2005年6月25日土曜日

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ 』

2003年 監督:ウォルター・サレス
at ギンレイホール


モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版

若者二人のロードムービーなんだけど、爽やか過ぎる。
二人ともなんていい兄ちゃん達なんでしょう。
特にゲバラ。
チェ・ゲバラの激動の革命人生を考えればそのプロローグのような位置付けで、彼の激しく波乱に満ちた放浪旅は実はこれから始まる。
だからこそ普通の好青年で爽やかなロードムービーであればあるほど映画の先の物語に思いをはせて面白い、のかな。
といってもそもそも僕はチェ・ゲバラについてそんなに詳しくないのでこの映画を普通のロードムービーとして見たのだけど、ロードムービーとしてはちょっといまいちかも。
だいたい"いいやつ"同士が旅に出るわけがない。面白くならないじゃん、いいやつだったら。なんでも爽やかになっちゃうし。旅に出るのは駄目人間に決まってる。

主演ガエル・ガルシア・ベルナル。『天国の口、終りの楽園。』の人だ。
ちなみにギンレイホールではこの人主演の2作品が7月16日(土)~7月29(金)の間上映される。
『アマロ神父の罪』と『バッド・エデュケーション』の2作。
『バッド・エデュケーション』はアルモドバル。

映画『エターナル・サンシャイン』

2004年 監督:ミシェル・ゴンドリー
at ギンレイホール


エターナル・サンシャイン

そんな話題になった映画とはつゆ知らず。
エターナルサンシャインか。題名からして大仰な感動物っぽいなぁと思って見始める。
窓にすだれのかかったシンプルな部屋で一人の男が目覚める。
けだるそうに掛け布団を蹴り出し、ベッドの下に落ちた掛け布団を両足で踏みしめて起き上がる男。
青い色調もあいまってこの朝のシーンのけだるさは結構気に入る。
男は仕事場に向かうのだが、駅のホームで何を思ったか反対のホームの電車に駆け込み乗車をかまし、冬の海辺で一人佇む。
前の恋人ナオミとよりを戻すべきかどうか。自分の人生について考えながら。
海辺には一人パーカーを着た女がいた。
男は新しい出会いは求めていない。
とはいいつつこの青い髪した女が気になっているうちに二人は話をするようになる。
むっつり無口な冴えない男と、髪の色がやばくてぶっとんでる女の恋愛物か。
男は女を女の家まで車で送る。
車の中で女が戻ってくるのを待っていると、一人の男がおどおどした顔で近付いてきて車の窓を叩く。
「なにかお困りでしょうか?どうしてここに?」
この女はもしかしたら何かとてつもなくやばい女なのだろうか?
しかしおどおど男は何か忠告するでもなくそのまま去ってしまう。
イントロはそんな感じ。

イントロまでは普通。
ここからいきなり二人は恋人として既に長く付き合っているような雰囲気になるから数年後に飛んでいるように感じるのだが実は未来じゃなくてシーンは過去に遡っているのであった。
本題に入っていくとまずストーリーのぶっ飛び具合の理解に苦心し、ああそういうことなのねと話の筋がわかると中盤以降今度は映像がぶっ飛んでくる。
脚本が面白い。恋愛物として結構楽しめる。映像は脚本のよさを邪魔しない程度に奔放になっている。
なによりキルステン・ダンストはなんてキュートなんだろう。

主演ジム・キャリーとケイト・ウィンスレット。
エンドロールで初めて気付いたがパトリックっていう駄目男がイライジャ・ウッド。
家帰って調べて気付いたが脚本はチャーリー・カウフマン。

2005年6月21日火曜日

映画『隣の女』

1981年 監督:フランソワ・トリュフォー
BS2 録画


隣の女

ファニー・アルダンは遡ってもルコントの『リディキュール』(1995)までしか見ていないので、若い頃の出演作は始めて。
当時30歳そこそこのファニー・アルダンなのだが今と全然顔が変わっていない。
この人美人なのか美人じゃないのか微妙な顔立ちっていうのは今も昔も変わらないんだな。でもエキゾチックで凄い魅力的だという部分は若い頃の方がやっぱり強い。

映画のほうは不倫物なんだけど、狂おしいまでの感情が醜さと隣り合わせのまま非常に美しく描かれる。
感情は激しく、そして撮り方は冷静に。
恋愛映画はヒロインが相当タイプじゃないとほとんど興味ないのだけど、この映画は別格で恋愛映画のベストに選びたいくらいに狂おしい。
草葉に隠れて一人泣き崩れるファニー・アルダンの嗚咽につられて思わず泣いてしまう。

