2004年4月30日金曜日

映画『かれらに音楽を』

1939年 監督:アーチー・L・メイヨ
BS2


時次郎見終わって再生止めたら、誰かすげえ上手い人がヴァイオリンを弾いている。
見入っていたら最後まで見ちゃった。

ヴァイオリニストはなんとヤッシャ・ハイフェッツだった。
名前しか知らなかったので初めて聴いて、見た。すげー。

家出した少年が街を可愛い野良犬とともにふらついていると、ひょんなことから貧しい子供たちを対象にした音楽スクールに入校することになる。
この少年は絶対音感の持ち主だったために校長に気に入られたのね。
この少年がどれほどの成長を遂げるのかと思っていたら、主題はそこになくて、潰れる寸前の音楽スクールを救おうっていう話。
だしにされたのはハイフェッツ。彼をパトロンにしよう。万事解決。

ネットで調べていると、ハイフェッツの演奏を見せるだけの映画、とか、『オーケストラの少女』という映画と展開が同じだとか書かれているけど、僕は結構面白かった。
なんせ野良犬が可愛すぎるし。絶対音感少年の仲間の子供達がいい顔しているし。

映画『沓掛時次郎 遊侠一匹』

1966年 監督:加藤泰
BS2 録画


沓掛時次郎 遊侠一匹

うわー、血がどばどばだぁ。真っ赤なペンキみたいな血が。

佐伯清版の『沓掛時次郎』と比較しながら見た。加藤版はこっちはこっちで面白い。
でもやっぱ佐伯清版の方が好きだな。
加藤版では時次郎がおきぬに罪を責められるシーンがほとんどない。おきぬに責められクールな時次郎ががびーんってなってやくざ家業に嫌気がさし、渡世人をやめて子供の玩具を売り歩く人になりながらおきぬ親子を陰ながら見守る時次郎がかっこいいのに。
加藤版の時次郎はなんだか最初から渡世人に嫌気がさしている風なのだな。
だから時次郎が自分の生きてきた道を完全否定される衝撃もないし、おきぬへの複雑な慕情もあっさりしている。

たぶん佐伯版を見ていなかったら面白い面白いって書きまくっているかもしれない。
それにしても時次郎は鬼神の如くつえーな。
それにしても太郎吉ぼっちゃんの顔がほとんど映っていないのは何故だ!可愛くなかったからか!
太郎吉を演じた中村信二郎は歌舞伎役者。映画はこれと『たそがれ清兵衛』にしか出演していないみたい。

2004年4月29日木曜日

映画『ブリキの太鼓』

1979年 監督:フォルカー・シュレンドルフ
BS2 録画


ブリキの太鼓 HDニューマスター版

142分もあるしシリアスな大作ものかと思って見始めたら、なんだコメディーじゃん、って思ったらオスカル少年が初めてガラスを割るシーンで見せた形相にホラー映画かとびびり、でもナチスと戦争を背景に愛するものが惜しげもなくぽっくり死んでいく展開にやっぱシリアスかと思い、ガラスを割る能力って一体何の意味があったんだと思っているうち142分。

登場人物の一人一人が全てなんかしら嫌な感じの人間なんだな。中途半端に汚いっていうか。
朴訥な男だと思った料理人が女に冷たい男だったり、腋毛の生えた純粋な少女かと思ったら子供(子供じゃないけど)を蹴飛ばしたり、綺麗な母親は所構わずいとこと不倫中だったり。
まあ、ほんの一面だけれど。とはいえ自然と登場人物と距離を置いてしまい、そうなると意識が寄るのはオスカル少年と彼が肌身離さないブリキの太鼓になる。
ブリキの太鼓はアクセサリであり、時にその音で人の会話の邪魔をし、時に感情表現の手段となり、時にドイツ軍の演説会場をワルツの場へと変えてしまったりする。
ああ、ボクもいつでも持ち歩いてむかついた時ドコドコ叩きてぇー。でも子供にしか持てない玩具の太鼓なんだな。
オスカルを演じたダーヴィット・ベネントは不思議な顔した少年だった。可愛いのか可愛くないのかよく分からない。
1966年生まれらしい。ということは撮影当時12,3才?
本当に小人なのかな。

