BS2 録画

アニメ。
30年前に引退して以来公の場に姿を見せなかった大女優藤原千代子。
映画制作会社社長で千代子の大ファンである立花源也は千代子のドキュメンタリーを制作するために取材の約束を取り付ける。
若いカメラマンを連れて千代子の家を訪れた社長。70を過ぎ、老体となった千代子が現れるまでのどきどき感。
若い頃は神々しいまでの存在であった女優も年をとったら「ん?」ってことが現実多いからきっと社長も今の千代子を見て少しがっくりするんだろうな、と思いながらもそこはアニメ、現れた老女は素敵な素敵な老女だった。
公の場に出なかった千代子が取材を受けたのは社長がある鍵を千代子に渡す約束をしたからであり、その鍵とは千代子の人生でとても大事な鍵だった。
取材が始まり、鍵に秘められたストーリーが語られる。
戦時中、千代子が女優になるところから始まり、いくらかストーリーに乗ってきたところで「ん?」なんだ?いきなり戦国時代に飛んでしまう。
と思ったら今度は千代子がくの一になる。
と思ったら今度は千代子が花街の遊女になる。
続く。
まあ鍵っていうのは千代子が女優になる前に出会った青年活動家の持ち物だったのね。
そして幼き千代子はこの青年活動家に恋する。
憲兵に追われて行方知れずになった青年活動家に鍵を返すため(青年と再び再会するため)の長いながーい道程が彼女の出演作とシンクロしながら描かれていく。
とりあえずごちゃごちゃしているのだが細かいところはどうでもいいや。
一人の青年を愛し、一生探し続けた可憐な女性の物語。
青年を求め、走り叫ぶ姿や泣きの描き方が上手いのか泣き所がいくつかある。
「もう 顔も思い出 せ な い」この静けさと呆けた社長とカメラマンの顔。泣ける。
この映画の山場である青年の手紙を読み北海道にひたすらかけて行く中年にさしかかった千代子の駆ける姿なんかカットバックのカオスと音楽と合わせて少し鼻で笑いながらも泣ける。
「待って 待って! お願いです! 待ってぇ~!!」泣ける。
千代子のラストの台詞はいくらか救いか。
このアニメ、老いと人生の積み重ねも一つのテーマになっている。
千代子のファンでお茶目な社長なんて顔といい格好といいどっからどうみても怪しいおっさんなんだけど、青年時代の純朴で心優しい姿と現在の姿が重なる瞬間に時の流れと一人の男の人生が浮かび上がる。
撮影所の下っ端がそのまま映画界にとどまって小さな制作会社の社長になったのか。
愛しいおっさんだ。
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