BS2 録画

マルチェロ・マストロヤンニ&ソフィア・ローレン。
いきなりモノクロの記録映画から始まるからなんじゃこりゃと思う。
しかもヒトラーのローマ親善訪問。
記録映画が終わると色が付いて本編が始まる。
イタリアのとある面白い形したマンションを見上げるカメラ。
マンションの中庭から見上げているらしい。と思ったらごく自然に風船のように上方へと上がっていくカメラ。
そして浮遊するカメラはソフィア・ローレンがいる部屋を窓の外から映すのだが、カメラはそのままゆっくりと部屋の中まで進入していく。
隣の部屋に移動するソフィア・ローレンを追うカメラ。どうやら寝てる誰かを起しているようだ。
エスプレッソだか紅茶だかのカップと服のようなものを持ちながら各部屋を回って起したのは子供6人と夫。
部屋に進入してくところから各部屋の子供達を起して回るまでが滑らかなワンショット。
しかもカップのコーヒーやらバネの壊れた電灯等ちょっとした小道具も盛りだくさん。
これはただ事じゃない映画だぞ。
朝6時。記録映画の延長で、この日はドイツと軍事同盟を果たした盛大な式典が行われる日らしい。
起きだした子供達は皆面白い。
太ったガキは便所でこっそりタバコを吸っていたり、ちょっと色づき始めた長女やら枕の下にポルノを忍ばせた青年やら。
ホームドラマが展開するのかと思いきや、夫を演じるのはマルチェロ・マストロヤンニじゃない。
となるとマストロヤンニは別のところで出てくるはず。
魅力的になりそうな家族は程なくソフィア・ローレンを除いて皆式典に参加するために部屋を出て行く(終盤まで帰ってこない)
彼女は家の仕事があるため行きたくても行けない。
ほぼローマ中の市民が式典に参加するらしく、舞台になっている大きなマンションから人気が失せる。
いるのはソフィア・ローレンと管理人のばあさんだけ。
結構異様な空間。
人の気配がなくなったマンションの部屋で、朝食の片付けを始めるにも始める気力のないくらいに疲労しているソフィア・ローレン。
時折どこからか誰かの声がする。
誰が喋ってんの?と思えば声の主は九官鳥。
うっさい九官鳥に餌をやって黙らそうとするソフィア・ローレンだが九官鳥が逃げてしまう。
中庭を飛んで向かいの部屋の窓のそばに止まる九官鳥。
向かいの部屋の窓には男の後姿が見える。
これがマストロヤンニ。
さあ、こっからは二人の世界。少し管理人がアクセントと波を投げかけながら。
式典に参加しない謎の男マストロヤンニ。彼にはある秘密があって。
メロドラマ。
部屋の中、そして窓の外、空間の捉え方や見せ方が上手い。
部屋の中に意識が集中しているところに部屋の外の音を突然混入したり、思い人が中庭を挟んだ向かいの部屋にいるという空間的シチュエーション等々。
そしてなんといってもカメラワークが緻密というか繊細というか、エロさまで感じるくらいにかなりいい。
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