2003年12月1日月曜日

世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ

ここ2ヶ月、昼に毎日行く店がある。
『洋食の店暢』という。
なんでも飽きっぽい私が毎日食べに行く店。
美味いから食べに行く。
チキンカツ、コロッケ、エビフライ、プレーンオムレツ。どれも丁寧に調理されている。旨味がでしゃばって主張しないから飽きない。品のある美味さ。

今日はチキンカツが切れたというのでコロッケ定食を食べる。
客は私の他にカウンター席に最近よく見る学生っぽい男が一人。そしてテーブル席に一人の中年男性と三人の女性が座っている。
コロッケ定食をゆっくり食している間に他の客は全て帰り、私一人になる。

客のいない店内でたばこをふかした後、ごちそうさまと言ってカウンター脇のレジへ行った。
先日マスターにカスタードプリンを貰った。お礼を言おうと思う。
レジに行って千円札を渡すと、突然マスターが言う。
「すいませんねぇー。いつも来てくれて。この店今週で辞めるんだ」
「えっ?!・・・本当ですか?」
絶句した。あきれる絶句なら何度もしているが、驚きの絶句はついぞしたことがない。
「大阪帰ろうと思って。五日までで。」
二言三言話して、五日が何曜日か聞くとマスターが調理場へ入っていく。
私はお釣りを受け取った手がそのままで固まっていたことに気づいて、お釣りをポケットに入れる。
マスターが出てこない。
それで私はカウンターのほうに回る。
カウンター越しに見たマスターは悲しげな笑顔でこちらを見ていた。

カウンターを挟んで再び二言三言言葉を交わし、最後にカスタードプリンのお礼を言って店を出る。
今日は比較的空気が温かい。その温かさが悲しい。


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