BS2 録画

主人公が小学5年の男の子二人で面白いんだろうかと思ったけど、これ、かなり面白い。
舞台は郊外のニュータウンで無駄に広い土地に団地がいくつも建っている。
階段やら眺めのいい小高い丘、そしてアキラの思い人が向かいの棟にいるというシチュエーション。
土地や空間を状況に応じてさりげなく最大限に活用している上手さ。
アキラの棟と少女の棟との間にある空間はただの距離でしかないのだが、この空間にロケット花火を搭載した紙飛行機を飛ばすシーンがある。距離の空間が確固たる空間として現出する瞬間。するとそっけなかった少女もアキラに微笑みかけ。
このシーンにはまだいくつかの要素があるんだけど、とにかくいいシーン。
主人公二人はガキ大将で大の親友。
小学5年の新学期。ヤクルトレディーのヤクルトをクーラーボックス毎かっぱらった二人は戦利品をランドセルに忍ばせ学校まで駆けて行く。
丘や階段を駆け下り全力疾走する二人。滑らかに、そして躍動的に追うカメラ。
冒頭の走るシーンでもう名シーン。
背の高いアキラが少し早いと見るやスピードを上げる光一とか。
学校に着くと二人は別々のクラスになっていた。というか「お前らはもう一緒のクラスにしない」と教師に言われていたので分かっていたことなのだが。
とりあえず別々になろうが二人には関係ない。
一緒に帰る二人。
帰り道、二人は事件性抜群の謎の白いバッグを拾う。
川原でバッグの中の金を分け合う二人。
なんかこの二人の日常をこのまま見ていたいのに非日常な事件の物語は嫌だなと思っていると、本当この件はこの件で終わっちゃう。
この後もおんなじペースで淡々と話やエピソードが流れていく。謎の部分は謎のまま。
少年少女の心の揺らぎや成長、そして親の事情など常になんらかの危なっかしさを秘めながら描かれる。
危なっかしさというのは高所の危なさだったり火の危なさだったり家庭環境の危うさだったり友情の危うさだったり。
あまり説明的な作品ではないんだけど、撮り方や音等の変化が着々と表現していく。
この監督ってこんなに上手くて繊細だったんだな。
野村君の描いた絵「どこまでもいこう」には泣ける。
謎の鍵っ子転校生はむかつく。
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