at 銀座シネパトス
![マタンゴ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/21GBMX5TQYL.jpg)
昔大井武蔵野館か中野武蔵野ホールで上映していたのを見逃したまま気になっていたのを遂に見ることができた。
本多猪四郎と円谷英二のコンビによる怪奇SFサスペンス。
冒頭病院の窓から映し出される銀座っぽい東京の景色を何気なく見ていたら、ビルの窓に映る人影がちゃっちい影絵になっていてそこでやっと気付いたけど、この景色はミニチュアの合成だった。
最初から飛ばすな。
話の筋は、ヨットでクルージングに出かけた男女7人が嵐に巻き込まれて無人島に漂着し、そこでマタンゴに出会ったりマタンゴになったりマタンゴに襲われたりマタンゴをやっつけたり強くないマタンゴがキュートだったりするというもの。
鳥も寄り付かない不気味な無人島で食料も乏しい中、人間のエゴがこれでもかと爆発する。
食料があれば独り占めするだろう、女がいれば襲うだろう、男が邪魔なら殺すだろう、美味いきのこがあれば食うだろう。
石井輝男の『恐怖奇形人間』や加藤泰の『真田風雲録』のようにぶっ飛んでいるのかと思ったら、ストーリーは意外と真面目。
前半は完全にサスペンスになっていて、無人島で見つけた難破船の船内に大量にこびりついた黴や、乗組員の死体が一つも無い謎、鏡が全て取りはずされている謎等、マタンゴ登場に向けて期待を煽る。
この映画で一番びくっとしたのはマタンゴ登場より、難破船の船内を探検中に作田(だったかな)が階段で足を滑らした瞬間だし、探検中に物音にいちいちびくつく男共の描写もしっかりしている。
カルト映画の定義はよく知らないがこれは極めて真面目な映画だと思う。
1作目ゴジラの系譜に繋がる核の恐怖や、現代社会のエゴを表出させ、はんっと言いそうなラストの教訓的なナレーションで締めくくるという。
7人のキャラクターも立っている。
青年実業家ですかしたへたれの笠井(土屋嘉男)。
笠井の部下で友人の作田(小泉博)。一番理性的で正義の人だったのに。。。
笠井の愛人で歌手の麻美(水野久美)。後半の水野久美のエロスがやばい。
大学助教授の村井(久保明)。理性的で一番つまらない。
村井の教え子の大学生明子(八代美紀)。自分じゃ何も決められない意思の弱い女。
作家の吉田(太刀川寛)。頭悪そうに見えて作家。
臨時雇いの漁師小山(佐原健二)。無人島で一番たくましく生きる男。
女性がきのこを食すると妖艶になるという設定らしい。
雨に濡れた水野久美の異常なまでにみずみずしい肌のエロス。
「おいしいわー」と恍惚の表情できのこを齧り、きのこ達は喜んでむくむくと成長し、大量のきのこの中心に妖艶な笑みを浮かべて座すマタンゴ軍団の女王のような水野久美。
物凄い暗喩だ。
タイトルクレジットに天本英世の名前があったけどどこに出ていたのだろうと思ったら、まだ人の形を留めるマタンゴ役だったらしい。
あんな特殊メイクしていたら絶対分らない。
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