなりに弾けるようになっている二人。
貧しいが明るい家庭もついに借家を追い出され、州都に引っ越すことになる。
都会ではもっと厳しい現実が待っていた。

家族の物語だね。後半は駆け足でいまいちだが。
本物のゼゼの声がかなりいい。

映画『ボンボン』

2004年 監督:カルロス・ソリン
at ギンレイホール


ボンボン

アルゼンチン映画。
失業中の60前のおっさんは手作りのナイフを売り歩く。
手間がかかっている分高い。ので売れない。
安定した収入もないので娘の家にやっかいになっているが、娘の家庭も裕福でなく邪魔者扱い。
いつも悲しい笑みを浮かべたおっさんだが、ひょんなことからドゴという犬種の犬を貰い受ける。
犬なんか飼えないと家まで追い出されてふんだりけったりだが、この犬のおかげで新たな道が開けていく。

ドゴっていう犬はいかつい口しているのだけど目がかわいらしい。
マスティフとブルドッグとブルテリア等の交配らしい。
ボンボンと名づけられたこのドゴによって、おっさんは普段話したこともない階級の人と話したり、今までまったく縁のなかった人たちの集まりに参加したり、大会に出場したりなどなど新鮮な体験が続いていく。
幸せを呼ぶ犬。
だけどしれっとして愛らしい顔したボンボンにも人に言えない悩みがあった。ってところが面白い。

出演者はほとんど素人で、主演のおっさんは監督の製作会社の近くにある駐車場で働いているおっさんらしい。

2007年10月27日土曜日

映画『モンゴリアン・ピンポン』

2005年 監督:ニン・ハオ
BS2 録画




毎年NHKアジア・フィルム・フェスティバルが開催されるころにBS2で過去の作品が放映される。
これは第7回の作品。

中国の内モンゴル自治区で、少年ビリグは川から流れてくる不思議な白い玉を見つける。
ピンポン球なんだけど、卓球なんて知らない子供たちはこの白い玉に豊かな想像力を働かせる。
ある日、その白い玉が卓球という国技の球であることを知った少年たちは、「国の宝」を返そうと北京に向かう・・・
北京に向かう、っていってもそれはこの映画の中での1エピソードにすぎないのだけどね。
北京へのエピソードのあとが面白くて、ラストは泣ける。

広大すぎる草原で全てが一望できるところ、フレームの中と外を巧みに制御してシュールな笑いを見せてくれる。
大人や子供たちの無表情に見つめる視線が笑えたり愛らしかったり悲しかったり。
久しぶりに映画を見た気分。

2007年10月13日土曜日

映画『サン・ジャックへの道』

2005年 監督:コリーヌ・セロー
at ギンレイホール


サン・ジャックへの道

母親の遺産の相続には条件があった。
兄妹そろってキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ジャック)まで歩くこと。
大会社の社長で神経質で精神安定のための薬漬けの長男。
めちゃくちゃ毒を持ったリアリストの長女。
アル中で家族にも見放された一文無しの次男。
長男と長女は犬猿の仲。
兄と姉が喧嘩していても次男はただ酒を飲むための金をどうやって仕入れるかだけを考えていて我関せず。
とりあえず遺産を相続するためにツアーに参加。
そしてこのツアーには彼らだけではなく個性的な若者たちやいつもターバンを頭に巻いた物静かな女性などがいた。
ロードムービー。ウォークムービー?

テンションの緩急がうまくて最後まで楽しく見れる。
フランスからスペインへと続くこの巡礼路はひたすら美しい景観が続く。1500キロ。
この景観の中を体力の限りを尽くして点みたいな人間がぽつぽつ歩いているのがなんか楽しい。そしてエロティック。
開放的だからかね。
そういえば若い女の子が二人参加しているのだけど、これがどこにでもいるような普通の子なのね。
なのにこのマジックによって魅惑の匂いを放ちだすから不思議。

途中、ツアー参加者の夢が挿入されるのだけど、このあってもなくてもいいようなシーンに結構金かけているだろうCGを使っているのがお茶目で笑える。
監督は『女はみんな生きている』のコリーヌ・セロー。

映画『ボルベール <帰郷>』

2006年 監督:ペドロ・アルモドバル
at ギンレイホール


ボルベール<帰郷> コレクターズ・エディション


ああ、やばい。これやばい。
後半はもう涙ぼろぼろです。

命をひたすら輝かす女。母娘。
女に深い苦しみを与え業を負わせるだけのどうしようもないくずの男。
女は強い、とか女は元気だ、とかそんなことじゃない。
彼女らがその笑顔の裏に隠した苦しみと背負っているものの重さは男がどうこう言えるものじゃない。
だって男が負わせてるんだもん。
この映画にはほとんど男が出てこない。
女性達の強くて痛ましいこの生命の輝きの中に男が輝ける場所なんてありはしないし。
男ができることは女を苦しませるだけ。ってことを忠実に実行して映画から男たちは消えていくのであった。
面白いのはなにもすべての女性を輝かせてるってわけじゃないのね。
例えばアグスティーナが出演したテレビの女性司会者なんてくそでしょう。
まあ、いろいろいるもんです。

