2003年12月2日火曜日

トム

昼に暢に行く。
カウンター席にいつもの若い男性が一人座っている。この男性はいつも真ん中から少し左よりの椅子に座っている。
私はカウンターの一番奥にいつも座る。
マスターが店を辞めることを男性に伝えているのを聞きながら、今日は何を頼むか迷う。
あと4回、たぶん2度と食えない味をしっかり覚えておきたいし、未だ頼んでいない定食メニューも頼んでみたい。
迷った末、頼んだことのないハンバーグ定食を頼む。

マスターが僕ら二人にカスタードプリンを出してくれる。他の客が来ないうちに、と。これでカスタードプリンは全部なくなったらしい。
今日は天気がよくて、薄暗く落ち着いた店内にドアの窓から光が淡く差し込んでいた。

暫くして男性が店を出る。私はハンバーグやカスタードプリンを食べた後、たばこを吸う。

レジで会計をする時、この店でよくかかるアルバムの題名を聞いてみた。
「60年代か70年代くらいの洋楽で・・・」
何枚か店の中でかけてもらって判明した。トムジョーンズだった。
全く誰だ、スコットウォーカーがかかっているなんてぬかしたやつは。

ついでにもう一枚尋ねてみる。
「これも70年代頃のやつで日本のロック。はっぴいえんどっぽいやつです」
これはちょっと時間がかかった。ダウンタウンブギウギバンドと尾崎くらいしかかけてないと言う。
念のためダウンタウンブギウギバンドをかけてもらうがなんか違う。
しまいには鼻歌で歌って、やっと判明した。大滝詠一だった。やっぱり。
かけていたのは「ロングバケーション」という大ヒットしたアルバムだそうだ。
お客さんからの借り物で、今はもう返してしまって手元にないとのこと。

トムジョーンズはテープに録音して、明日か明後日に貰えることになった。
カウンターにはバットが置いてあり、洗ったカスタードプリンの銀のアルミカップが10個くらいきれいに並んでいた。

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