2007年4月1日日曜日

映画『歌麿をめぐる五人の女』

1946年 監督:溝口健二
BS2 録画


歌麿をめぐる五人の女

流行絵師歌麿に想いをよせる五人の女かと思いきや、歌麿はあくまで傍観者なのね。
歌麿をめぐると言えばめぐるではあるのだけど、歌麿をめぐって五人の女が取り合うとかじゃない。
歌麿と関わり合いのある五人の女はそれぞれ歌麿じゃない別の男に恋する。
前半、間違いなく物語の中心は歌麿の粋なんだけども、気づいたら五人の女、特に田中絹代が見せ場をかっさらっていく。
男がしっかし馬鹿で弱いね~。

縦の構図の手前や奥で絶えずいろんなものが動くからその流動性が面白い。うちわだったり蝋燭の火だったり通行人だったり。
縦の構図が生み出す想像だけでは満たしきれない「見たい」という横の広がりへの渇望は、程よく(というか最低限)挿入される移動撮影やパンが自然に満たしてくれる。

さて、この映画を見た目的は溝口だからというより五人の女の中の一人に川崎弘子がいるからだったのだけど、どの人だったか分からず。
調べてみると、五人の中で一番綺麗じゃないと思ったお蘭が川崎弘子だった。
ん~ん。確かに『朗かに歩め』や『淑女と髭』の時からオカメ顔でそんなに綺麗じゃなかったが、ふっくらして妙な愛くるしさがあったのだけどなぁ。
この映画1946年といっても『淑女と髭』が1931年だから15年も経っているのか。

げげ、川崎弘子の夫って邦楽に少し興味がある人なら名前くらい知っているあの福田蘭堂だったんだ。
しかも福田蘭堂のWikipediaによると結婚の理由が

映画撮影の為ロケ地である大島へ向かう途中の船上で女優川崎弘子をレイプして世間の指弾を浴びたことがある。しかし、松竹蒲田撮影所の所長城戸四郎に責任を迫られ、彼女と結婚することとなった。

ってやばくない?
あと、川崎弘子と結婚するために別れた前妻の子供はクレイジーキャッツの石橋エータローで、さらに福田蘭堂自身は青木繁の息子だった。
知らなかったことが多すぎて一気に知ったからびっくりです。

0 件のコメント:

コメントを投稿