BS2 録画

ああ、62分しかない小品だけど『青春残酷物語』より充実して面白かったな。
成績優秀かつ清廉な好青年だがどうしようもないほどの貧乏な中学生と、東洋精器の重役の娘で"ブルジョワ"な生活を送る女子高生が出会う。(この二人による恋愛物ではない)
貧乏暮らしと裕福な生活を送る人間が寄り合っているかのように見せかけてその実それぞれが全く別の人種かのように不協和音を奏でる。
所詮別の人種か。結局のところ自分の信念と存在を維持する事が一番大事で、ひとりよがりな自己憐憫には透けてしまった偽善の皮膜がぴったり張り付いている。
偽善と偽善から透けて覗く素顔が悲しかったり醜かったり残酷だったり。
根本的に分かり合えない人と人の接触は危うい不安感に満ち満ちていて、ちょっとつつけばそれだけで映画が崩壊しそう。
怒りと悲しみをこめた表情のアップが緊張を伴なって交互に映し出されれば、交わされているだろう視線の中間部分で遂に決定的な決別と崩壊がやってくる。
後は映画が斜めに滑り落ちて、鳩が力なく落下するのを待つだけ。
そもそもどっからどうみても"ブルジョワ"に見えないおばさんくさい声してジャイ子のような女性が高校2年だとかぬけぬけとぬかした時点で意識下に妙な不安定感が植えつけられるんだよな。
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