2012年7月29日日曜日

映画『戦火の馬』

2011年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




『蜂蜜』が静謐すぎたので冒頭から惜しみなく流れる音楽が新鮮だ。
フルートの独奏がなかなか悪くないと思っていたのも束の間、オケの仰々しい厚みがかぶさってきてすぐ辟易する。
しかも木の柵から顔をのぞかせる青年が学生の自主制作映画に出てきそうな安い顔した青年(撮り方によるのだろうが)だったので、結構出だしから躓いた。

農村の牧場で生まれた美しい仔馬は、農耕馬を買いに来た農夫テッドにより買い取られる。
仔馬はジョーイと名づけられ、デッドの息子アルバートにより愛情込めて育てられる。
で、戦争起きてジョーイは戦場に引っ張り出されていろんな馬好きの人たちにめぐり合いながら戦場を転々として最後にはへーっていう展開。

塹壕に挟まれた中間地帯で両軍の兵士がフレンドリーになる、っていろんな映画で見てきたけど、映画人は皆こういうのが何度もやりたくなるくらい好きなのかね。

音楽ジョン・ウィリアムズ。
ちなみに若い頃の一時期、ギタリストのジョン・ウィリアムズとこの人を同一人物だと勘違いしていた。

映画『蜂蜜』

2010年 監督:セミフ・カプランオール
製作国:トルコ/ドイツ
at ギンレイホール




記憶ではエンドロールも含めてバックミュージックが一切使われていなかったはず。
代わりに聞こえてくるのは自然の音や生活音。
深い森の中をロバを曳いた男が枯葉を踏みしめてフレーム奥から歩いてくる静けさに満ちた冒頭でなんか面白そうと思う。
無駄に音楽を使うくらいなら映画に一切音楽なんていらないと思っているから、これは大分好みかもしれない。
と、思ったんだけど長いわ~。
と、思ったら103分だからそう長いわけでもなかった。
展開がゆったりしているからかな。

6歳のユスフは深い森林に囲まれた山岳地帯で両親と暮らしている。
養蜂家の父親が大好きなユスフは、たまに父親を手伝って一緒に森に入ったりする。
そんなある日、父親が巣箱を仕掛けに行ったまま戻らなくなってしまう。

このユスフって少年の顔が凄くいい。
きらきら光る瞳はまっすぐだけど媚を含んでいて、間抜けに口を開いてきょどっている様は馬鹿なんじゃないかと思うが、大胆にずるがしこかったりもする。

少年、青年、大人と三つの時代を描いたユスフ三部作の三部目らしい。
少年の部なのに三部目なのはこの三部作が未来から過去を辿る流れになっているから。

印象に残ったのは、斜面と空が斜めにきれいに寸断された構図の中を母親とユスフが登っていくシーンと、父親が落ちるシーンの残酷なまでのちゃっちさかな。

2012年7月15日日曜日

映画『ヒア アフター』

2010年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:
at ギンレイホール




最近のCG技術は凄いな。
津波のシーンは水が襲ってくる恐怖に圧倒される。
でも、それ以上に水中で死にかけのセシル・ドゥ・フランスが凄い顔(表情)しているのでびっくりした。

パリ、ロンドン、サンフランシスコでそれぞれの物語が同時進行する。
パリでは冒頭で死に掛けたジャーナリストマリー(セシル・ドゥ・フランス)が臨死体験の果てに死の世界に目覚めて危ない人になり、ロンドンでは仲のいい双子が死に直面し、サンフランシスコでは死の世界とコンタクトが取れる霊能者ジョージ(マット・デイモン)が普通の生活をおくれずに苦悩している。

臨死体験って一時期テレビではやったよね。
結局死に面して(または蘇生して)脳が作り出した幻覚でしょ、って思ってWikipedia見てみると科学では説明できない事象も多々あるらしい。

霊能者ジョージは相手の手を触れると、あっちの世界につながり、触れた相手の亡くなった近しい人間と話をすることができる。
あっちの世界につながる瞬間は少し衝撃があるらしく、ジョージがびくっとするのだけど、傍から見ると触れただけでそんなに感じるなんて超敏感症?って思われちゃうだろうし、本人が言うように「呪い」の能力だ。