2005年6月19日日曜日

映画『フールズ・ファイア』

1992年 監督:ジュリー・テイモア
BS2 録画


赤く刺激的な色した葉っぱのようなものをねずみの影が食い破っていく。
空いた穴から一家の晩餐風景が覗かれるようになるのだが、この晩餐の場が冒頭の赤から一転何の刺激も無い肌色っぽい色で統一された彩度に乏しい空間で異様な静けさが漂う。
しかも人形かと思うくらい不気味なまでスローに動く小人一家の晩餐だった。

エドガー・アラン・ポーの短編小説が原作。
宮廷道化師を務める小人の物語。
大臣や王様は皆特大のパペット。人が入っている模様。
出演者は人形か小人だけのファンタジーな世界。
いや、少しファンタジー、少し純愛、そして少しグロい。
純愛を演ずる妙に年くった小人といい、大臣達は醜悪な面なのに人形のため味があったり、ファンタジックな映像に付いてくるせかされ不安をかきたてられるようなリズムの音楽といい、柔らかかったり冷たかったりはたまたなんとも言えないような色彩や光といい、不思議なバランスを保つ面白い映画。

ああ、監督のジュリー・テイモアは『フリーダ』(2002)撮った人だ。

2005年6月18日土曜日

衣替え

今更だけど夏服を出して冬服をしまう。
しかしなんてめんどうなんだろうか、衣替えは。
衣服は箪笥がないからプラスチックの収納BOXに入れているのだけど、収納BOXをあと2個買って積み重ねれば年中夏服も冬服も入れっぱなしでいいんじゃないかと思う。
ただ、買いに行くのすらめんどうなので、しょうがなくいつもどおり衣替えを行う。
ちょっとやってはタバコ吸ってそのまま寝っころがってこないだ買ったジムノペディの「8つの小品」を聴いていたり。
一日中かかった。

2005年6月13日月曜日

映画『ドラゴン特攻隊』

1982年 監督:チュー・イェンピン
テレビ録画ビデオ


ドラゴン特攻隊

昨日実家に寄ったとき昔に撮ったビデオを何本か持ち帰る。
子供の頃はジャッキーチェンの映画が大好きで何本か録画保存していて、とりあえず『香港国際警察』とラベルに書かれたビデオを再生。

再生するとなぜか入っていたドラゴン特攻隊。
一応ジャッキーチェン主演らしいが録画した記憶も見た記憶もない。
水野晴郎の解説によるとジャッキーチェン以外にもジミー・ウォングが出ているらしい。
少し期待して見始めるが、そうだ、思い出した。確かジャッキーの見せ場があまり無くて、わけの分からない人達ばっか出ていてつまらなかったから1,2回見ただけで記憶から抹消していたんだ。

今この映画見ても子供の頃と変わらずくそつまらんのだが、しっかしとんでもない映画だよこれは。
時は第二次世界大戦中、連合国軍の4将軍が日本軍の捕虜にされてしまう。
4将軍とは、フランスのド・ゴール!、そしてイギリスのチャーチル!、アメリカのアイゼンハワー!、東南アジア軍のガンジー?
すごいね、全く。
そして連合国軍は4将軍救出アンド軍資金50万ドル奪回のために結成する特攻隊のリーダーの人選を始める。
候補には007や悪漢探偵やらロッキー等が挙がるのだが、彼らを押しのけて選ばれたのがドン中尉(ジミー・ウォング)だった。
ドンはかつての部下やらなんやら一人一人スカウトして回る。
スカウトされた一人脱獄の名人なんか崖からダイブして背中から落ちたのに何事もなかったかのように走って逃げたりと人間離れした能力の持ち主。
ビリー・ザ・キッドという名前の怪しいもみあげ中国人詐欺師やらその恋人のリンリン(ブリジット・リン)やらスコットランドのあのタータンチェックの民族衣装を着たアホ二人等で結成されたドラゴン特攻隊。
世界の一大事をこんな犯罪者集団にまかせていいのだろうか。
リンリンなんか自分達のこと「泥ちゃん」とか言ってるし。
というかそもそもリーダーのジミー・ウォング自体が犯罪者だからなぁ。
ちなみにジャッキーやブリジットリン等出演者は裏社会のドンことジミーに脅されて無理やりこの作品に出演させられたとかいう噂がある。

