2025年11月29日土曜日

映画『真木栗ノ穴』

2007年 監督:深川栄洋
製作国:日本
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なんとなく全体像が見えてしまうので予告編は見ない方がいいかも。
築四十年の超ボロアパートに暮らす売れない小説家真木栗勉(西島秀俊)は、壁に穴が開いていて隣の部屋を覗けること気づく。
西側の穴の先にはボクサーのような若い男(北村有起哉)、東側の穴の先は誰も住んでいない。
その空き部屋に一人のミステリアスな若い女性が暮らし始める。

覗きっていう文学的にも映画的にもこすられ続けた面白い題材なんだけど、最後の方でエンタメに逃げられたような感じで少し消化不良だった。
それでもまあ面白くはあったんだけど。コメディ要素が意外と面白い。
西島秀俊が凄くいい。
佇まいだけで絵になる役者ってそうそういないしな。

ミステリアスな女性水野佐緒里役に粟田麗。
その夫役に田中哲司。
新米編集者に木下あゆ美。ある程度露出がある粟田よりエロい空気を出しているのは何だろう。官能空間の外側にいるから却ってエロいっていう。
真木栗に思いを寄せているのかただの犯罪者なのかいまいちよく分からん中年女性役にキムラ緑子。まさかキムラ緑子の尻が見れるとは思わなかったぜ。入浴シーンはかわいらしい。
ベテラン編集者に利重剛。利重剛と北村有起哉ってなんか雰囲気似ている。
北村有起哉役の彼女役の端役の子はなんていう子だろう。唯一バストトップをさらけ出していたけどめっちゃ奇麗な胸していた。→佐久間麻由って子らしい
冒頭出てきた嫌な感じの編集者役に小林且弥。小林克也の感じ違いの名前最近見たと思ったら『楽園 流されて』でワンピース来ていた中国人役のイケメンか。

2025年11月22日土曜日

映画『第9地区』

2009年 監督:ニール・ブロムカンプ
製作国:アメリカ / ニュージーランド
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インタビューみたいなドキュメンタリー風に始まる。
ヨハネスブルク上空に突如現れ静止している巨大宇宙船。
突入を試みると、エビに似たエイリアンが大量にいたw
彼らはどうも下っ端で、彼らをまとめていたらしき上層部は皆死んでいたらしい。
人道的配慮から宇宙船の真下にエビ達の居住区を作って住まわせたのだがたちまちスラム化。
地元住民ともたびたびもめて早20年。
ついにエビ達を遠い地第10地区へと移送する計画が始まる。
ヴィカス(シャールト・コプリー)という男が物語の中心のようだが、インタビューで捜査とか裏切りとかいうワードが出てきて、なにやらこの男が何かをやらかしたらしいということがわかる。
圧倒的な情報量と謎を冒頭のこのインタビューや映像で端的に説明する脚本が凄い。

ヴィカスがなかなか糞野郎なのね。
愛する妻がいて妻の父親は上司で頭が上がらず、でも作戦のリーダーに指名されるという大昇進に大喜びしたりするふつうのおっさん。
っていうごく普通のおっさんがエビに対しては結構残虐、というか差別意識が丸出しなのね。
こんな普通のおっさんでもそうなんだからエビに対する差別はごく一般的な感情の世界なんだろう。
MNUの地下ではヴィカスでも引くくらいのエビ実験が行われていたりするし。
であってもやっぱりなんかヴィカスの自分勝手な言動見ていると糞野郎ではあるんだけど。
だからか最後の方で少しまともになるのがかっこいい。
差別していた側に自分がなる、っていう落差を描くには糞野郎である必要があるしな。

スターシップトゥルーパーズから10年でここまで進化したのかと思うくらいVFXが凝っているけど、一応低予算映画らしい。

出演者はほとんど無名俳優で主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人らしい。
驚くのはヴィカスのセリフはほぼ全てアドリブとのこと。

宇宙船のただのガソリンみたいな液体にあんな副次効果があるのは大きな謎。

2025年11月16日日曜日

映画『どうしようもない恋の唄』

2018年 監督:西海謙一郎
製作国:日本
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事業に失敗し家族にも逃げられた男矢代(カトウシンスケ)は、死に場所を求めてふらっと京成立石に降り立つ。
で、ソープに入る。えっ?
で、そのお相手のソープ嬢の家に転がり込む。えっ?
素敵なヒモ生活が始まる。

