2006年12月14日木曜日

映画『昼下りの決斗』

1962年 監督:サム・ペキンパー
BS2 録画


昼下りの決斗 特別版

なにこのかっこよさ。最高に面白い。
サム・ペキンパーの初期の作品で、西部劇スターランドルフ・スコットとジョエル・マクリーの引退作。
金塊輸送のためにとある町にやってきた初老の男スティーヴ(ジョエル・マクリー)は町民の熱烈な歓迎を受けた、と誤解する。
スティーヴはレースのコースに紛れ込んだただの邪魔者で、警官にどけと言われる。
曲がり角から勢いよく現れる馬群。ん?ラクダ??・・・
スティーヴはこの町でかつての保安官時代に助手を務めていた相棒のギル(ランドルフ・スコット)と再会する。
スティーヴはギルとその弟子の若い荒くれ者のヘック(ロン・スター)を雇い、3人で鉱山に向かう。
しかしギルとヘックは最初からスティーヴを裏切って金塊をせしめるつもりでいた。
ただでさえ裏切りを内包しているのに、道中出会った世間知らずの娘エルサ(マリエット・ハートレイ)によってさらにごたごたに巻き込まれて。

スティーヴが強いのか弱いのかよくわからない。
登場シーンから間抜けなんだけど、警官に「じいさんどけ」と言われて状況を理解した後のスティーヴはきりっと「分かった」と言って道を空ける。
恥ずかしさを取り繕うでもないこの潔さがなかなかの大人の風格。
銀行での契約シーンでは老眼鏡をかけるのを見られまいと部屋にこもったりして、大丈夫なの?と思う。
眼が悪いなんてガンマンとして致命的じゃん。
唯一、生意気なヘックをパンチ一発でのした以外は結局強いのか弱いのかよくわからなかった。
ペキンパーの映画って絶対的強者って出てこないよな。
ユーモアにもなっているこの不安定さが凄く面白い。

エルサ役のマリエット・ハートレイがキュート。
美少年のような涼やかな顔立ち。
敵役のハモンド5兄弟は本性丸出しの醜さがかっこいい。
ヘンリー・ハモンドをウォーレン・オーツが演じているのだけど、肩にカラスを乗っけて不敵な笑みを浮かべるから怖い。
この肩のカラスはラストの決闘で重要な役を果たす。鶏より弱いなんて、かわいい。

死に様も堪能できる。
特にシルバス・ハモンド(L・Q・ジョーンズ)の最後なんて、痛みと絶望と悲しみの中で現実を受け入れられずに戸惑うしかできない怯えた表情は涙なくしては見れない。
また、ラストで死に行く男が虫の息で最後に見つめたシエラ山脈の優美な光景は男の生き様とともに観客の心にもしっかりと刻まれる。

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