2004年12月23日木曜日

映画『武蔵と小次郎』

1952年 監督:マキノ雅弘
BS2 録画


新国劇の2枚看板、島田正吾と辰巳柳太郎主演。
荒々しい顔した辰巳が武蔵で素朴な浪人島田が小次郎。
島田の小次郎がこれまた似合ってない気がする。顔でかいし美男子って感じではないからな。
だけど島田のむっつりいやらしい顔と下卑た笑い声、そして首を振って前髪を除ける仕草等の演技が非常に面白いキャラクターになっている。笑っていいのかどうなのかっていう。

一乗寺の決闘から巌流島まで。
つまり大立ち回りから一騎打ちまで、なかなか楽しめるエンターテインメント。
大立ち回りは激しくなく、むしろとろい。
吉岡一門による鉄砲や矢で瀕死の武蔵が数十人もの相手をふらふらと頼りなさげに、だが超人的に一人一人倒していく。紙一重で凄い様式美。ばたくささまでが様式美。
武蔵の激闘をのんびり歩いて近づきながら見つめる島田小次郎。
いつのまにか闘い終えた武蔵にこれまたいつのまにか武蔵の側まで接近していた小次郎は日を改めての決闘を正式に申し込む。
すったもんだあってから巌流島へ。
常に前線にいた武蔵と傍観者だった小次郎との対決。ここでは細川家が傍観者。
この映画、どこもかしこも当事者達から離れたところで誰かしら傍観者がいる。
緊張の場面も何気ないシーンも巧みに分散されながら視線が複雑に脈動して層を成していく。
それは観客の視線までも散漫にする不思議な映像。
巌流島の決闘なんていつ勝負がついたかなんて絶対わかんないよ、あれ。
あ、勝負ついたんだと気づいたときには傍観者の細川家のように遠くから二人の決闘を眺めていたかのような錯覚に陥る。
まあ、そういうわけで面白かった・・・

あ!そうだ。
おでこ広くてつぶらな瞳が可愛いい桂木洋子と、やんわり垂れ気味の目がおそろしく美しく色っぽい淡島千景を忘れちゃいけなかった。
二人とも1955年以降の映画でしか見たことなかったのだけど、女性の若い頃って本当神秘だな。

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