裸眼の視力は0.4だった。
採血をしてくれたのは若いめの看護士だった。
慎重に血管の場所を探している。
注射針を打ち込まれる瞬間は蚊にさされた程度の痛み。
しかし血が抜き取れず、針が刺さっている周りをぽんぽん叩いたりする。
暫くして針をさらに押し込んでくる。
いたーい。
もうこの時点で顔を背けて見てなかったのだけど、腕の感覚からして合計3回くらい押し込まれた気がする。
針を刺してから1分くらい経って、「一回針抜きますね」と言う困ったような声を聞いて恐る恐る注射器を見るとやっぱり一滴も血が採れていない。
長い時間ちりちりする痛みに耐えたのにまた刺されるのか!
たどたどしい手つきで血止めのシールを貼った後「すいません、もう片方の腕をだしてもらえますか?」と言う。
予想通りだがしらじらしく「えっ?」と言ってみる。
「すいません・・・」
もう片方の腕の袖をまくる。
今度は注射器じゃなくて、看護士は2cm四方くらいの変な紙みたいなものを両手でつまんでいる。
真ん中に針が付いているらしい。
その針が動脈っぽい血管にぷすっと刺される。
普通の注射器より痛い。
2cm四方くらいの変な紙からチューブが伸びていて、真っ赤な血が勢いよくチューブを駆け出している。
血が抜かれているせいか、手のひらが凄い痺れてくる。
採血できて安心のような不安のような。
採血が終わって針が抜かれると、少し放心状態になる。
普通なら針を刺した箇所に血止めのシールを貼って終わりなんだけど、脱脂綿を渡され「これで押さえて血が止まったらこのシールを貼ってください」と言っている。
刺された箇所を見ると球状に血が浮いていた。

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