佐々木心音が出ているので見てみたけど熟女ヤク中ソープ嬢として一瞬出てきただけだった。

冒頭の逃げた妻からの手紙が嫌に文学的な言い回しで鼻につくのだが、原作が小説だからかな。

あたし馬鹿だから、が口癖のソープ嬢ヒナ(藤崎里菜)が不憫すぎる。
今までも悪い男にさんざんひっかかってきたのだろう。
自分を卑下し、男に尽くすことだけを生きがいとする女。
40超えのダメ男に恋して依存するって幸せな未来が想像できない。
しかしそういう女性が好きな男が多いのも事実。
ソープ嬢と仲良くなるって昔読んだ花村萬月の小説にもそんな話あったな。主人公は若かったが。
数多いる糞客の中からたった一人自分が選ばれるっていうのに優越感を感じるからそういう話が男は好きなのかもしれない。

ヒナはあれだけ矢代に依存していても、決して本名を明かさないところからすると、実は矢代をペット感覚で飼っているだけのしたたかな裏の顔があるクレバーの女性なのかもしれない。
それはないか。。
命がけで助けにいっているしな。
とすると源氏名を本名にしている正真正銘の馬鹿なのだろうか。
というか住んでる町のソープで働くか?普通。

ヒナ役の藤崎里菜はグラビアアイドルでこれが映画デビューらしい。
誰に騙されて脱がされたのか。
演技は結構大根より。

やくざ役の人は雰囲気あるしどこかで見たこともある気がして見ていたが、最近見た『楽園 流されて』の榊英雄か。
役柄は色盲というキャラ付けがなんかそれっぽくてなんだかなという気もした。

2025年11月9日日曜日

映画『海底から来た女』

1959年 監督:蔵原惟繕
製作国:日本
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どこぞのおぼっちゃんの敏夫(川地民夫)は集団になじめず一人が好き。
別荘でばあやに世話されながらのんびりしていた敏夫は、ある日海辺のヨットの上でミステリアスな女性(筑波久子)に出会う。
彼女は鱶(鮫)の化身で、大昔に片割れを人間達に殺されてから人間を恨んでいた。
しかし敏夫と話しているうちに段々と敏夫にだけは惹かれていくのだった。

なんかストーリーの9割書いた気がする。
ミステリーなのかホラーなのかラブロマンスなのかいまいちわからないどの要素も中途半端な感じだった。
つまらなくはなかったが。
彼女が鱶の化身なのかどうかっていうのはミステリーとして引っ張る要素にもなっていないし、二人もいったい何にお互い惹かれたのかよくわからないしな。
鱶の化身なのにセパレートの布切れまとっているし日本語達者だしで、実は普通の人間では?と最初ちょっと思った。
敏夫の人物像もよくわらんのよね。パーティーから居心地悪くて逃げ出すような性格なのに小説家の先生とは気さくに喋っているし、たくさんの友達と一緒に山に出かけたりなんかもするしさ。

佐藤勝の音楽がなかなかいい。
原作石原慎太郎。
筑波久子はのちにハリウッドで大物プロデューサーになる。

2025年11月1日土曜日

映画『FALL/フォール』

2022年 監督:スコット・マン
製作国:アメリカ
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険しい崖をクライミングする夫婦とその親友。
旦那はあえなく落下。
旦那を失ったベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は1年以上たっても立ち直れず酒におぼれて毎日涙する日々。
そんな時親友ハンター(ヴァージニア・ガードナー)がベッキーを励ますためにテレビ塔に一緒に上る計画を提案する。

youtubeのショート動画でAIのコメント付きで流れていてちょっと気になっていたのがアマプラにあったので見てみた。
高所恐怖症でなくてもめっちゃ怖い。
でも大半が高所にいると少し慣れてくるから変な感じ。
映画自体はそんなに面白くなかったんだけど暇つぶしくらいにはよさそう。

高さ600mのテレビ塔って、東京タワーでも333mだよ、こんな幅2,3mくらいしかないひょろ長い塔あるわけないじゃん、と思ったらKXTV/KOVR合弁塔っていう実際の建物がモデルだった。
強風で簡単に倒れそうなんだけど、それがまた恐怖を煽るのか。

