at ギンレイホール
![画家と庭師とカンパーニュ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61jVFwxeotL._SL160_.jpg)
ジャック・ベッケルの息子ジャン・ベッケル監督作。
もう70だ、この人。
主演はダニエル・オートゥイユとジャン=ピエール・ダルッサン。
ジャン=ピエール・ダルッサンは『サン・ジャックへの道』でアルコール漬けの次男クロードを演じた人。
『サン・ジャックへの道』では気づかなかったけど、柔和な顔立ちは結構男前。
滅茶苦茶長かった気がするけど105分だな。
105分間ジャン=ピエール・ダルッサンがしゃべり続けていた感じ。
フランスカンパーニュの田舎道に固定されたカメラ。
タイトルクレジットが静かに流れる裏で鳥のさえずりや虫の音が聞こえる。
この田舎道の手前か奥から登場人物が出てくるはず。
次第に奥からバイクの音が聞こえてくる。
続いて犬の吠え声。
そしてバイクの音が大きくなるにつれて奥からミニバイクに乗った男が現れる。
ここでやっとカメラが動いて引いていくと道沿いの家の門が映り、バイクの男はその中へ入っていく。
バイクの男がジャン=ピエール・ダルッサン演じる「庭師」。
庭師はピアノの音が聞こえる家の中に「どなたかいませんか」と呼びかける。
出てきたのはダニエル・オートゥイユ演じる「画家」。
自然の音に闖入してくるバイクの音、そこからピアノの音へ。
シンプルな動きで大きく変化する構図等々、なかなか素晴らしいオープニング。
庭師と画家は小学校時代の同級生だった。
画家はすぐに故郷を出て都会で暮らしていたため、40数年ぶりの再会。
すぐに意気投合した二人はこの穏やかな時間が流れる故郷で友情を再び育み始める。
抽象画を描いていた画家が自分の描いている絵について庭師に質問されたとき、
「俺はこの光景を見て心で感じるものをそのまま描いているんだ」
みたいなこと(たぶん台詞は全然違う)を言うと、庭師が少し考えた後、
「見えないものを描くのは大変だろう」
と。
自然の中で生き、空や湿度などで明日の天気を正確に予測できる庭師と、長らく都会生活を送っていた画家と、どちらが自然の本質を見ているのだろうと思わず考えてしまう。
画家はまた、
「俺にだって自分が何を描いているのか分からない。何を描いているのかを解説したり評価するのは評論家の役目だ!」
とも言う。
ああ、言っちゃった。
なんかこういう悩みのやりとり等を数ある前フリの一つにして、最後の印象派みたいな静物画の作品群を見ると結構泣ける。
ストーリーには大きな起伏も無く、ジャン=ピエール・ダルッサンがゆったり喋り続ける内容もほとんどが四方山話なんだけど、意外と眠くならずに最後まで見れる。
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