2005年7月31日日曜日

映画『どこまでもいこう』

1999年 監督:塩田明彦
BS2 録画




主人公が小学5年の男の子二人で面白いんだろうかと思ったけど、これ、かなり面白い。
舞台は郊外のニュータウンで無駄に広い土地に団地がいくつも建っている。
階段やら眺めのいい小高い丘、そしてアキラの思い人が向かいの棟にいるというシチュエーション。
土地や空間を状況に応じてさりげなく最大限に活用している上手さ。
アキラの棟と少女の棟との間にある空間はただの距離でしかないのだが、この空間にロケット花火を搭載した紙飛行機を飛ばすシーンがある。距離の空間が確固たる空間として現出する瞬間。するとそっけなかった少女もアキラに微笑みかけ。
このシーンにはまだいくつかの要素があるんだけど、とにかくいいシーン。

主人公二人はガキ大将で大の親友。
小学5年の新学期。ヤクルトレディーのヤクルトをクーラーボックス毎かっぱらった二人は戦利品をランドセルに忍ばせ学校まで駆けて行く。
丘や階段を駆け下り全力疾走する二人。滑らかに、そして躍動的に追うカメラ。
冒頭の走るシーンでもう名シーン。
背の高いアキラが少し早いと見るやスピードを上げる光一とか。

学校に着くと二人は別々のクラスになっていた。というか「お前らはもう一緒のクラスにしない」と教師に言われていたので分かっていたことなのだが。
とりあえず別々になろうが二人には関係ない。
一緒に帰る二人。
帰り道、二人は事件性抜群の謎の白いバッグを拾う。
川原でバッグの中の金を分け合う二人。
なんかこの二人の日常をこのまま見ていたいのに非日常な事件の物語は嫌だなと思っていると、本当この件はこの件で終わっちゃう。
この後もおんなじペースで淡々と話やエピソードが流れていく。謎の部分は謎のまま。
少年少女の心の揺らぎや成長、そして親の事情など常になんらかの危なっかしさを秘めながら描かれる。
危なっかしさというのは高所の危なさだったり火の危なさだったり家庭環境の危うさだったり友情の危うさだったり。
あまり説明的な作品ではないんだけど、撮り方や音等の変化が着々と表現していく。
この監督ってこんなに上手くて繊細だったんだな。

野村君の描いた絵「どこまでもいこう」には泣ける。
謎の鍵っ子転校生はむかつく。

映画『エノケンの怪盗伝 石川五右衛門』

1951年 監督:毛利正樹
BS2 録画


エノケンが40代後半の時の作品。
しがない刀鍛冶屋の五助(エノケン)はつつましく暮らしていた。
ある日五助の母が野武士だかなんだかの一団の馬に撥ねられて死んでしまう。(ってエピソードを映画見終わったときにはすっかり忘れてたよ)
さらに婚約者の小雪(榎本美佐江)までさらわれそうになる。
自分の無力を痛感した五助はひたすら神頼み。
願いが通じ、怪しいじいさんから不思議な杖を借り受ける。
不思議な杖っていうかただの強力な磁石なんだけど。
力を得た五助は仲間達と共に義賊となるのであった。

ミュージカル部分で眠気に襲われる。
変なダンスは笑える。

2005年7月30日土曜日

映画『特別な一日』

1977年 監督:エットーレ・スコラ
BS2 録画


特別な一日

マルチェロ・マストロヤンニ&ソフィア・ローレン。
いきなりモノクロの記録映画から始まるからなんじゃこりゃと思う。
しかもヒトラーのローマ親善訪問。
記録映画が終わると色が付いて本編が始まる。
イタリアのとある面白い形したマンションを見上げるカメラ。
マンションの中庭から見上げているらしい。と思ったらごく自然に風船のように上方へと上がっていくカメラ。
そして浮遊するカメラはソフィア・ローレンがいる部屋を窓の外から映すのだが、カメラはそのままゆっくりと部屋の中まで進入していく。
隣の部屋に移動するソフィア・ローレンを追うカメラ。どうやら寝てる誰かを起しているようだ。
エスプレッソだか紅茶だかのカップと服のようなものを持ちながら各部屋を回って起したのは子供6人と夫。
部屋に進入してくところから各部屋の子供達を起して回るまでが滑らかなワンショット。
しかもカップのコーヒーやらバネの壊れた電灯等ちょっとした小道具も盛りだくさん。
これはただ事じゃない映画だぞ。