結成されたドラゴン特攻隊は4将軍救出に向かうのだが、全く理由も無く襲ってきた覆面集団によって大将のジミーがあっけなく戦死。
大将を失った特攻隊はそれでもとりあえず目的を遂行しようとするのだが、途中出会ったアマゾネス軍団(先の覆面集団)と楽しげにひと悶着起こしてからおめーらと遊んでる暇は無いとばかりに皆殺しにして出発。
と思ったら今度は幽霊屋敷でキョンシーや幽霊とひと悶着起こしてからかっこよく登場したブリジットリンにより再び皆殺しの宴が始まる。
もの凄い寄り道の後にようやっとたどり着いた日本軍の基地では既に何者かによって全ての日本兵が全滅していた。日本軍というか、鉤十字の旗があったりしてもうわからなくなっているのだが。
そもそも一個師団相手にたった6人のアホを向かわせること自体おかしいよな。
敵は死んだ。じゃあ軍資金50万ドルはどこだ?と叫びあうお金しか頭に無い素敵な特攻隊の前に現れたのは超マッドな暴走族でお奉行さんで爆裂都市 BURST CITYな連中だった。
およそ戦時中には存在し得ない車から出てきたのは軍服姿の中国人で、彼が言うには捕虜の4将軍はわしらが抑えたとのこと。なんだ、じゃあ4将軍は連合国軍によって救出されたんだね。特攻隊なんていらねーじゃん、全く。一件落着。
と思いきや軍人は続けて「こっちが欲しいのは・・・金だけだ!」えっ?!
「捕虜は50万ドルと・・・交換してやる!」えー!!?
そりゃあブリジットリンも「話が変じゃない!」ともらすわ。
4将軍が捕虜になるという世界の一大事よりも金が大事な軍人って一体どこの軍だ?車には何気に鉤十字マークがあるのだが。軍というかアホな山賊だったのか。
それに今やってきたばかりの特攻隊に「貴様達が来るのを待っていたんだ。金を渡せ」って特攻隊があたかも軍資金のありかを知っている風な言い方。特攻隊が金だけ持ち去ったのならばこんなところ戻ってこないし彼らにとっては捕虜なんてどうでもいいよな。
物語はさらにとんでもな方向に向かうのだが、一応ここまでにしておこう。
ストーリー展開も衣装も時代考証も全て度肝を抜かれるセンスで眩暈がする。

ジャッキーはというと特攻隊の一人である詐欺師に騙されて金を奪われた上に特攻隊と関わりを持ったがために刀で刺されちゃったりと散々な目に合ってしまうのであった。

2005年6月12日日曜日

食事

親父が定年退職。
家族で銀座で食事する。

2005年6月5日日曜日

映画『ロシアン・ブラザー』

1997年 監督:アレクセイ・バラバーノフ
BS2 録画


ロシアン・ブラザー

映画の撮影現場に普通のあんちゃんが紛れ込む。
彼は撮影現場に流れていた音楽に惹かれてやってきた。
とことこ歩いて撮影中の女優の横を通り近くにいたスタッフに「この曲は何だ?」と聞く。
しかし今は撮影中である。カメラに映ったわけの分からない男に何だあの男は!と監督は激怒。つまみ出せ。
警備員が走ってきて危険を感じたあんちゃんはきりっと表情をひきしめ乱闘・・・したと思われる。(乱闘シーンは映さずに取り調べシーンに移行するから)

このあんちゃんダニーラは兵役帰りだが仕事も無く、しょうがないから仕事を貰いにサンクトペテルブルクで成功している兄の元へ行く。
兄は母親がアルバムから取り出した写真によって最初に顔が紹介されるのだけど、小さい頃の写真から現在まで1枚1枚映されるたびにふさふさの髪が薄くなって最終的には耳の上しか髪の毛がなくなっている。
そんなギャグもおりまぜつつ。しかも現在の兄は完全につるっぱげになっているし。

この映画はあまり内容を知らないで見たほうがより面白い。
とにかく傑作だから。
ダニーラは撮影現場に流れていたノーチラスに傾倒する。無口なあんちゃんが目を輝かせているところが面白い。
ダニーラというキャラクターはかなり魅力的で、妙に肝が据わっているというか周りが見えていないというか。
ノー天気なのではなくて、かなりの凄腕なんだよな、こいつがまた。

映像は全体的に色がくすみ、登場人物の多くが暗闇を行き場も無くさまよっている。しかしこの映像の色合いが非常に優しく生々しい。
共産主義崩壊後のロシアの混沌が映画の背景になっているのだけれど、味のあるキャラクター達によって堅苦しくならない。
こわもての兄なんか何気に最後のほうの姿が凄いことになっているし。笑っていいのかどうか。パンツの柄なんか絶対狙っているけどな。
ちなみに笑いという意味も含めて面白い部分は至るところにちりばめられているのだが、コメディ映画ではない。

主演は2002年、映画の撮影中に氷河陥落の惨事に巻き込まれ故人となってしまったセルゲイ・ボドロフ・Jr。
この作品は続編が作られているらしい。続編は今最も見たいと思う映画だ。