なんかそれっぽい人間ドラマを織り込んでいるのがしゃらくさい。
高所恐怖サバイバルに凝ったドラマなどいらなくて、もうなんか登場人物たちに1mmも感情移入できないから。
冒頭で消えた旦那にはもちろんなんの思い入れも無いし、命を失う覚悟でロッククライミングしてるんでしょって思うからベッキーのめそめそ具合からしてどうでもいいから早く登ってくれと思ってしまう。
つまり冒頭からもうしらけている。

以下ネタバレ


旦那の不倫がわかった途端に、急に旦那のことがどうでもいい感じになったりあんなに疎んでいた父を恋しく思ったり、って変わりすぎじゃないかw
きっと万が一の事故があったときにベッキーを立ちなおせるために不倫していたのだろうな。

車奪って逃げるおっさんたちとかアメリカっぽい。

ハンターが落ちた時ドゴーンって音しているのはそういうことか。

後味はあまりよろしくなく、見終わってどこか空虚な気持ちになる映画だった。

2025年10月25日土曜日

映画『フルメタル・ジャケット』

1987年 監督:スタンリー・キューブリック
製作国:アメリカ
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二部構成みたいな感じで、第一部の新兵訓練基地で結構腹いっぱい。
二部でがらっと舞台も空気感も変わる。
共通しているのは狂気と恐れで、1から10の数値で表すと
一部:6 to 10
二部:3 to 12
みたいな波がある。
二部なんかいよいよ戦地だからよりやばくなるはずなのに、一部ラストの衝撃から一転ナンシー・シナトラの『にくい貴方』だもんな。
それでもやはり戦地なので段々と混沌としてくる。

キューブリックは屋外より室内シーンが好きだな。
部屋の装飾、配色、無機質さ、奥行き、整然としているようでどこか崩れているっていう恐怖と狂気。
屋外だと空間が広がりすぎる。
だから新兵訓練基地のシーンの方がどちらかという面白いのだけど、後半も最後の方の緊張感はなかなか凄い。
今なら見わけも付かないCGで簡単なのだろうが、これ全部セットだよな。凄い金かけている。

ハートマン軍曹役のR・リー・アーメイはテクニカルアドバイザーとして参加していたが、その迫力を買われてそのまま役をゲットしたらしい。
「上出来だ 頭がマ〇コするまでしごいてやる ケツの穴でミルク飲むまでシゴき倒す! 貴様か腐れマラは?クソガキが!貴様だろ腐れマラは!」
よくまあ卑猥なのかなんなのか意味不明な言葉が流暢に出てくるもんだ。

マシュー・モディーンは名前だけ憶えていてなんで知ってるのかと思って調べたら『リアル・ブロンド』に出ていた人か。

ファミコンウォーズがでーるぞの元ネタと知らなかったので、あっ、てなった。懐かしい。

2025年10月18日土曜日

映画『楽園 流されて』

2005年 監督:亀井亨
製作国:日本
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緑がかった映像は中国の時代物映画のような雰囲気で、何か常識外のことが普通に起こりそうな雰囲気。
舞台は地方の小さな漁村。
局アナで父親は元県知事、選挙に立候補した多々野恵利香(街田しおん)はほぼ勝ちが確定している。
才色兼備で生まれにも恵まれた恵利香だが、性格が最強に悪かった。高慢ちきで、他人をすべて見下している感じを隠しもしない。
一方漁師見習いの青梅洋平(榊英雄)は、言われるまま流されるままに生きてきた人間で、のんびりしているというか馬鹿なのか。
そんな自分が嫌なのかなんなのか、心の奥では怒りの種がくすぶっていって、それは妻にだけ爆発する。
そんなクズ女性とクズ男性が出会い、ハートフルな人間ドラマでも展開するのかと思いきや全然違ったw

以下ネタバレ


性行為シーンは短く少な目だけどポルノ映画やストーリーの面白いAVみたいな感じ。
膝上スカートのスーツなんて風俗の子くらいしか着ないでしょ。色気むんむんの恵利香様。
苛酷な状況でも変わらずなじられて、イラつきながらもただ従う洋平が聖人に見える。
高慢ちきな女性を無力な状況に追い込んでプライドずたずたに凌辱する、ってAVにありそうだが、この映画は少し違って、恵利香様は少しも折れない。
クズとクズが無人島生活を経てなんか成長する、みたいなありきたりな展開もせず、二人ともクズのままなのが清々しい。
無人島からの生還という大ニュースになりそうなことでも関係なく、病院にもいかず、ぼろぼろの姿のままただ選挙の事を考える依然と変わらない高慢ちき恵利香様がかっこよくすらある。
洋平のほうは、もう戻れない理由があるのだが、最後いい感じの別れのシーンだったのに一気に台無しにして頭から血流す洋平が笑える。