全体的にラストがよく分からなかったものの、まあ面白かった。

映画『永遠の僕たち』

2011年 監督:ガス・ヴァン・サント
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




事故で両親を亡くし自身も臨死体験をした少年と、余命数ヶ月の少女の恋愛物。
死を身近に経験している少年と、死が間近に迫っている少女っていう、重たかったり感動物になっちゃいそうな内容だけど、なんか終始爽やかな印象。

少年には英語ぺらぺらの特攻兵の幽霊ヒロシ(加瀬亮)が見える。
少年が「死はただ消えるだけだ!」と少女に言ってみても、じゃあヒロシは何なのと突っ込みたくなる。

幽霊ヒロシも含めた3人の物語になっていて、死が来るまでに命を輝かせ続けた少女が、お別れを言えずに死別した者たちの未練を死によって救うという感じか。

少年イーノック役にヘンリー・ホッパー。
ホッパーです。デニス・ホッパーの息子です。
少女アナベル役にミア・ワシコウスカ。
この子『キッズ・オールライト』に出ていた子だ。
ロングだった髪がベリーショートになって、表情の豊かさや可愛らしさがより魅力的になっている。

アナベルが首がねじれて痙攣し出すシーンは、以前仕事中にてんかんの症状を起こした女性を思い出した。

人の葬儀に出席する少年って設定はなんかよく見る設定だな。何の映画か思い出せないけど。
『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』とかか。

2012年7月1日日曜日

映画『ヒューゴの不思議な発明』

2011年 監督:マーティン・スコセッシ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』は未だに見たことないんだよな。

謎の機械人形が動き出すことで、ホラーな展開をするのだと勝手に勘違いしていたら、寝耳に水なジョルジュ・メリエスという名前が出てくるからびっくりする。
ホラーどころか、映画創成期にオマージュを捧げた真面目な映画だった。(別にホラーが真面目じゃないと言っているわけじゃない。。)

イザベル役の少女は可愛らしいけどどこか影があるような気がすると思っていたら、『モールス』のクロエ・グレース・モレッツだった。
この子いいねぇ。

したたかそうなエミリー・モーティマーが清楚な花売り娘役。
冷徹鉄道公安官に密かに思いを寄せられて危険危険と思いきや、最後には尻に敷いているところはさすがエミリー・モーティマー。

メリエス役は『砂と霧の家』のベン・キングズレー。
メリエスの写真を見ると結構似てる。

映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

2011年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




タンタンの冒険
サブタイトルがユニコーン号の秘密
って子供向けだとしてもこのタイトルは無いわ~
って思ったけど、元々原作は『タンタンの冒険旅行』っていう1929年からある漫画、そしてアニメ化もされて世界中で親しまれている有名な作品らしい。
そういえばこのアニメのこのキャラクターはどこかで見たことある気もする。
で、この映画はタンタンのファンであるスピルバーグが3DCGアニメとして映画化したもの。

元を知らないので何も思い入れが無い、という前提で見た感想は、一言で言うと「なんだか気持ち悪かった」。
主人公のタンタンは変な髪形の年齢不詳の男で、肌の質感まで妙にリアルだから気持ち悪い。
主人公がかっこよくない上に、相棒みたいなハドック船長がこれまたぶ男なのだ。
検索してアニメのキャラクターを見ると二人とも愛すべき特徴のあるキャラクターに見えるけど、このキャラクターをたまに実写かと見まがうほど精巧にCGで再現してしまうと気持ち悪いだけだ。

CGアニメーションでしか表現できないような大アクションもふんだんに盛り込まれて、楽しいのかもしれないが、印象としては実写と2Dアニメがそれぞれ持つ表現力を大味に薄めて中間地点に中途半端に立ってはみたものの、どこに向かえばいいか分からずおろおろしている感じ。

ストーリーは忘れた。
とにかく疲れた。

CG技術の発達は凄いな。
海とかどうやって作ったんだろう。