2005年6月4日土曜日

映画『きみに読む物語』

2004年 監督:ニック・カサヴェテス
at ギンレイホール


きみに読む物語 スタンダード・エディション

オープニングの渡り鳥(CG?)のスローモーションがあまりにつまらなくて、はずれかも、と思ったもののそれなりに楽しく見れる。
とある施設にいる老女に一人の老人がある物語を聞かせる。
聞かせたのは古きよき時代のアメリカで情熱的な恋愛をした二人の若者の物語。
田舎に家族揃って休暇にやってきた富豪の娘アリーは、地元の青年ノアと出会う。
ひと夏、二人はそりゃあもう見ていて気恥ずかしくなるくらい爽やかで明るい恋愛をするのだが、身分の差のために引き離されて・・・っていう王道純愛物。
アリー役のレイチェル・マクアダムスはむっちりしていて非常に良く笑い表情豊か。
幼い顔しているんだけど、公式サイトのレビューでアラーキーが「魅惑のレイチェル・マクアダムス、抱きたい。」と言うくらいエロい。

最初の二人の老人とこの若い二人の関係なんだけど、ネタばれもくそもなく誰でも5分で理解するが同一人物なのね。
なんで当人に当人同士の話を聞かせているかというと、老女の方が痴呆症で過去の大事な記憶を無くしているから。
ただの純愛物じゃなくて二人が死期の近い老人になってしかも一人はアルツハイマー病という純愛夢物語には普通入らないだろう要素がからんでくるから面白い。
まあ、良くも悪くもアルツハイマーという要素も含めて結局夢のような純愛物に収まるのだが。

ジーナ・ローランズにジェームズ・ガーナーにジョーン・アレン、そして脚本家でもある渋メン、サム・シェパードも出演。

映画『シルヴィア』

2003年 監督:クリスティン・ジェフズ
at ギンレイホール


シルヴィア

死後にピュリッツァー賞を受賞した女性詩人シルヴィア・プラスの物語。
シルヴィアはケンブリッジ大学で後に桂冠詩人になるテッド・ヒューズ(ダニエル・クレイグ)と恋に落ちる。
才能ある二人は確かに周りの学生とは一線を画していたね。妙に年くってるし。
二人は結婚する。
才色兼備シルヴィアは料理も上手でなんていい奥さんなんでしょう。
シルヴィアを演じたグウィネス・パルトローが秀逸。強さ弱さ不安定さ強がり、全て奥底に恐怖を湛えながら。夫と最後に会う前に真っ赤な口紅を塗る姿などぞくぞくする。

シルヴィアの母役にグウィネスの実母ブライス・ダナー。
シルヴィアを見守ったじいさんトーマス教授役にマイケル・ガンボン。
シルヴィアを評価するジャーナリスト、アル・アルヴァレス役にジャレッド・ハリス。この人リチャード・ハリスの息子だ。
ちなみにハリー・ポッタ1作目と2作目でダンブルドア校長を演じたリチャード・ハリスは2002年に故人となったため、3作目以降の校長役はマイケル・ガンボンが演じている。らしい。ハリーポッターは一本も見ていないからよく知らんが。

2005年6月2日木曜日

ジムノペディ

WonderJukeっていうソネットのサービスがあって、確か1年以上前から会員になっているのだけど、全然使っていない。
今日ふと思い出してログインしてみる。
何聴こうかなと選んでいると「ジムノペティ」という単語が見えてクリック。
サティの、と思ったら違くて、日本人のバンド名だった。
とりあえず聞いてみると、これが凄くいい。
ジャズ系っぽいロックなんだけど歌謡曲のような。ボーカルの女性の歌い方は粘着質のある歌い方だが、声質は結構クリア。
このバンドのことを知りたくてネットで検索してみるがサティの曲名ばかりひっかかる。
いや、バンド名間違っていた。「ジムノペティ」じゃなくて「ジムノペディ」じゃん。
検索しなおすとあったあった。曲を聞くこともできる。
http://www.megaforcejp.com/gymnopedie/disco.html

WonderJukeのページにあった紹介文が簡潔で分かりやすいかな。
ゴージャズで耽美的な歌謡ジャズロック・バンド、ジムノぺディの世界にようこそ! 圧倒的な歌唱力のヴォーカル・ナオミが、あなたを夜の診察室へとお連れします。◎ジムノペディ:ロック、ジャズ、スウィング、ファンク、ラテン、昭和歌謡、ムード歌謡など、さまざまな音楽要素を呑み込んだ独自のサウンドと、物語性のある豊かな詞の世界……。

大江千里にはまった以来のツボだな、これは。