2007年2月25日日曜日

映画『あこがれ』

1966年 監督:恩地日出夫
BS2 録画


愛護施設に父親につれられてやってきた信子。
保母の新珠三千代につばを吐きかけるわ箸の持ち方を指導されれば箸を投げ出すわで超問題児だった。
問題児とはいえまだ幼い子供。信子は父親を恋しがる。
そんな信子をからかうのは一郎君。
父親恋しさに泣き出す信子。それにつられて母親に捨てられた一郎君も大泣き。
というのがタイトルロールで簡潔に流れた映像で、物語は少年少女が20歳を過ぎたくらいの頃から始まる。
一郎君(田村亮)は平塚の瀬戸物屋に養子に入って人の出来た養親(加東大介と賀原夏子)に愛情たっぷりに育てられた。
一方信子(内藤洋子)は父親(小沢昭一)と一緒に各地を転々としていた。
平塚で二年ぶりに再会した二人。
お互い本心を隠して友達として付き合っていたのだが次第に抑えられなくなって、ならばとっととくっついちゃえばいいものをよく分からないが養親への義理立て等で上手く行かない。

青春メロドラマなんだけどなかなか面白い。
脇を固める役者陣が何気に豪華。
主役二人の生き方に大きく関わる先生役にいつまでも綺麗な新珠三千代。
一郎の養父に加東大介
信子の父親役で酒飲みの典型的な駄目親父に小沢昭一。
娘を思ってうつろに去っていく時「ばかやろうだよぅ。お前達は」と言ってにやっと笑う。
駄目親父のくせにおいしいところをかっさらっていきます。
一郎の生みの親に乙羽信子。
一郎の消息を聞きに愛護施設に訪れ、園長と話す乙羽信子の複雑な表情が凄いわ。
園長(小夜福子)がまた偉そうなの。一郎を捨てたこの母親を責めるような口調で。
愛護施設の園長という偽善者に見られやすい立場の役が、まんまこの偽善者め!って感じの役になっていて、子を捨てた乙羽信子より悪人に見える。
心優しい新珠三千代が二人の間にお茶持ってやってきてほっとする。
園長の好サポートと乙羽信子の控えめな演技によってこの母親に親近感を持てばその後の新珠三千代や養親など脇役人が次から次へと好サポートを見せ、最後の再会と別れシーンは思わず泣ける。
もう青春メロドラマじゃなくて後半から一気に家族愛の物語へ変貌。
そういえば養父加東大介のまんま姉役で沢村貞子も出ていた。

そして内藤洋子は綺麗だなぁ。
凛としたたたずまいや純真な視線から流れる一筋の涙とか。
その美しい瞳を持った顔がこれでもかってくらい何度もアップで映される。

原作木下恵介で脚本が山田太一。
音楽は武満徹。映画音楽になるとメロディアスな武満徹がギターでメランコリックな旋律を聞かせてくれる。

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