コメディーとして結構笑えて面白い。

2004年4月25日日曜日

映画『アントニオ・ダス・モルテス』

1969年 監督:グラウベル・ローシャ
BS2 録画


ブラジル製西部劇、とのこと。
ストーリーはなんだかさっぱし分からんかった。
とりあえず主人公死神アントニオ・ダス・モルテスは殺し屋で、マトスという人物に依頼されてカンガセイロ殺しを行う。
カンガセイロっていうのはブラジル東北部にいた山賊のことを言うらしい。カンガセイロはただの野蛮な盗賊だったり、義賊だったりといろいろいる。
アントニオは依頼どおりカンガセイロの首領らしきコイラナをあっけなく討ちはたすのだが・・・。

監督のグラウベル・ローシャは結構有名な監督らしい。
たぶんこの人頭いいんだろうな。
まあまあ面白い。

映画『その夜の妻』

1930年 監督:小津安二郎
BS2 録画


小津安二郎 DVD-BOX 第四集

小津の人情サスペンス。
娘が病気だ。でも金がない。強盗だ。
レンガ造りの建物。町並みが日本に見えない。
妻と娘が待つ家に逃げ帰った岡田時彦。この部屋もベッドあり、舶来の人形あり、部屋には土足で、ってもう本当ハリウッド映画作りたかったんだろうね。
そんな中妻の八雲恵美子だけが見事に和服を着て、日本色を一人で体現する。
しかしこの八雲恵美子がやってくれる。
強盗犯を追ってきた刑事山本冬郷により夫のソフト帽をひょいっと被せられてから八雲恵美子にスイッチが入る。
夫のピンチに妻は隠していた銃を刑事に突きつける。さらに刑事の持っている銃を奪い、なんと二丁拳銃を刑事に突きつける。和服の八雲恵美子が!
男たちの挽歌並に発砲はしないが(したら覚める)、脇を締め両手首を横腹に付けながら毅然と拳銃を構える姿は感動的。

こういう作品撮っていたのだね。サスペンスものらしくカメラもよく動くし。

2004年4月24日土曜日

映画『太陽に灼かれて』

1994年 監督:ニキータ・ミハルコフ
BS2 録画


スターリン粛清下のソ連。
気づいたら、いや、映画が進むにつれ着々と政治背景が色濃く現れてくる。
恋愛ものかと思ったら主題は"そっち"か。

脚本がよく練られていて、登場人物一人一人の感情と政治背景と運命が複雑にもつれあっていく。

コトフ大佐役にニキータ・ミハルコフ。
大佐の娘役にはナージャ・ミハルコフ。実の娘。役名もナージャ。愛くるしい女の子だが段々野暮ったく見えてきてしまった。
ミーチャ役はオレグ・メンシコフ。

ネットで調べていたらオレグ・メンシコフファンサイトを見つけて、そのページによると『太陽に灼かれて2』が2005年に公開されるとのこと。
ナージャはともかくコトフ大佐もミーチャも出てくるらしい。あれっ?
まあ20才近くなったナージャ・ミハルコフは一目見てみたい。

2004年4月19日月曜日

映画『落第はしたけれど』

1930年 監督:小津安二郎
BS2 録画


小津安二郎 DVD-BOX 第四集

パ! ン!!
試験前夜、各自翌日に備え勉強なりなんなりしている下宿2階の学生達。
「眠気覚ましに何か喰おうか」
近くの喫茶店の娘を呼び出す。下宿2階からおもちゃのピストルを鳴らし。
驚いて店から出てきた田中絹代。
学生達は障子を閉め、影絵で注文する。
パ! ン!!
この"ン"の字の長い棒の方を片足びっとシンクロみたいに伸ばして表現している。
その男の足が頭から離れない。
和服から覗いた足がセクシーと言えばセクシーなのかもしれないが、男の足に欲情する趣味は私にはない。
ただ、あまりに間抜けで滑稽でかっこよかった。

悲痛にも落第はしたけれど・・・・・・やっぱ学生はえーの~!

青木富夫はいるだけで笑える。

2004年4月18日日曜日

映画『女はみんな生きている 』

2001年 監督:コリーヌ・セロー
at ギンレイホール


女はみんな生きている

平凡な主婦があるきっかけで謎の娼婦と出会う。
娼婦は主婦の目の前で三人の男にぼこぼこにされ瀕死の重傷。
助けられなかった事を気にしていた主婦は娼婦が入院している病院を突き止め、仕事も休暇をとって介護に専念する。

娼婦はなぜ無残にぼこぼこにされちゃったのか?その背景にはフランスの大きな闇が。
スリル溢れるサスペンス。というかかなり笑えるコメディー。
男の僕が見ても痛快だな、この映画。
男は単純で無能でバカで、女性はそのもろさゆえに賢くパワフル。
登場人物の一人一人が愛しく(←コメディのせいで)魅力的っていうのが映画を最大に面白くする。
中盤で明かされる謎の娼婦ノエミ(ラシダ・ブラクニ)の半生が悲惨で壮絶ゆえに痛快さも増していく・・・?
おもろかった。