榊英雄はその後性加害で逮捕、ってリアルでもクズだったw

2025年10月12日日曜日

映画『罪と悪』

2023年 監督:齊藤勇起
製作国:日本
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サッカー少年達のきらきらした中学生時代。
一転ダークな展開に落ちてからタイトルバック、そして舞台は20年後へ。
タイトルバックまで20分以上たっぷり使ったプロローグで、もう腹いっぱいなくらい詰まっている。タイトルバックの時点で続きが気になるのは久しぶりだ。

いやー面白かった。
程よい緊張感とミステリーと友情と。
ただ、最後あれって感じで終わるのだけは肩透かしだった。ネタバレなので後で話す。

主演高良健吾と大東駿介。
高良健吾は刈り上げがかっこいい。ガタイがいいわけでもないのに圧倒的なカリスマオーラで役に合っている。
大東駿介はだいぶおっさんになったな。三白眼がより強くなってないか。
もう一人の幼馴染の朔役は石田卓也。夜のピクニックの人か。
他、やくざの幹部に村上淳。おお、これまたおっさんになったなぁ。背縮んだ?
やくざの親分に佐藤浩市。痩せた。。
警察の上司に椎名桔平。太った。。

以下ネタバレ


結局やくざとの一件で筋通す形でどうケリつけたのか?
そもそも金を盗んだことなのか村田を殺害したことなのか。。
その辺の展開の前になんか「えっ」と思うような展開になってそのまま終わるからもやもやが凄い。

朔犯人説もあれは事実なのか?
朔が最後まで認めず「偶然と想像で成り立つお話だな」と言っているのは正にその通りで、本当ただの想像じゃん。証拠もないし。
事実ならさすがに認めるだろ。
勘違いによる殺人に始まり勘違いによる殺人で終わる、だったら後味悪いよな。
少し見返してみると、試合の日のシーンで春が朔の自転車が違うことを指摘したときに、朔が「お前のせいだよ」と言った声のトーンがシリアスで怖かったのだが、もし想像通りのことが起きていたならこのトーンの謎にも納得がいく。
「目の下のくますごいけどどうしたの?」っていうのもそういうことか。
あと、直哉が窓から晃に手を振っていると、朔が気づいた瞬間にさっと引っ込んだのも朔を恐れてのことだったのかも。
脚本としては朔が犯人だったってことなんだろうな。
おんさんの所に誘導したのは朔だし、最初に攻撃したのもとどめを刺したのも朔。直哉が犯人なら正樹の財布をわざわざ忍ばせる意味もなく不自然。ってことから想像したのかな。

朔は小林少年をどうやって見つけたんだろう。やくざですら見つけられなかったのに。
小林少年が春が現在抱えている問題の中心っていうのもどこで情報仕入れたのか。
小林少年なのは、彼を殺せばやくざが殺したと思って春とやくざの対立が激しくなることを狙ったのか。
いや、違うか、直哉を犯人に仕立てたわけだから。
えっ、じゃあ小林少年である必要が全く無くないか。。
よくわからんところ。

2025年10月11日土曜日

映画『さまよう獣』

2012年 監督:内田伸輝
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田舎のバスの車内でばあさんが見知らぬ若い女性に、これ食べ、みたいにおにぎりとおしんこをあげる。
餌付けされた女性はバスを降りて家に帰るばあさんの後ろを少し離れて付いていくのだった。
この若い女性キヨミ(山崎真実)はなんだかんだでばあさん(森康子)の家に居候させてもらうことになる。
若い女性なんかいない村で、キヨミの登場によって村の若者衆は色めき立つのだった。

見終わって5分で何見たか忘れそうになった。
コメディなのかサスペンスなのかエンタメなのかバイオレンスなのか、恋愛物なのか官能物なのか。
そのどれにでもなりそうでどれにもならない中途半端な状態で気づいたら終わっていた。
全体的には都会で傷ついた若者が田舎に来てなんか救われる、みたいなよくある流れなのかな。
ただ、それも分かりづらい。結局キヨミの過去はいまいちわからんし、一体田舎の人たちのこの浅い関係性の何に救われたというのか。

