BS2 録画
石川セリの武満徹ポップソングというアルバムがある。
武満の合唱曲を各編曲者がポップスに仕上げたアルバム、と勝手に思っていたけどこの映画の冒頭で、石川セリで昔何度も聞いた「めぐり逢い」という歌が流れたので、ああ映画音楽だったんだと知る。
いい歌ですな。
アルバム引っ張り出して見てみると収められた曲の半分くらいは映画音楽じゃん。
「○と△の歌」はそういえば羽仁進の『不良少年』でちょろっと流れてたしな。
主演黒沢年男に酒井和歌子。
黒沢年男は電車で見知らぬ女の乳をもんでカラカラ笑う男で脳みそまで筋肉でできていそうな青年の役。
酒井和歌子はというと、芯の強いしっかりとした女の子の役、というのはどうでもよくてとにかくもう笑顔が可愛すぎる。
列車のドア越しに見せた笑顔にころっと持っていかれる。
しかしまあ事ある毎に笑いすぎだろってくらい笑うなぁ。
酒井和歌子に待ち合わせをすっぽかされた黒沢年男が駅の伝言板に「甘ったれるな」と書き置くのだけど、どう見ても黒沢年男の方が甘ったれなのね。
黒沢年男の絶望がどこがどう絶望なのかさっぱり理解できない。
黒沢年男に限らず、その弟も甘ったれ。
それに比べて酒井和歌子の弟の学生がしっかりしているのでその好青年ぶりがまぶしい。
甘ったれの癇癪持ちと必殺の笑顔のしっかりものとの青春物。
結構面白い。
クロールの息継ぎの時の顔を普通アップで映すか?二人とも前髪ぺっちゃんこ。
雨の中のダンプカーの荷台シーンは笑っちゃうんだけど、ただの荷台のくせに壮大な名シーンになっているところが凄い。
火葬場が山奥で、黒い煙に深い緑、複雑な思いと匂いが混じってそうないいシーン。
他、いろいろ。
酒井和歌子の母役に森光子。夫に死なれてからコップで飲む晩酌が唯一の楽しみという人。
(夫に死なれてから晩酌が楽しみになったっていう設定は前にもどこかで見たな。淡島千景だったっけかな。酒を湯飲みで飲んでるの。思いだせん)
酒井和歌子の弟役で池田秀一。名前をどっかで聞いたことあると思って調べてみたらガンダムのシャアの声の人だった。
他、有島一郎や菅井きんや峰岸徹や田村亮が出ている。
内藤洋子と酒井和歌子は『ドリフターズですよ! 冒険冒険また冒険』にカメオ出演していて、それでしか見たことないと思っていたのだけど、調べてみたら酒井和歌子は小林正樹の『日本の青春』で黒沢年男と一緒に出ていたんだ。全然記憶に無い。
ぐはっ!小林正樹の傑作『いのちぼうにふろう』にも出てたの~。
とにかく今日は内藤洋子と酒井和歌子という二人の女優を知ることが出来て(今更だけど)有意義でした。