以下さらにどうでもいい話だが。
公式サイトのキャスト紹介見ていたら「平凡な主婦エレーヌ(カトリーヌ・フロ)」や「謎の娼婦ノエミ」というように肩書き付きで配役を紹介していて、エレーヌの息子は「バカ息子ファブリス」、エレーヌの旦那は「ダメ亭主ポール」になっていた。
ちなみに「ダメ亭主ポール」を演じたヴァンサン・ランドンは名作『ガスパール/君と過ごした季節(とき)』の役者さん。

映画『死ぬまでにしたい10のこと』

2003年 監督:イザベル・コヘット
at ギンレイホール


死ぬまでにしたい10のこと

ギンレイホール行ったらすげー混んでんの。
地下鉄の階段を降り切るところまで列が出来ていて。
立ち見だな、と思って列に並ばず映画館入り口にある灰皿のそばで一服する。
並んでいた人たちが全て入館したところで僕も入って立ち見。

製作総指揮にペドロ・アルモドバル。
映画タイトルの題字の印象で、爽やかでしっとり泣ける映画を想像する。
もしくはアルモドバルが関わっているという事で、熱すぎる生命の(感情の)燃焼でひりひり焦がしてくれるか。

でも期待と違ってこの映画なんだかさらっと終わってしまった。
ストーリーはタイトル通り。
ニルヴァーナのラスト公演で知り合ったアンとドン夫婦はトレーラーで生活を営む。
この夫婦には2人の娘がいる。貧しそうだが幸せな家庭。
2人の娘がいるといってもアンはまだ若い。23歳だ。
このアンが癌に侵され、余命2,3ヶ月と宣告されたとき、死ぬまでにしたい10のことをリストアップして一つ一つ実行していくっていう話。

登場人物が皆物語好きでまどろっこしい会話が続く。
なんかくどい。
行きの電車でずっと立っていたせいか、見始めてものの5分ほどで足に疲労を覚えた僕にとって、展開の遅さはちょっとつらい。
時折挿入されるジャンプカットやスローモーションにもいらいらしてしまった。
唯一隣の家に引っ越してきた主人公と同名のアンが話すシャム双生児の話だけは足の披露も忘れてスクリーンに見入った。
話っていうかこの隣人アンが魅力的だったからかな。

さて、家に帰ってから役者チェックを。
主演のアン役はサラ・ポーリー。政治活動にのめりこみ高校中退。デモに参加したときに警官と衝突し奥歯を2本折っているという女優。
「バリーマニローはノーマルよ」と言ったアンの母親役は絶対どこかで見たはずと思っていたけど、この人ブロンディのボーカルデボラ・ハリーだった。
そしてサラ・ポーリーより素敵で魅力的だった隣人のアンは『トーク・トゥ・ハー』の昏睡女性だった。
ちょっとしか出てこないアンの父親役の人は『フリーダ』にも出ていたアルフレッド・モリナだった。髭面だったので全然気づかなかった。
癌の宣告をするトンプソン医師はジュリアン・リッチングス。この人『CUBE』のオープニングで細切れになって速攻死んじゃった人らしい。
他にもいろいろと調べていて個人的に面白かった事があるけど省略。
今度から映画見る前に役者を全部チェックしてから見に行こうかな。
この映画、座って見たらそこそこ面白かったのかもな。

2004年4月16日金曜日

出張

一昨日水曜から広島へ。
今日の朝新幹線で帰る。
えらいつかれたなぁ。精神的に。

2004年4月11日日曜日

映画『雪之丞変化』

1959年 監督:マキノ雅弘
BS2 録画


雪之丞変化

なんちゅう流麗な立ち回りをするんだろう。
主演大川橋蔵。
仇討ち時代劇。

ラストの大立ち回りの舞台は上演準備中の中村座から始まる。
悪の土部三斎(進藤英太郎 )一味が入り口から空の桟敷席になだれ込む。
緞帳をくぐって奥に入り雪乃丞(大川橋蔵)を探すが見つからず、手下達は桟敷席に引き返してくる。
緞帳がめくれ上がって舞台から次々に出現する手下供。画面中央には仁王立ちの土部三斎の後姿。
なんだろう、押して引いての流れが面白いのと、歌舞伎の劇場が無粋なやつらにどたばた荒らされながらも劇場が劇場としての機能を確固と保っているのが面白い。