キヨミは何か暗い過去を背負っているらしく、とにかくどんよりしている。
ばあさんと無口なマサル(波岡一喜)と3人の食事シーンなんか会話はほぼ0。
見ているこっちが息苦しい。
ばあさんと仲良くなるわけでもなく、ずっとよそよそしいままなのに、ばあさんはなぜかキヨミを大事に思う。えっ?
得体が知れなさすぎだろう。
そんな暗いキヨミだが、トマト農家のタツヤ(渋川清彦)と話すときは人格が変わったかのように明るくエロくなる。
なにかサスペンス的な不気味さだけど、昔の水商売の癖で人によってキャラを使い分けているとかそんな理由らしい。つまらん理由だった。。

山崎真実はグラドル出身の女優らしい。脱ぎそうで脱がない。
婆さん役の森康子はその棒読み具合からどこかの素人かと思っていたらそこそこ長い経歴の人だった。
渋川清彦はなんか安心感がある。その特徴的な顔で異彩を放っているけどこんなに人気俳優になるとは思ってもいなかった。
シンジ役の山岸門人は凄い良かった。演劇畑の人っぽい。コメディ演技が面白く、バカリズムに少し雰囲気が似ている。キヨミに処女作を渡すまでの一連の面白やりとりがこの映画のクライマックかと思うくらい。
津田寛治はあの声質もそうだけど嫌な男がよく似合う。

ラストの展開はよくわからず、そんな雰囲気微塵もなかったのに一体何をきっかけに惹かれあってんのさ。
家の中と外のギャップはもう少し面白くなりそうだけどそこもなんだか盛り上がらず。

2025年10月5日日曜日

映画『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』

2009年 監督:福島拓哉
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タイトル見て下ネタ系おバカコメディかなと思ったが、概要見るとウィルスパンデミックものらしい。
で、実際見てみるとただの恋愛映画だった。
「俺たちは、短い永遠の中で生きていくんだ」っていうところからのタイトルか。

たまに個人的にどうしようもなく肌に合わない映画っていうのがあって、これは正にそんな映画だった。
学生が作ったのかというような青臭さを滲ませつつ、なんか無駄に文学的で無駄に映像詩目指している、みたいな感じ。
監督のWiki見ると海外で評価されているみたいね。この映画もいろんな映画祭に出品されていた様子。

なかなか面白い展開にならないなぁと思いながらも我慢して見ていたら結局そのまま終わってしまった。
キャラクターにしろ演技にしろ容姿にしろ、魅力的な登場人物が一人もいない、ってところが致命的な気がする。
特に主人公のキャラクターはひどくないか。
昼間っから飲んだくれているアル中無職で、自分のことを「高等遊民」と呼ぶ。
何をするのも面倒で、世の中達観している風というか斜に構えているというか、つまり思春期か!と突っ込みたくなるようなおっさん。
ぼろぼろに見えるポンチョ(実際にはそういうデザインでぼろぼろではない)がお気に入りで、これがまたダサい。
この主人公のどこに感情移入できるのか。。

突然倒れ、2,3日後に目覚めると血縁以外で一番大事な人の記憶を失うという謎の奇病が東京で発生する。
大事な人っていうのは大体恋人とか。
ミオ(呂美)は元彼テル(草野康太)の記憶を失った。
しかし再び出会った二人は再度恋人になるのだった。

恋人の記憶を失っても関係は継続できるのか?
なんかそういうテーマの映画腐るほどあった気がするが、この映画のテーマはそういうところに無い気がする。
じゃあ何かと言うとよく分からないのだが。
結局無気力思春期おっさんが、深くつながっていた女性との関係から恐れで一度逃げ出したものの、逃げるのをやめて人生を一歩踏み出し始めたっていう成長譚なのかな。おっさんの。
元彼っていうことは一度別れたわけで、そこがずっと引っかかっていたけどその要素はあまり関係なかったっぽい。
全般的に青臭いモノローグが無駄に文学的でわかりづらく、声も聞き取りにくいところが多々あるし、結局のところストーリーはよくわからん。
「なんで泣いてるの?」
「あなたを愛しているから」
ってシーンだけはよかった。セリフ書きだしてみるとこっぱずかしいw