2004年12月12日日曜日

映画『青春残酷物語』

1960年 監督:大島渚
BS2 録画


青春残酷物語

高橋三千綱の小説に『掠奪の初夏』(1987)という作品がある。
高校生の頃何度も読み返し、最近ふと思い出して数年ぶりに読んだ。
この小説の主人公太郎とアイが満員電車に別々に乗り込み、アイが痴漢にあったところで太郎が飛び出し痴漢をこらしめる、というくだりがある。
こらしめる、というか"悪"に制裁を加える建前でいわゆるかつあげをしているのだが。
『青春残酷物語』では桑野みゆきがタクシー代わりに中年紳士の車に乗り込み家まで送ってもらう。
後をバイクでつける川津祐介。
中年が若い桑野みゆきをホテルに連れ込もうとしたところで川津が他人の振りして近づき、制裁を加えた上で金を巻き上げる。
僕は勝手に70年代頃の映画と勘違いして見ていて、ふと考えれば川津祐介も桑野みゆきも久我美子もみんな若いし、それに安保って60年の方なんだな。
常にやり場の無い怒りを溜めて何に対しても破壊的で無力な若い青年と行き場も無く街をふらつくかどんなにひどい扱いをされようが男に居場所を求める事しかできない悲しい少女を描いた残酷物語。
とはいえ、結構さらっと見てしまった。
残酷さが全てさらっと描かれるし。
そのさらっと感が恐ろしかったりぽけーっとしてしまったり。特にラストの2つのショットの突然の結合と音響には放心する。

さて、なんで『掠奪の初夏』の話を出したかと言うと、ただ興味で刊行年を調べていたら、なんとこの小説が『嵐の季節』というタイトルで1995年に映画化されていたのね。
セリフ回しや背景がくすぐったいくらいに80年代だからもう映画化は厳しいだろうなと考えながら最近読んでいたけど95年かぁ。
監督高橋玄。主演高嶋政宏に田中有紀美。
見たいような見たくないような。
・・・gooであらすじ読んでみたら大分脚色されてるな。やーめたっと。

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