2009年6月14日日曜日

映画『わが教え子、ヒトラー』

2007年 監督:ダニー・レヴィ
at ギンレイホール


わが教え子、ヒトラー デラックス版 [DVD]

予告編見たときは『ディファイアンス』より絶対こっちの方が面白いはず、と思っていたのだけど、そんなに面白くなかったな。
もっと盛り上がりそうな題材なのに人物像や感情があやふやなまま最後まで行ってしまう。
ラストの爆弾の爆発なんてタイミングもなにもかも最悪にしょぼすぎてぽけーっとしてしまう。
無常観ってことでしょぼかったのかなぁ。

第二次大戦末期の劣勢に陥ったドイツ。
宣伝大臣ゲッベルスは新年にベルリンでパレード及びヒトラーによる演説を行い、それをプロパガンダ映画として撮影してドイツ中で上映する計画を立てる。
しかし当のヒトラーは完全に自信を失ってかつての威厳は見る影もなくなっていた。
そこでゲッベルスはわずか5日間でヒトラーを復活させる奇策として、スピーチ指導に世界的俳優アドルフ・グリュンバウム教授を起用することにする。
グリュンバウムはユダヤ人。
「総統が忌み嫌うことで力が湧くのです」
強制収容所から移送されたグリュンバウムは家族との再会を条件に、この世で一番憎いヒトラーのスピーチ指導を引き受ける。

ヒトラーを人間的に描いたブラックユーモアに溢れる本作はドイツにおいてかなりセンセーショナルだったらしい。
配給はアルバトロス。
B級だけじゃなくて『善き人のためのソナタ』とか名作もちょろちょろ配給するので期待度は高かったものの・・・
監督のダニー・レヴィはユダヤ人で、「私はナチス、ヒトラーを許しているわけではない」とインタビューで答えているけど、どう見てもヒトラーがお茶目で可哀想すぎる。
演説中に起こった信頼できる友グリュンバウムの予定外の反乱に、真下のグリュンバウムを慌ただしく見るヒトラーのなんと可哀想なことか。(このヒトラーを真下から映すアングルは結構いい)
世界で最も憎い人物であり友でもあるヒトラーに対するグリュンバウム(とその家族)の複雑な感情がいまいち描ききれないまま終わっちゃうから、ただヒトラーの人としての孤独な悲しさしか見えてこない。

笑ったのはヒトラーがグリュンバウムのちょっと意地悪な演技指導で四つんばいになって犬の真似をさせられるシーンがあるのだけど、四つんばいのヒトラーの背後から欲情した愛犬のブロンディが覆いかぶさっていたところ。
ヒトラーにそこまでやらすか。
(確かブロンディはメスだったと思ったけどそんなことはまあいいや)

主演は『善き人のためのソナタ』のウルリッヒ・ミューエ。
胃がんで亡くなったため本作が遺作となる。
ヒトラー役にはミュージシャンでありドイツの有名なコメディアンでもあるヘルゲ・シュナイダー。
ヘルゲ・シュナイダーっていう人は凄い人らしい。参考

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