朝6時。記録映画の延長で、この日はドイツと軍事同盟を果たした盛大な式典が行われる日らしい。
起きだした子供達は皆面白い。
太ったガキは便所でこっそりタバコを吸っていたり、ちょっと色づき始めた長女やら枕の下にポルノを忍ばせた青年やら。
ホームドラマが展開するのかと思いきや、夫を演じるのはマルチェロ・マストロヤンニじゃない。
となるとマストロヤンニは別のところで出てくるはず。
魅力的になりそうな家族は程なくソフィア・ローレンを除いて皆式典に参加するために部屋を出て行く(終盤まで帰ってこない)
彼女は家の仕事があるため行きたくても行けない。
ほぼローマ中の市民が式典に参加するらしく、舞台になっている大きなマンションから人気が失せる。
いるのはソフィア・ローレンと管理人のばあさんだけ。
結構異様な空間。
人の気配がなくなったマンションの部屋で、朝食の片付けを始めるにも始める気力のないくらいに疲労しているソフィア・ローレン。
時折どこからか誰かの声がする。
誰が喋ってんの?と思えば声の主は九官鳥。
うっさい九官鳥に餌をやって黙らそうとするソフィア・ローレンだが九官鳥が逃げてしまう。
中庭を飛んで向かいの部屋の窓のそばに止まる九官鳥。
向かいの部屋の窓には男の後姿が見える。
これがマストロヤンニ。
さあ、こっからは二人の世界。少し管理人がアクセントと波を投げかけながら。

式典に参加しない謎の男マストロヤンニ。彼にはある秘密があって。
メロドラマ。

部屋の中、そして窓の外、空間の捉え方や見せ方が上手い。
部屋の中に意識が集中しているところに部屋の外の音を突然混入したり、思い人が中庭を挟んだ向かいの部屋にいるという空間的シチュエーション等々。
そしてなんといってもカメラワークが緻密というか繊細というか、エロさまで感じるくらいにかなりいい。

2005年7月24日日曜日

映画『老人Z』

1991年 監督:北久保弘之
BS2 録画


老人Z HDマスター版老人Z

原作、脚本大友克洋。キャラクター原案江口寿史。
老人介護問題を扱ったギャグアニメ。
ロボットがロボットと戦って。
なかなか女の子の脚の書き方が上手い。

2005年7月23日土曜日

映画『MEMORIES』

1995年 監督:森本晃司、岡本天斎、大友克洋
BS2 録画


MEMORIES

大友克洋総監督で3話の短編。
Episode.1 「彼女の想いで」
時は2092年・・・SF
ハインツの娘の声が×
Episode.2 「最臭兵器」
これが一番分かりやすいか。
ありえないくらいずさんな管理。ありえないくらいにぶい田中信男。
世界を揺るがす一大事件もとことんギャグアニメ。
Episode.3 「大砲の街」
どう話が展開していくのかと思ったらあっというまに終わり。

絵皿貰った

絵皿毎晩せっせと自炊していた偉い自分は遠い昔の自分で最近は無駄に遅くまでだらだら仕事しているもんだから自炊する気も起きず食材買って余って捨てるのもいやだしってことでコンビニ弁当を晩飯にしているのだが、自炊していたときの貧しい品数に比して栄養は取れてるんじゃないかと思いつつ体重は減っている気がしないでもない今日この頃なのであるが、ほぼ毎日家の近くのセブンイレブンでコンビニ弁当を買っているからほんの少し常連みたいになって店員とも顔見知りになって、なんてことはないのだがいつも来てくれて有難うみたいな感じでスヌーピーの絵皿を貰ったのであった。


プラム貰った

プラム家賃はうちのマンションの近くにある大家の八百屋に手渡しで毎月持っていっているのだが、家賃持って行くと大抵なにか果物や野菜をくれるのはありがたい事で、冬場は大体みかんが多く、夏場は適当に長ネギだったり納豆だったり、で、今日は甘そうなプラムをくれたので持ち帰って夜に早速くってみるとまだすげぇすっぺえ。



2005年7月18日月曜日

映画『ドンファン』

1973年 監督:ロジェ・ヴァディム
BS2 録画


ドンファン

『千年女優』からのギャップが・・・
純愛自分大好き少女から心寂しきファムファタールへ。
輪郭のくっきりした映像からもやもやした光と妖しい色彩感覚の世界へ。

ブリジット・バルドー主演。当時とても40目前だったとは思えない。
他にジェーン・バーキンまで出演している、という映画。
副題が「ドン・ファンがもし女だったら」。
親の遺産で金に困らないジャンヌ(ブリジット・バルドー)がその持て余した美貌を使って様々な男を誘惑、破滅させていく。
誰にも理解されない空虚な心を埋めるべくもがき苦しむ悲しき女。

