2009年4月12日日曜日

映画『闇の子供たち』

2008年 監督:阪本順治
at ギンレイホール


闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]

138分。結構長い。
冗長だったり省きすぎだったり、たまにえっと思うほどチープな雰囲気をかもし出したり、っていう、なんというかそういう阪本順治の荒っぽいリズムが面白いのだけど、この作品はテーマが重いだけに緻密に組み立てていく監督の方が良かったのではないかと思ったりもする。
とはいえかなり気合が入っているのかパワーで飽きずに最後まで押し切られるのだけど。

梁石日の同名小説が原作。
主人公の南部(江口洋介)は新聞社のバンコク支社に勤務している。
東京の本社からの情報で臓器売買の取材を進めていると、臓器を提供する子供は生きたまま臓器を取り出されているという事実を知る。
幼児売春→エイズ→不要になった子供をゴミ袋に入れて捨てる、等々バンコクの子供たちの非常な運命が浮かび上がっていく。
買う(幼児売春や臓器)側に含まれる日本人がえげつなかったり複雑だったり。
幼少期に過酷な経験をしたタイの子供が憎しみの連鎖でマフィアになっていたり。
中立的な立ち位置で描かれるから各登場人物の背景や立場や思いが同列に絡み合っていく。
原作ではもっと背景が描かれていそうな気がするけど。

もう一人の主人公が、大学で社会福祉の勉強をした後にバンコクの社会福祉センターにやってきた音羽(宮崎あおい)。
正義感に溢れて行動力もあるのだけど、独善的なためにその正義感が胡散臭くなって「ばか女」と評される。
確かに、一方的に正義を振り回して自己満足に浸っている様はかなりうざいものがある。
いい意味でも悪い意味でもいろんなものをぶち壊していく女。
そういえば初めて宮崎あおいを映画で見たかも。
昔『害虫』を見に行こうとして日にちが合わずに逃して以来、結局一本も見ていなかったのだな。

太った欧米人がことさら醜い裸体で非道な行為に没頭していたのだけど、この俳優さんは友人にこの映画に出演したって言えないんだろうな。

ガラス越しに人を見つめるショットの後、今度は見つめられている側からのショットに切り替わり見つめている人物を映す。
こういうカメラの切り替わりによる視線の交錯が何度も現れるのね。2階から1階への視線→1階から2階への視線、とか。
なんでこんなに頻発するんだろうと思っていると、ラストで、2階から1階への視線のあと1階から2階への視線になかなか切り替わらなくて、ああこのラストのためか、と納得。

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