2007年3月24日土曜日

映画『麦の穂をゆらす風』

2006年 監督:ケン・ローチ
at ギンレイホール


麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション

中学の頃地理の先生がイギリスの正式名称知ってるか?と言って
「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」だと教えてくれた。(現在ではグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国と言うらしい)
へぇーと思って覚えたもんだけど、「北部アイルランド」っていうなぜに北部だけ?というところは全く気にもせず。

ケン・ローチの作品。
1920年のアイルランド、医師になろうとしているデミアン(キリアン・マーフィ)はロンドンに旅立とうとしている。
別れのためにペギー一家を訪れた時、突如銃を持ったブラック・アンド・タンズ(イギリス人の武装警察隊)が現れる。
壁に並ばせ一人一人名を名乗らせる。
ここで17歳のミホール君が英語名じゃなくアイルランド名をかたくなに名乗った上に殴られると殴り返したりしてタンズの怒りを買い、そのまま殺されてしまう。
武器を取ってイギリスと戦う決意を仲間達がする中、イギリス軍の強大さにかなうわけないとデミアンは旅立とうとする。
しかし駅で出くわした光景を見てロンドン行きをやめ、デミアンも戦うことを決意した。
若者達のリーダーで兄のテディ(ポードリック・ディレーニー)を中心にゲリラ活動を続けていくのだが、戦いは常に運命の悲劇を伴い。
不条理で強大な弾圧に対して戦っても戦わなくても悲劇が待っているという絶望が若者達の等身大の姿で描かれていく。
一つの選択、一つの行動、一つのすれ違い、なんでもないような些細な事のようでいながら、一つ一つが大きなうねりとなって襲ってくる。簡単に飲み込まれていくこのあまりに無力な人の想いを一体いくつ積み重ねれば悲劇がやむのか、アイルランドの湿った空気が幻想的に重く立ち込める。

主演が『プルートで朝食を』で女装していたキリアン・マーフィ。
なんだけど、実は顔が最後までよく覚えられずにところどころ誰が誰だかさっぱり分からず。もみあげの剃り残しを判別材料にしたのが悪かったのか。

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