BS2 録画

お米のような顔した日本美人田中絹代の洋装が恐ろしく似合わない。
しかも田中の役は、昼は堅気でしとやかなタイピスト、夜はダンスホールにくりだす「ずべ公」なので、昼夜で着る服が変わる。
和服は絶対着ないで全部洋装なのだが、本当なんというか次から次に着せちゃいけないものを着せているような。
それでいて背中の開いた白いドレスに身を包んだ田中絹代がぽっちゃりと官能的であったりする。
というのも彼女が不意に動いたときに、ドレスの右肩がずれ落ちて丸みを帯びた肩が露になる瞬間が一度ならず二度もある。
演出なのか偶然なのか、突然現れる肌理の細かそうな美しい素肌となで肩気味のラインの美しさが一気に官能を呼び起こさせたのね。
ドレス(洋)と顔立ち(邦)のアンバランスの違和感の中、ドレス(洋)のいたずらが露にした日本女性の官能(邦)っていうような並置の仕方が面白い。
ヒロインはもう一人いる。水久保澄子。
こちらは終始和服で長屋みたいな家に住んでいる。
弟思いでしとやかで、レコード店で和服で働く。
この人の心持ち首をかしげた状態で相手をじっと見つめる視線は、いじらしさや強さ温かさ等々様々な相貌を秘めて相手の心を貫く。なんという魅力。
特に田中絹代に拳銃を突きつけられた時の、表情をほとんど変えない無言のクールさと視線の動かし方には惚れ惚れする。
映画の内容は、街の与太者グループのボス岡譲二とその女田中絹代がいて、譲二の仲間になりたいと志願してきた三井秀夫がいて、三井秀夫の姉水久保澄子は弟を心配して譲二に弟を仲間から外してくれとお願いしに行き、そんなこんなで澄子の視線の魅力に一発で射抜かれた譲二はこの堅気の女を好きになってしまい、さあ、どうしよう、って話。
0 件のコメント:
コメントを投稿