色彩、衣装、ゴシック風音楽、不自然なカメラの動き、不自然なアングル、不自然なシチュエーション、もう全てが怪しくて妖しい。
ジャンヌのせいで地位も家族も失った男が失意の中彷徨う場所がなぜ食肉の解体場なんだ?
なんなんだ、男の家の異様なまでに赤い色した趣味の悪い部屋は。
挙げたらきりがないくらいにあふれる不自然、無意味、奇抜、チープ、そして思いのほか堅実なシーンのひとつひとつがとても面白い。

映画『千年女優』

2001年 監督:今敏
BS2 録画


千年女優 コレクションBOX (初回生産限定版)

アニメ。
30年前に引退して以来公の場に姿を見せなかった大女優藤原千代子。
映画制作会社社長で千代子の大ファンである立花源也は千代子のドキュメンタリーを制作するために取材の約束を取り付ける。
若いカメラマンを連れて千代子の家を訪れた社長。70を過ぎ、老体となった千代子が現れるまでのどきどき感。
若い頃は神々しいまでの存在であった女優も年をとったら「ん?」ってことが現実多いからきっと社長も今の千代子を見て少しがっくりするんだろうな、と思いながらもそこはアニメ、現れた老女は素敵な素敵な老女だった。
公の場に出なかった千代子が取材を受けたのは社長がある鍵を千代子に渡す約束をしたからであり、その鍵とは千代子の人生でとても大事な鍵だった。
取材が始まり、鍵に秘められたストーリーが語られる。
戦時中、千代子が女優になるところから始まり、いくらかストーリーに乗ってきたところで「ん?」なんだ?いきなり戦国時代に飛んでしまう。
と思ったら今度は千代子がくの一になる。
と思ったら今度は千代子が花街の遊女になる。
続く。

まあ鍵っていうのは千代子が女優になる前に出会った青年活動家の持ち物だったのね。
そして幼き千代子はこの青年活動家に恋する。
憲兵に追われて行方知れずになった青年活動家に鍵を返すため(青年と再び再会するため)の長いながーい道程が彼女の出演作とシンクロしながら描かれていく。
とりあえずごちゃごちゃしているのだが細かいところはどうでもいいや。
一人の青年を愛し、一生探し続けた可憐な女性の物語。

青年を求め、走り叫ぶ姿や泣きの描き方が上手いのか泣き所がいくつかある。
「もう 顔も思い出 せ な い」この静けさと呆けた社長とカメラマンの顔。泣ける。
この映画の山場である青年の手紙を読み北海道にひたすらかけて行く中年にさしかかった千代子の駆ける姿なんかカットバックのカオスと音楽と合わせて少し鼻で笑いながらも泣ける。
「待って 待って! お願いです! 待ってぇ~!!」泣ける。
千代子のラストの台詞はいくらか救いか。

このアニメ、老いと人生の積み重ねも一つのテーマになっている。
千代子のファンでお茶目な社長なんて顔といい格好といいどっからどうみても怪しいおっさんなんだけど、青年時代の純朴で心優しい姿と現在の姿が重なる瞬間に時の流れと一人の男の人生が浮かび上がる。
撮影所の下っ端がそのまま映画界にとどまって小さな制作会社の社長になったのか。
愛しいおっさんだ。

映画『逃走迷路』

1942年 監督:アルフレッド・ヒッチコック
BS2 録画


逃走迷路 (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】

あの自由の女神でのシーンが有名な一作。
無実の罪を着せられた主人公が警察の手をかいくぐりながら真犯人を探して途中美人令嬢と出会って主人公の逃走に巻き込まれた美人は男を凶悪犯だと信じながらも次第に男の人柄と無実を知っていき気付いたらラブラブになってついでに真犯人も捕まえてハッピーエンドというヒッチコックの十八番ストーリー。

ラブロマンスが結構いける。
パーティ会場で敵の本拠地でもある屋敷の中、袋の鼠状態で他の客にまぎれて主演二人がダンスをするシーン、逃げ出す方法を考えなきゃいけないのに二人はキスするんですね。
そんな状況じゃないのに。
ラストにロバート・カミングスを救い上げようと手を差し伸べるプリシラ・レインの表情もいいし。プリシラ・レイン泣いてるし。
ってなんか別にラブロマンスに力が入っている作品では決してないんだろうけど。
ヒッチコックの映画は全体的に妙にエロティックで。