米を売らない長崎屋へのシュプレヒコールをする集団が何度も映し出されるが、この人達志村けんのだいじょぶだぁ~ドドンドドンでお馴染みの太鼓を叩いている(これなんて名前だろう?)。
ドン、ドドン、ってリズムで音がするのだけど、役者達はみんな至極適当に叩いてるのね。いや、よく見ると撥と太鼓が当たっていない。
叩く腕の振り方も叩くリズムも全ててんでばらばらの人たちが行進しているのが妙に楽しげに見える。アフレコで付けられた音だけがぴったりそろってさ。

まあ、面白かったよこの映画。
以前市川崑版の『雪之丞変化』を見たけど、あまり印象に残っていない。斬新な演出がいっぱいあった気がするが。
どっちが面白かったかっていったらマキノ版なんだけど、あと1年もすればマキノ版もすっかし忘れそうな気もしないではない。
市川版調べていたら結構キャストが豪華。長谷川一夫に中村鴈治郎、山本富士子、若尾文子ちゃん、船越英二。そして市川雷蔵、勝新太郎!ああそういやこの二人出てた出てた。
むむ、もしや市川版って面白いのか。でもこのキャストで印象が残らないっていうのは僕の記憶力のなさの問題だけなのだろうか。
今度機会があったら見てみよっと。

2004年4月10日土曜日

広島→東京

今日は休みだしゆっくり帰る。
こないだ乗ったけど、天気もいい事だし再び広島から呉線に乗る。
この路線はやっぱりいいな。
安芸幸崎という駅の手前あたりは完全に瀬戸内海直近を列車が走り、窓から下を覗くと透き通った水の底にごつごつした岩が見える。

三原から山陽本線で岡山まで行く。
そして岡山から赤穂線に乗る。
この路線では山ばかり見ていた。
そして目の前に座った女の子がかわいかった。

赤穂線終着の相生駅から新幹線に乗る。
ホームに上ると誰一人いなかった。上りのホームも下りのホームも。
新幹線が到着する頃に数人ホームに上ってきたけど。

2004年4月9日金曜日

たばこ

昨日から広島に出張。
ビジネスホテルの部屋で椅子に座ってたばこをふかしていたのね。
目の前には鏡があるわけよ。
それで初めて知ったのだけど、たばこ吸って吐くとき、口からだけじゃなくて鼻からも煙が出ていた。
口と鼻から煙が出ている姿は滑稽だったので口からだけ煙が出るようにしようと思って何度か試したけど、どうやっても鼻からも一緒に煙が出ちゃうんだな。
だから見なかったことにしてあきらめた。

2004年4月6日火曜日

『宮本から君へ』新井英樹

時間がたっぷりあるときに読もうと取っておいた漫画を昨日読み始めてしまう。
深夜4時まで読んでいた。
そんで今日仕事終わって帰ってから続きを全部読む。

主人公の宮本君は文具メーカーの新人営業マン。
エゴイスト宮本君の爽やか(?)で微笑ましく笑える恋愛物、だったはずが物語は段々深化して熱さも迫力も静けさも乗算で増していく変な漫画。
漫画だからいいけど実際こんないっちゃってる人間がいたら絶対関わりあいたくないな。
といっても宮本君の突き抜け方が大好きなんだけど。

2004年4月3日土曜日

少し北へ

朝からレンタカーで廃墟見に行く。
一緒に行った知人が目をつけていた茨城のテーマパーク廃墟は取り壊しかリニューアルか、工事中のため人がいて入れなかった。

でも近くの寺からテーマパーク廃墟の一部に潜入できる。
どんぐり迷路というアトラクションで、迷路に挑戦するが荒廃がひどく社会の人間関係に辟易して仕事に挫折。

さあ、帰ろうかと思うと、山の中腹に廃屋を発見。
少しおじゃまして無断ながら写真を撮らせてもらう。
倒壊寸前の古い日本家屋に柔らかい光が差し込む。

茨城のこの付近は小野小町の里らしい。
小町の墓なんてものがある。
小町ってどこで死んだか分からないんだよね。
西は山口県、北は秋田県まで、日本には十箇所以上小町の墓ってあるんじゃないだろうか。
茨城の小町の墓は五輪塔で、見た感じ千年も前のものとは思えなかった。
墓の近くにブルーのビニールシートを被った(粗大ゴミみたいに)廃屋があった。

少し時間があったので桜並木の綺麗なところに行く。道に迷いながら。
やっとたどり着いたがそこの桜はもう結構散ってしまった後だった。

東京戻ってお好み焼き食ってビール飲んで帰る。