物語の方は実にたくみに展開する。
全てに伏線がしっかり張られている。
ミステリー?ファンタジー?
とも思うが、導き出されたり明かされた事実は全てが生々しい現実の重みとなり、張られた伏線は新たなイメージとして蘇ってそのまま人生を彩る重奏となる。
驚嘆です。

2007年9月30日日曜日

映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

2007年 監督:松岡錠司
at ギンレイホール


東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2枚組)

内田也哉子って初めて見たな。むう。独特。
リリー・フランキーの自伝小説の映画化。
リリー・フランキーにあたる役にオダジョー。かっこいいうえに反則的にいかしたファッション。
ちょい役で本当にいろんな人が出ている。宮崎あおいとか小泉今日子とかいろいろ。
これってリリー・フランキー仲間なの?
土屋久美子や渡辺美佐子は間違いなく松岡錠司つながりのはずだけど。
でもどんなにいろんな人が出ようが内田也哉子一人の存在感に全て食われていたけど。

オカンって呼び方は関西では普通なのかもしれないけど、慣れてないからどうも違和感があって、ましてや東京に住んでいる人が他人の母親をオカンと呼ぶなんて気持ち悪くてしょうがない。
うー、なんだろう、このお友達ごっこみたいな世界は。
オカン(樹木希林)は幸せだったかもしれないけどさ。
このオカン礼賛ぶりを見ているとなんだかリリー・フランキーが気持ち悪くなってきてしまった。
マザコンぶりがっていうのじゃなくて、リリー・フランキーのナルシストぶりが。

映画『しゃべれども しゃべれども』

2007年 監督:平山秀幸
at ギンレイホール


しゃべれども しゃべれども 特別版 (初回限定生産2枚組)

若手の噺家の今昔亭三つ葉(国分太一)は古典落語をこよなく愛し、いまどきめずらしくいつも着物姿でいた。
でもまあ、情熱はあるけれどいまいち芽が出ない。
そんな三つ葉がひょんなことから「しゃべりかた教室」を開くことになる。
集まったのは、美人だが無口でいつも怒っているように見えてしまう十河五月(香里奈)。
関西から引っ越してきて関西弁を小学校で馬鹿にされて悩む村林優(森永悠希)。
元プロ野球選手で解説者に転向したが上手くしゃべれない湯河原太一(松重豊)。
の三人。
いくら頼まれたからとはいえ二つ目の落語家がしゃべりかた教室で落語を教える、ということに抵抗を覚える三つ葉だが、この三人と関わっていくことによって、どこでどういう契機でどうなったのかいまいち分からないもののとにかく成長していく。

落語を聞かないので国分太一の落語が上手いのかどうかよく分からないけれど、声がでかく活舌がいいので聞き取りやすい。
国分太一、香里奈、松重豊、そして母役の八千草薫など皆いいのだけど、びっくりなのは小学生の森永悠希。
なにこの芸達者なお子様は。芸達者なガキほど嫌いなものはないのだけど、この子は全然OK。
きっと素が役どころと同じで明るい子なのだろう、と思っていたけどこの映画の公式ページの本人コメントを見ると、「村林優とは性格が正反対なので、演技はちょっと不安でした」とか言ってる。
正反対ってどの部分?明るいの反対なら暗いってこと?
とりあえず意識した演技、ってことはそれは天才に違いない。

2007年9月24日月曜日

映画『ワンス・アポン・ア・タイム/天地争覇』

1992年 監督:ツイ・ハーク
BS2 録画


ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇 (香港電影最強大全 1800円キャンペーン) 【初回生産限定】

冒頭、西太后が出てくるのだけど、なかなか顔が映らない。
やっと映ったと思ったら本当のただのおばちゃんなのね。まあ、リアルだけど、引っ張るなよ。

ウォン・フェイフォンとフーンのお笑いコンビがさらにパワーアップ。
ウォン・フェイフォンはもうただの馬鹿です。
弟子のフーンが師匠を評して言う。
「けんかは絶対にするなと言われているからな。実際はけんかを見ると真っ先に飛び込んでいく。大のけんか好きなくせに」
その言葉を裏付けるかのようにウォン・フェイフォンはけんかするけんかする。
何かと正当な理由をつけてはけんかする。
カンフー映画だからけんかしないとつまらないのだけどさ。
それにしても彼の今までの戦いは正義のためというよりけんか好きだから戦っていたのね。

鬼脚のホン・ヤンヤンが凄い。
初めはただの猿にしか見えなかったのだけど、段々ひどく優しい顔になるのね。しかも男前にすら見えてくる。