主人公の親友が炎に飲まれるシーンが凄い。
圧倒的火力に圧されて消火器を持った人型が後方へと無情にこてっと倒れた瞬間あっという間に炎が鬼のような表情で猛り狂って全てを包み込んでいってしまう。
炎に包まれる人間を変に合成などせずに人形(たぶん)を使っているのが良くて、自由に動けない人形ができる数少ない動きである「倒れる」という単純な行為が、見事なまでに炎の脅威と逃げるそぶりを見せる間もなく消火活動をする体制のまま倒れて消えてしまうあっという間の出来事という悲しさを感じさせてくれる。

そしてラスト。
音楽が一切無いので息を詰めて見てしまう。
自由の女神の親指と人差し指の間にぶら下がってしまった犯人を助けるべく躊躇無く犯人のところまで降りていった主人公を見て初めてこの主人公がかっこよく見える。
俺だったら見殺しにする。怖いもん。あんな高いところ。

2005年7月17日日曜日

映画『バッド・エデュケーション』

2004年 監督:ペドロ・アルモドバル
at ギンレイホール


バッド・エデュケーション

濃いぃ。ストーリーも映像も演出も役者の顔も。
ホモサスペンス。
燃え滾る男対男のパッションが一方通行だったり肉体的に永遠に成就しなかったり。
熱さに比してどこか乾いた物悲しさが残る映画。

映画『アマロ神父の罪』

2002年 監督:カルロス・カレラ
at ギンレイホール


アマロ神父の罪

夏物ズボンの一着がとてもポケットが小さい。
手をつっこむことすら困難なくらいに。
今日はそのズボンとは別のズボンをはいたのだけど、最近の習慣で財布でなく紙幣と硬貨をそのままズボンに突っ込んで出かけた。
駅でSUICAがそういえば財布に入ってることに気付いて、しょうがなく切符を買って改札に入る。
飯田橋のギンレイに着いてやっと気付いたが会員カードも財布の中だった。
せっかく来たのだし、チケットを購入。1500円。
金を払って映画を見るのは何年ぶりか。というか会員カードもただじゃないんだけど年に一回金払うだけだから意識的には毎回ただで見ている感覚。


司教のお気に入りである若きアマロ神父(ガエル・ガルシア・ベルナル)は経験を積むために教区の司祭ベニト神父のもとに送られる。
心優しきアマロ神父であったが、結構野望高き男で段々偽善的ないやな奴に見えてくる。
教会にも裏の顔というか裏事情があって、なにより司教の裸体が汚い。

アマロ神父の罪というくらいだからこの男は何か罪を犯していく。
その罪の後で悔いたまま浮浪者にでもなってくれればいいものを。ラストは中途半端なまま終わってしまう。

2005年7月14日木曜日

時計買った

時計住所や氏名など個人情報をあまり外に出したくないのだけど数ヶ月前に仕事の調査関係で楽天に会員登録して、そのことをすっかり忘れていたものの先日気まぐれで懸賞の応募をしているときにふと思い出して楽天の懸賞を中心に応募してみたらなんて楽なんでしょうと喜び調子に乗って応募しまくると対価として大量のメルマガが送信されてきて、かつ懸賞なんかひとつも当たらず結果発表のあった懸賞から順にメルマガの解約をしていったのだけど時計店のメルマガだけは一応解約しないでおいて週一くらいでくるメルマガをチェックしていたら段々時計が欲しくてたまらなくなってきて、その時計店のホームページでいろんな時計をチェックしてさんざん悩んだ挙句「SWISS POLICE(スイスポリス)スイス警察共同開発オフィシャルウォッチSP.SCOUT 4(レザーバンド)」が定価18,900円のところ10,777円 (税込) 送料込代引き手数料込みかつ特別700円引きで10,077円と安くなっていたので代引きで購入したのがこないだの日曜で、昨日の夜届いたんだけど飯食いながらテレビ見ている所だったから箱から出さずにそのままで飯食った後に開けようかと思いつつマガジンを読み出してしまいしかもそのまま寝てしまって気付いたら朝の6時でフローリングの硬さに体を痛めながらもすぐシャワーを浴びてそれから届いた時計の梱包を解いて時計を取り出し早速はめてみるとレザーがまだ硬くてなんか腕が痛いし、レザーベルトの厚みが私の細腕に対して少しごついのではという印象も段々気にならなくなってきて、ただもういい買い物したなとほくほく笑顔です。

2005年7月9日土曜日

映画『パッチギ!』

2004年 監督:井筒和幸
at ギンレイホール


パッチギ! (特別価格版)

