2009年6月6日土曜日

映画『監獄ロック』

1957年 監督:リチャード・ソープ
BS2 録画


監獄ロック 没後30周年メモリアル・エディション [DVD]

エルヴィス・プレスリーを主演に据えた安易な作品かと思いきや、意外と面白い。
エルヴィスの演技が上手いかどうかは置いといて、あの顔は役者としてかなり魅力的だよなぁ。
いまいち人物像がつかみにくいところが。
実態はロック界のスーパースターなんだけど、この若い頃の顔をみていると、ただのいいとこの甘えん坊の坊ちゃんみたいにしか見えない。
でも時にワイルドな荒々しさもあり、ナイーブな寂しげな視線を送ったりもする。
びっくりするのは後半に行くにしたがってどんどん無色透明な存在になっていく。
脚本としてエルヴィスの演じた役柄が後半何考えてんだか分からなくなるのだけど、その混沌をエルヴィスのあの表情で受け止めると、エルヴィス自身が完全に透き通って無になっていくような錯覚を起こす。
空(くう)を虚ろに見つめるエルヴィスの表情なんてそら恐ろしい。何考えてるのだかさっぱり分からない恐怖。

そういえばちょうどジェームズ・ディーンの時代あたりに作られた作品だな。
すねたような表情とか影響受けてるのかな。

ストーリーでも書いとくか。
威勢が良く気が短い労働青年のヴィンス(エルヴィス・プレスリー)は酒場での喧嘩の末、相手を殴り殺してしまい監獄入り。
監獄では古参囚人と同房になるのだけど、この囚人ハンク(ミッキー・ショーネシー)が元カントリー歌手だったことで、ヴィンスは彼にギターの手ほどきを受ける。
ギターの腕はたいしたことないけどハンクはヴィンスの歌声とルックスに目を付け、出所後にお互い組んで音楽活動することを約束する。分け前は半々で。
先に出所したヴィンスは一人でつらつら活動して何度も挫折しながらも、知り合ったペギー(ジュディ・タイラー)とともに会社を興してレコードを発表。そして大スターへ。
ようやくハンクも出所してくるのだけどその頃にはヴィンスはもう大スターであり、かつなんだか変わったのか変わってないんだかよく分からない性格になっていた。

「ケチな戦略が効くと思うの?」「戦略じゃない 俺の中の野獣さ」
で決定付いたはずのヴィンスとペギーの恋人関係もよく分からないんだよな。
すれ違いからお互い意地悪しているうちに疎遠になり、ヴィンスは新たな彼女作って楽しくやりだすからもうペギーはどうでもよくなったのかと思いきや、なぜかまだペギーを思っていて。

これ、録画したのは2005年の6月だな。
HDDレコーダーの残容量が少なくなったときに何度か削除候補に挙がっていたのだけど、とりあえずまあまあ面白かったので消さなくてよかったよかった。

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