2008年11月22日土曜日

映画『最高の人生の見つけ方』

2007年 監督:ロブ・ライナー
at ギンレイホール


最高の人生の見つけ方 [DVD]

病院の経営などで莫大な富を築いたエドワード(ジャック・ニコルソン)。
自動車整備士のカーター(モーガン・フリーマン)。
なんの接点もない二人のいつもの日常が描かれるが、間もなく二人は入院。
そして同室。
エドワードは先に入院していたカーターを見てなんでこんなやつと同室なんだみたいなことを言うがカーターはカーターでいきなり来ておまえはなんなんだよ、という出会い。
この病院はエドワードの病院なんだけど、「一部屋ツーベッドが決まりだ、どんな人だろうと特別は無い」と公言していたエドワードは渋々カーターと同室に落ち着く。
まあ、病に苦しむもの同士、自然と打ち解けてもくる。
そして余命半年から1年と宣告されたエドワードは気丈に振舞いながらも突然迫った死に身を震わせる。
そんなエドワードを側で見たカーターは自分の本当の病状を医師から聞き出す。
カーターも余命幾ばくだった。
で、延命治療して闘うより人生で遣り残したことをすべてやろうぜ、とじいさん二人は世界を飛び回る。

じいさん二人が生活も性格もこれでもかというくらい真逆で分かりやすい。
かつそれぞれの特化した性格がストーリーの運びを自然にする。
棺おけに入るまでにやっておきたい「棺おけリスト」を書いたのは学生時代に子供が生まれたため夢を諦め家族のためにその人生をささげた実直なカーターで、「棺おけリスト」を実際に実行する行動力を付与したのは一代で巨大な富を築いた実業家のエドワード、というような。
たくさんの家族に囲まれるカーターに対して結婚離婚を繰り返して一人身のエドワードの対比。
エドワードはカーターの家族の気持ちを思いやり、カーターはエドワードの家族に対する気持ちを思いやる。
そしてその思いやりが二人の真逆の生き様を浮かび上がらせた上で対立。
エンターテイメント性溢れる展開の末、中心に固体としてある表裏一体の生と死を貫いて対角線上に結ばれる二人の深い友情を家族という大きな概念が柔らかく包み込む、っていう壮大なイメージがいつの間にか完成している流れが見事。

ただ、まあ実際にやりたいことリストをやっている最中でももう少しで死ぬと分かっていたらどうしても気になって心から楽しめないんじゃないかなとも思うけど。
それにリスト全部やっちゃった時に「後は死ぬだけ」っていう虚無に襲われることは確実だしリストを減らしていくことが死に近づいていくことでもあるからクリアしたくもない。
かといってやり残したことがあるまま死にたくもない。
つまり一番いいのは実は突然死です。

ジャック・ニコルソンもモーガン・フリーマンも、もう70らしい。
スカイダイビングは本当に飛んでるっぽかったけど、まじ?

二人の名優による軽妙洒脱で豊かな経験に裏打ちされた自由な演技が心地いい。

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