主演の塩谷瞬は以前テレビ番組で和希沙也とデートしていて、その時の和希沙也への接し方を見てなんて軟派なヤローだと思って印象が悪い。
そして井筒監督は過去5作品ほど見ているがあまり印象がない。
ということでそんなに期待していなかったのだけど、思いのほか面白い映画だった。
普通に遊びたいだけなのに否応無く抱えてしまう国と歴史に若者がその尽きない力でぶつかっていく様が程よいギャグを交えながらテンポよく描かれる。
少し不自然に日朝関係の歴史を登場人物が話し合うシーンがあったりと、なにかエンターテインメントでありながら社会問題もしっかり盛り込みますよっていう意思がいやらしく出ている場面もあったが。

若者は傷の治りが早いな。
普通に殴られただけでも打ち所が悪ければ死ぬと言うのに、釘の飛び出た木材持って乱闘しても喧嘩では誰も死なないところが凄い。

アンソン役の高岡蒼佑ってどっかで聞いた名前だと思って調べたら『アカシアの道』のあの暗くて冴えない兄ちゃんだ。全然顔が違う。
アンソンの彼女役はおばさんくさくて無名の女優だと思っていたのに、後で調べたら楊原京子なんだな。

映画『サマリア』

2004年 監督:キム・ギドク
at ギンレイホール


サマリア

高校生のヨジンとチェヨンは仲のいい親友同士。
彼女達は二人でヨーロッパ旅行に行くために援助交際をしてお金を稼いでいた。
彼女達は、というか男と相手をするのはチェヨンだけでヨジンはモーテルの前で警察に対する見張り役の仕事をする。
見張り役のヨジンは男に金で体を売る行為を不潔なものと考えている。
しかし大好きなチェヨンは屈託のない笑顔でなんの迷いもないかのように援助交際を続ける。
そんなチェヨンを止めることもできず、ただ見張り役として彼女の安全を守ることしか出来ないヨジン。
ある日、いつものようにモーテルの見張り役をしていたヨジンだが、警官が来ていることに気付くのが遅れてしまう。
モーテルの部屋で逃げ場を失ったチェヨンは下着姿のまま窓に乗り出す。
慌てて制止しようとする警官。外からは必死で止めようと叫ぶヨジン。
しかしチェヨンは窓から飛び降りてしまう。笑顔で・・・

チェヨンはいつも笑顔を絶やさない。いつも笑っているというか顔に笑顔がこびりついている状態。
この笑顔が次第に恐ろしくなってくる。かわいい顔でいつも笑ってるんだもん。えっ!?なんでここで笑ってるの?って感じで。
しかしこの笑顔を思い出すたびに涙ぐむ。チェヨンがどんな家庭環境でどんな育ち方をしたのかって部分は全く描かれないのだけど、彼女が笑顔でいればいるだけ悲しくてしょうがない。

この映画は三部構成に分かれる。
1.バスミルダ
2.サマリア
3.ソナタ
バスミルダの章で笑顔のチェヨンがあんなことになってしまうわけです。
大好きな親友チェヨンを失ったヨジンはどうなるのか。
まあ、どんどん二度と引き返せない展開になっていくわけです。
少女特有のレズビアンチックな友情が相手を思うあまり相手になることを望みだし、しかし傷は埋まるどころか新たな傷を生んでいき。

2005年7月5日火曜日

映画『波』

1952年 監督:中村登
BS2 録画


教師見並行介(佐分利信)は教え子のきぬ子(桂木洋子)が芸者として売られていくのを無力に見過ごす事しかできなかった。
ある日きぬ子は芸者を逃げ出し行介の元にやってくる。匿う行介。そのまま結婚。
しかしきぬ子は色男の瀬沼涼太郎(岩井半四郎 )と駆け落ちしてしまう。
きぬ子を連れ戻す行介。
程なくきぬ子は妊娠、出産。
夫を裏切った罪に苛まれながらきぬ子は出産直後に死亡。
行介はきぬ子の忘れ形見すすむを自分の子かそれとも瀬沼の子か分からないながらも必死に育てる。
っていうのが導入部。
導入でいきなり消えてしまった桂木洋子ちゃん。
後はまだ当時20代の若き淡島千景さんにバトンタッチ。
男一人で子供を育て上げるのは難しかったので、というか子供に愛情を注ぎきれなかったむっつり行介は、友人笠智衆の紹介でバツイチ美人の野々宮昂子(淡島千景)を紹介してもらい、子供を彼女に預ける。
昂子がまたいい女なんだな。
むっつり行介も昂子に気がありつつも、このむっつり男は昂子の妹襲子(津島恵子)と関係を持ったりする。
昂子と行介、すすむと行介、昂子とすすむ、三者の関係が長い年月を通して描かれ、赤ん坊だったすすむはいつのまにか石浜朗になる。