2003年10月27日月曜日

映画『河』

1951年 監督:ジャン・ルノワール
BS2録画ビデオ


河

これは、面白いね。

舞台はインド、ベンガル。ここにアメリカ人の家族が住んでいる。
働く半裸体のインド人たちに混ざるアメリカ人。どっからどう見ても異邦人。

3人の少女がいる。
1人目はハリエット。スティーヴン・タイラーの口を持つ少女。
2人目はヴァレリー。少女なのに結構老け顔。
3人目はメラニー。インド人の女性。インド人のアクがあるのだけど、角度によって恐ろしく美人に見える。
(この3人の中でスティーヴン・タイラーのインパクトが圧倒的に強い)

隣家のメラニー宅に戦争の英雄で義足のジョン大尉がやってくる。3人の少女はそれぞれの性格、それぞれの民族性でジョン大尉に思いを寄せる。
まあ、他にもいろいろあるのだけど省略。
全体のストーリーは『河』というだけあって民族、人間、生と死の循環をスケールでかく描くありそうな話。
少女から大人へ。ジョン大尉と少女達との関係は、お互いそれぞれの人生において重要な意味を持つのだが、その関係性も河なんだな。

少女から大人への移行期。美しさと恐ろしさ。
でもこの映画ってインドに暮らす異邦人達を中心に進むけど、メインはインド。インドの自然と風俗。

一番すごかったのがメラニーの踊りとその時の音楽。
まずインドの民族楽器を持った数人の男が画面に映る。
その一人が金属の棒のようなものをキンキン叩いてリズムを出しながら薄笑いを浮かべてティキティキとスキャットで歌い出す。
高揚してくるどきどき。
すると画面が変わり手を合わせて静止状態だったメラニーがはじけるように踊り出す。
なんて躍動感のある踊りだろう。映像に吸い込まれる。

他にも意図した演出なのか偶然なのか(意図しているとしてもあっさり映すし)ワンシーンワンシーンの何気ないところが実に面白い。
露店で凧を買おうとするハリエットの父。「それじゃ大きい」「これじゃ小さすぎる」と注文をつける父。露天の店主は中くらいの凧を取り出す。そのときの店主のどことなく悲しげでおびえた、または嫌そうな…うーんなんとでも例えられそうな微妙な伺いの表情の不思議さ。
ジョン大尉に自作の詩を見せようとするハリエットの頭にネットが絡まり、しかめっ面で振り払うしぐさ。
灯明祭のダンスパーティで柱の影に幼女が一人立っている。ペアを組む人がいなくて、顔は楽しげに笑っているが寂しそう。と、目の前でヴァレリーが一人になった。満面の笑みで歩み寄る幼女、その歩み寄り始めの一瞬だけが画面に映る。
手に乗せたオウムだかなんだかと戯れ中に失意のメラニーを見て、心底心配そうな顔をするメラニーの父。娘との距離感の寂しさ。鳥と戯れ中というところがいい。
その他、もろもろ。

子供が10人くらい出てくるのだけど演技がとても自然。というか演技じゃないだろ。遊びだ。
そういえば家人が皆午睡しているシーンの時間の感覚や不安さはよかったなぁ。
きりないや。

なかなかよかった。しっかしいつビデオに録ったのかな、これ。全く記憶に残ってないのだけど。

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