at ギンレイホール

ウディ・アレンがロンドンで撮影した不倫サスペンス。
「ケチな不倫男」が指輪と同じに落ち損ねて宙ぶらりんのケチな人生を歩む話。
主演が『ベルベット・ゴールドマイン』のジョナサン・リース=マイヤーズ。
アイルランドの田舎出身の元プロテニスプレイヤー役で、引退してロンドンの会員制テニスクラブのコーチを始めるところから映画は始まる。
この男クリスは、ドストエフスキーの「罪と罰」(この映画のストーリーと結構関係あり)を読んだりオペラ好きだったりと、高尚な趣味を持っているがなんだかうさんくさい。
ブルジョワに憧れていたのかねぇ。
念願かなってブルジョワの娘と結婚して養父の会社に入社しそれなりの役職にまで就く。
で、不倫です。
でもまあ、恐ろしく官能的なスカーレット・ヨハンソンが絡んできたら逃げられないわな。
妻役のエミリー・モーティマーは女性から嫌われそうな顔している。
サトウタマオ系のうるうる瞳の媚びた視線するから。
ほとんどの観客はスカーレット・ヨハンソンを応援していたのではなかろうか。
にしてもヨハンソンの相手は澄ましていても根はケチな男なので幸せは遠い。
クリスは「上流階級の暮らしには馴染めないが」みたいな台詞を言っていたけど、そんな嘘で塗り固めた人生をたまたま強運だったために死ぬまで続けなきゃいけない苦しさ。
築き上げたものを全てぶち壊す破壊と喪失(再生)のカタルシスは訪れることなく、ブルジョワ世界は今日も平穏でした。

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